身近な“ある食べ物”が、いま物議を醸している。

国民食としても愛されているとんかつを巡り、物議
国民食としても愛されているとんかつを巡り、物議
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それは、日本の国民食としても愛されている「とんかつ」だ。一体何が、問題となっているのだろうか。

中心部が赤みががった“レアとんかつ”
中心部が赤みががった“レアとんかつ”

発端は、ネットに投稿された画像だった。
中心部が赤みがかった“レアとんかつ”と呼ばれる画像が数多くアップされ、「レアとんかつ たまらなく好き!」「ピンク色の肉から出る肉汁がたまらない」など、絶賛する声が相次いでいるのだ。“レアとんかつ”を売りにする店も続々登場し、人気となっている。

SNSでは、絶賛の声の一方、不安の声が上がっている
SNSでは、絶賛の声の一方、不安の声が上がっている

一方で“レアとんかつ”について「本当に食べて大丈夫?」「避けた方が無難なのでは?」と、不安の声もあがっているのが事実だ。実際、ごく一部の飲食店で、加熱が不十分とみられるとんかつが提供されているという。

E型肝炎ウイルス・食中毒、体内への寄生虫侵入…様々なリスク

食品安全委員会は、当該点を注意するよう保健所に促した(2022年1月)
食品安全委員会は、当該点を注意するよう保健所に促した(2022年1月)

食品安全委員会には「中心部をレア状態で販売している」「刺身として食べられる最高品質の豚と掲示している」などの情報が寄せられ、2022年1月、当該店を注意するよう関係する保健所に促した。

厚労省は食品衛生法に基づき、豚肉を生食用として販売・提供することを禁止している
厚労省は食品衛生法に基づき、豚肉を生食用として販売・提供することを禁止している

厚生労働省は豚肉について、食品衛生法に基づき、2015年から豚肉を生食用として販売・提供することを禁止。「中心部の色が白く変わるまで十分加熱して食べる」よう注意を呼びかけている。

“生”の豚肉を食べると、様々なリスクが
“生”の豚肉を食べると、様々なリスクが

もしもしっかりと火が通っていない豚肉を食べると、以下のようなリスクがあり、しっかり加熱する必要があるということだ。

▼E型肝炎ウイルスに感染
▼「サルモネラ菌」「カンピロバクター」などの食中毒
▼寄生虫などが体内に入る

“レアとんかつ”提供する店の安全管理は?

しかし最近では、低温調理など様々な方法で熱を通し、見た目が少しピンク色でも大丈夫と提供している店もある。
安全管理はどうしているのか?実際に“レアとんかつ”を提供するお店に取材した。

“レアとんかつ”を提供する店の安全管理策は?
“レアとんかつ”を提供する店の安全管理策は?

▼一晩かけて低温調理し、十分に加熱している
▼厚労省が基準としている温度で管理している
などのほかに、加工の段階で菌などが入らないように、衛生管理もしているということだった。

一方で、フードジャーナリストの山路力也(やまじ・りきや)さんはこう話す。

フードジャーナリストの山路力也さんも、注意を促す
フードジャーナリストの山路力也さんも、注意を促す

▼ピンクがかっているものでも十分加熱して提供している店もあるが、調理に手間と技術がかかるので、ごく一部の店に限られる
▼さらに、中心部分と周辺部分の色の差が大きいものは、加熱不足の可能性が高いので特に注意  
とのことだ。

しかし生焼けなのか、低温調理なのか、パッと見ではなかなかわからないかもしれない。信頼できる店かどうか、利用者も見極める必要がありそうだ。

「SPF豚=無菌豚」ではない!生食NG 豚肉は全て加熱用

“レアとんかつ”提供店の中には「SPF豚」の使用をうたう店もあるが…
“レアとんかつ”提供店の中には「SPF豚」の使用をうたう店もあるが…

ちなみに“レアとんかつ”を提供するお店によっては、「SPF豚」という豚肉を使用しているとうたう店もある。

SPF豚=無菌豚、ではない。生食はNGだ
SPF豚=無菌豚、ではない。生食はNGだ

厚労省によると「SPF豚」とは、特定の病気を持たない健康な豚で、肉はきめ細かく、特有の臭みがないとされるという。このため「無菌豚」と勘違いする人もいるが、SPF豚も、生では食べられない。注意が必要だ。

豚肉はすべて加熱用。家庭で調理する際は、中心部の色が変わるまで十分に加熱してほしい。

(「イット!」5月1日放送より)