6歳の時、大やけどで入院中に手にした、少女漫画雑誌「ちゃお」。それが漫画家を志すきっかけになったと語る主婦。夢は現実となり、今では3人の子供を育てながら「ちゃお」の連載を手がける作家として活躍しています。

ごく普通の主婦から漫画家へ

「わたしが好きになる人 わたしを好きになってくれる人って どこかにいるのかな」

(c)あまねあい/小学館
(c)あまねあい/小学館
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漫画家・あまねあいさん:
母から今でもたまに言われる。“一番子供を見ていられるこのときにそんなに働いて後悔するんじゃないの”と

――そう言われながらも漫画家は続ける?

漫画家・あまねあいさん:
絶対辞めない!!

あまねあいさん
あまねあいさん

デビュー6年目、佐賀・唐津市在住の漫画家、あまねあいさんです。顔を隠すのがもったいないくらいすてきな女性ですが、残念ながら顔出しはNG。

――先生にとって「ちゃお」とは?

漫画家・あまねあいさん:
教科書、バイブル、道しるべ、人生

今では、発行部数トップの少女漫画雑誌「ちゃお」の読み切りや「ちゃおデラックス」の連載を受け持つ、あまねあいさん。漫画家を志したきっかけが「ちゃお」であり、そこで漫画を描くことが幼いころからの夢でした。

大やけどがきっかけで…

漫画家・あまねあいさん:
6歳で入院して、その日は今夜がヤマ場と言われていた

6歳の冬、自宅でストーブの上のやかんを倒し、痛みを感じないほどの大やけどを負ったあまねあいさん。病室のベッドの上では自由に動くこともできませんでした。

(c)小学館
(c)小学館

漫画家・あまねあいさん:
“退屈だ退屈だ”と言っていたので、母が見かねて「ちゃお」を買ってきてくれて「ちゃお」にどハマりした。そこで“漫画家になりたい”と。“ちゃおでこんな風に描きたい”と思った

こうして「ちゃお」の世界に引き込まれた6歳の少女は早速、入院中の病室で漫画を描き始めました。その後、小・中・高と、学校では気づけばノートなどに漫画を描いていたといいます。

漫画家・あまねあいさん:
漫画家になると、どこにでも書いていた。机にも書いていた。何がしたいのかを明確にすると楽しくなる。毎日が

ただ、本格的に漫画家の道へ進むことはせず、高校卒業後にはすぐに結婚、今では3人の子供を授かりました。それでも、育児の合間を縫って漫画を描き続けていたある時、転機が訪れます。

初の投稿作品が“転機”に

漫画家・あまねあいさん:
10歳のころの途中で描きやめていた作品が見つかったので仕上げて投稿した

提供:小学館
提供:小学館

なんと、初めて投稿した作品が、小学館最大の新人漫画賞、新人コミック大賞 少女・女性部門で佳作を受賞。受賞と同時に漫画家としてのデビューが確実となる賞です。

漫画家・あまねあいさん:
次男を抱っこして電話に出たら“デビューが決まりました”と。もうガタガタ震えて、電話切ったあともわーわー叫んでいた

(c)小学館
(c)小学館

そして、2017年3月、2カ月に1回発売される「ちゃおデラックス」でデビュー。ごく普通の主婦が『漫画家 あまねあい』になった瞬間でした。ただ、独学かつ経験の浅さから当初は悔しい思いも。

「自分の好きなものを描く」

漫画家・あまねあいさん:
いざ、デビューしてみたら、本当にド素人の自分がもう恥ずかしくて恥ずかしくて

頭では思いついていても、それをうまく表現できない日々。無意識に描いているほど好きだった漫画が一度は描けなくなったといいますが、そんなときに考えたのが…。

漫画家・あまねあいさん:
一話でいいことをしよう、読者に印象に残るせりふを描かなきゃ、という取り繕ったものからシフトチェンジした。自分好みの“こういうのかわいいよね”とか

“自分の好きなものを描く”。必死にもがいてたどりついた、独自の作風でした。

(c)あまねあい/小学館
(c)あまねあい/小学館

そして2022年、自身初の単行本も。

「ただの幼なじみにこんなことしないでしょ…?告白みたいに…聞こえるんだけど…」

(c)あまねあい/小学館
(c)あまねあい/小学館

タイトルは「だからあなたに恋をした」。作者の言葉を借りると“エモ恋”漫画。同級生の男子2人の間で揺れ動く女子中学生を描いた青春恋愛ストーリーです。

3児の母として…漫画家として

一方、そんな漫画家としての顔も持つ母のことを子供たちはどう思っているのでしょうか?

――お母さんどう?

次男(小学2年生):
家で漫画描いている。うまい

(c)あまねあい/小学館
(c)あまねあい/小学館

漫画家・あまねあいさん:
長男はしゃべりかけちゃいけないと思っているので、そっとしておいてくれる。次男、三男はおかまいなしに話しかけてくる。でも“この絵どう?”ってパっと見せたら、“なになにの絵だ”とか言ってくれて、この子たちに伝わるなら読者にも伝わるかみたいな指針になってくれる

――学校で自慢する?

長男(小学3年生):
しない。お母さんが言ったらダメって言うから。友達にはバレてない

今では多くのファンもいます。2月には自身初の漫画ワークショップを開催し、20人の定員はすぐに埋まりました。

参加した小学生:
あまねあいさんの漫画を読んだことがあって、面白かったから参加しようと思った

参加した小学生:
あまねあいさんみたいな漫画家になりたい

また、最近では地元・唐津にも活躍の場を広げています。

漫画家・あまねあいさん:
唐津の人が見て“あっ!”と目に留まったらいいなと

唐津市ボートレース企業局・山下貴也さん:
少女漫画家という全く真逆の層だけど、そういう人も気軽に来られるような良いイメージアップにつながるのかな

3児の母として、漫画家として、日々奮闘するあまねあいさん。

漫画家・あまねあいさん:
正直大変。きれいごとじゃない、ここばかりは

決して両立は簡単ではありませんが、漫画への情熱は弱まるどころか強くなるばかりです。

(c)あまねあい/小学館
(c)あまねあい/小学館

漫画家・あまねあいさん:
“あまねあい”という名前を聞いたときに、“あ、ちゃおの人ね”って思われるような作家になりたい

(サガテレビ)

サガテレビ
サガテレビ

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