模型メーカーが集積し“模型の世界首都”を自認する静岡市で、国内最大級の見本市「静岡ホビーショー」が開かれた。2023年は、新型コロナの影響で途絶えていた海外からのバイヤーが4年ぶりに戻ってきた。模型組合の理事長が「静岡の模型でないと海外は困る」と自慢するほど、世界からも注目されるホビーショーの熱気を取材した。

“模型の世界首都・静岡”

静岡市はプラモデルの出荷額が全国で最も多く、シェアは約8割を占める。人生の3分の1を静岡市で過ごした徳川家康公が神社の再建などで全国から有能な職人を集め、それが静岡市の工芸品や木製模型のルーツになったといわれている。

公衆電話のプラモニュメント(JR静岡駅)
公衆電話のプラモニュメント(JR静岡駅)
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市は「模型の世界首都・静岡」として国内外に魅力を発信していて、街には組み立て前のプラモデルをイメージした「プラモニュメント」が、駅など市内の各所にある。
業界大手のタミヤの本社や、バンダイのプラモデル生産拠点も静岡市にある。

95社が新商品を展示 業者も「心躍る」

静岡ホビーショー2023
静岡ホビーショー2023

静岡ホビーショーは模型メーカーなどが新商品を発表・展示するイベントで、2023年は5月10日~14日に開催され、前年より10社ほど多い95社と2つの団体が参加した。
新商品をいくつか紹介しよう。

タミヤ・RC BBX(1/10)
タミヤ・RC BBX(1/10)

タミヤはラジコンカーに力を入れていた。
BBXはアメリカで人気を集めるトラディショナルなシングルシーター・バギーをコンセプトに、現代の高い走行性能を持たせた後輪駆動のラジコンバギーだ。実車感を追求したシャーシや足回りなど、細部にこだわったという。

タミヤ・モノレール工作セット
タミヤ・モノレール工作セット

親子で工作が楽しめるのが、モノレール工作セットだ。車体が紙でできていて簡単に組み立てられ、色鉛筆などで自由に塗って仕上げる。

バンダイ・“ガンプラ”コーナー
バンダイ・“ガンプラ”コーナー

バンダイは機動戦士ガンダムの新しい模型などが根強い人気だ。シリーズ最新作「水星の魔女」関連のものに注目が集まっていた。

ハセガワ・ホンダVT250F(1/12)
ハセガワ・ホンダVT250F(1/12)

ハセガワは1960~80年代のバイクや車を忠実に再現したプラモデルに力を入れていた。
ホンダVT250Fは1984年モデルで、当時一番売れたバイクだそうだ。

「ハセガワ・いすゞベレット1600GTR(1/24)」
「ハセガワ・いすゞベレット1600GTR(1/24)」

いすゞベレット1600GTRは1969年発売の名車だ。担当者によると、今は“旧車ブーム”でバイクも車もこの時代のものの人気が高いそうだ。本物に近いものを手元に置いておきたいと買い求める人が多いのだろう。

取材したホビーショー初日は業者向けの公開日で、多くのバイヤーが集まっていた。

来場者
ウキウキしながら見て歩いているところです。新しいプラモデルができてきているのが、うれしくなってしまう

バンダイ・“ガンプラ”コーナー
バンダイ・“ガンプラ”コーナー

来場者
ガンダムの新商品などを見に来ました。やはりいつ来てもホビーショーは心が躍る

来場者
私は模型店なので、タミヤの新製品バギーやシャーシという車などを見に来ました。タミヤのブースは、実車も展示されていたり、いろいろなものが見られて楽しい

4年ぶりに海外バイヤーも来場

2023年は4年ぶりに海外のバイヤーも訪れ、気になる商品についてメーカーなどに問い合わせていた。

有限会社プラッツ・松本 純枝さん
レーシングカーのシリーズの問い合わせが多かった。商品の紹介です。先ほどはインドネシアの方だったので、インドネシアで人気のあるものを逆に聞いたりしていました

タミヤ 企画開発部・青木孝憲主任
開発の経緯をいろいろ質問されました。ラジコンは競技色の強いホビーなので、走行性能などが興味を持たれていました

初日からメーカーとバイヤーの熱気に包まれた静岡ホビーショー。
静岡模型教材協同組合の理事長を務めるタミヤの田宮俊作会長も満足そうだ。

静岡模型教材協同組合・田宮 俊作 理事長
静岡の模型でないと海外は困る。模型の世界市場は言葉だけでなく、そうなっている。彼ら(海外バイヤー)だって(静岡に)来ないといけない。静岡に来て楽しんでいますよ。
(Q楽しんでいる様子を見てどうか?)すごくうれしいです。僕らも楽しんでいますから

静岡ホビーショーは13日・14日が一般公開だが、事前登録制で受け付けはすでに終了しているそうだ。

新型コロナに翻弄された3年間

静岡ホビーショーは新型コロナによって大きな影響を受けた。

2020年は中止、2021年は日程が5日間から2日間に短縮され、業者商談会だけが行なわれバイヤーは国内に限られた。
2022年は日程が5日間になったが、バイヤーは国内限定で一般公開も事前登録制だった。
2023年は4年ぶりに海外のバイヤーも訪れた。一般公開は、引き続き事前登録制だ。

静岡ホビーショー2023
静岡ホビーショー2023

ただ、新型コロナは業界にとってマイナスばかりではなかった。巣ごもり需要で、新たなファンを獲得できたからだ。
こうした新しいファンを離さないようにどう取り組むか、アフターコロナの業界の課題だ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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