サイレンが鳴り響く中、煙が立ち上るマンションの駐輪場。

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21日、千葉県浦安市の集合住宅で、5月に入り5回目の火災が発生しました。

困惑しながら避難する住人ら
困惑しながら避難する住人ら

「めざまし8」が入手した5回目の不審火を捉えた映像には、駐輪場を燃やす炎の光と、困惑する住人たちの姿。道路にはたくさんのパトカーも見えます。

火は通報から約40分で消し止められましたが、バイク1台と自転車1台が燃えました。

ディズニーリゾートがあることで知られる浦安市のベイエリアで、わずか19日間の間に発生した5回の不審火。すべて「集合住宅の駐輪場」で発生しています。

警察が、同一犯も視野に捜査している“連続不審火”。

「めざまし8」は元警視庁刑事の吉川祐二氏と共に現地を取材。いくつかの“共通点”が見えてきました。

わずか19日で5度の火災…周到な犯行の手口とは?

GWの真っ只中の5月3日祝日の水曜日、1回目の火災が発生。火元の駐輪場に停めてあったバイクと自転車、合わせて17台が焼けました。

そして、1回目の火事から10日後の13日土曜日、今度は同じマンションの4号棟で2回目の火災が発生。

さらにその翌日、すぐ隣の3号棟でも駐輪場から3度目の火の手が上がりました。

いずれの現場にも、バイクの近くにカセットボンベやガス缶のようなものが置かれていたといいます。

めざまし8の取材スタッフとともに現場を訪れた、元警視庁刑事の吉川氏は、火が広がった原因についてこう話します。

元警視庁刑事 吉川祐二 氏:
オートバイなどに火を付けて、そしてそのガソリンの勢いを使って、他に燃え移るということを考えていた可能性は高いですね。

現場検証などから、いずれも「何者かが直接バイクに火をつけた可能性が高い」ことが判明しています。

そして5月18日木曜日には、3回目と同じ3号棟で4回目の火事が発生。21日日曜日の5回目も火元は駐輪場で、バイクが置かれていました。

5回目の火事で焼けたバイク
5回目の火事で焼けたバイク

取材した近隣住民によると、このマンション周辺ではあるトラブルが…。

火災が起きたマンションの近隣住民:
しょっちゅう、結構夜中とかマフラー改造したような音がしていますね。でも、最後だった(音がした)のは4月頭ぐらい。意外と最近は、本当に来てないですね。

周辺で、改造バイクの騒音トラブルが度々起きていたといいます。

さらに周辺の取材を進めると、現場となった駐輪場には「防犯カメラ」がないことが分かりました。

元警視庁刑事 吉川祐二 氏:
自転車置き場の中、そこには防犯カメラがついていないということを犯人側は把握していた。要するに「下見されていた」ということが言えると思います。

21日の5回目の火災現場では、隣にある郵便局、コンビニに防犯カメラが設置されていますが、吉川氏は、犯人は下見をしていて、マンション裏側の抜け道を使って防犯カメラに映らない道を通ったのではないかと推測します。

元警視庁刑事 吉川祐二 氏:
この付近についてはある程度知っている人間、土地勘もある者の犯行である可能性が高いと思います。

今回の“連続不審火”をうけて、火事があったマンションでは今後防犯カメラを増設していくといいます。

さらに、5回目の火事が起きたマンションでは、周辺で相次ぐ不審火を受けて、先週から24時間体制で警備員が配置されていたといいますが…、21日に火事が起きてしまいました。

犯人は、防犯カメラだけでなく、こうした警備体制をもかいくぐって、放火したのでしょうか。

元警視庁刑事 吉川祐二 氏:
犯人のこのマンションに対する“執着”がすごく感じられたんですよね。正直、怖いところです。犯人が捕まっていませんし、今後も似たような事件が起きる可能性は非常に高いと思います。

3人の専門家が見る“犯人像”

5回の不審火をひもとくと、意外な「共通点」が見えてきました。

火災が発生したのは、いずれも防犯カメラのない駐輪場で、自転車なども被害に遭っていますが、必ず「バイク」が燃やされていたといいます。

近隣住民によると、周辺ではバイクの騒音トラブルがあったということで、吉川氏も「バイクが燃やされていることからも、騒音トラブルの逆恨みの可能性は十分考えられる」と指摘しています。

さらに火災の発生時間は、翌日が休日の場合は「深夜」。翌日が平日の場合は、午後10時までに発生しており、ここから、犯人は「平日会社や学校に通う人物」の可能性も。

また、事件との関連は不明ですが、1度目がマンションの5号棟、2度目が4号棟、3度目と4度目が3号棟、5度目の火災は1度目から4度目と別のマンションだったものの「2号棟」だったということで、周辺の1号棟に住む人々は不安な日々を過ごしているといいます。

「犯罪心理」の観点から今回の事件を見たとき、東洋大学・社会心理学科の桐生正幸教授は、このような指摘をしています。

東洋大学 桐生正幸教授:
犯行手口が極めて似ているため、同一犯の可能性が高い。(犯行を重ねるのは)成功体験を重ね、そこから得られる“快楽”が目的になった可能性もある。犯行の場所を変えたのは、捜査のかく乱のためではないか。

実際に、5度目の火災が起きた周辺では、バイクの騒音トラブルの話はありませんでした。

さらに犯人像について、火災や放火に詳しい、公益財団法人・市民防災研究所の坂口隆夫氏は、火事の状況から「バイクは簡単に着火しない、犯人は着火方法や火の扱いを熟知した人物、計画的犯行の可能性が高い」と指摘しています。

(めざまし8 5月23日放送より)