ピッチャー大谷を支える「ピッチコム」。その使用術には開発者も驚いていた。
4月27日(日本時間28日)のエンゼルス対アスレチックス戦。3番・投手兼指名打者で、先発出場した大谷翔平選手は、打っては今シーズン初の3安打。投げては無傷で今シーズン4勝目をあげ、投打で“ショータイム”の主役となった。
この試合で唯一の失点を喫した4回、大谷選手が不調を訴えていたのがサインの伝達に使う「ピッチコム」だ。
今シーズンから、ピッチャーからキャッチャーへもサインを送れるようになり、大谷選手は2月のキャンプ初日から機器を装着して練習していた。
大谷翔平選手(2023年2月):
自分が首を振って納得いくボールを投げるタイプなので、自分で(サインを)出すことから始めようかなと思ってます。
メジャーリーグでは今シーズンから、ピッチャーはランナーなしで15秒、ランナーありで20秒以内に投げなければならなくなった。
そのためキャッチャーのサインに首を振るなどしていると時間がなくなってしまうため、大谷選手は投げるボールを自分で決めることにしたのだ。
今シーズンは、開幕戦からピッチコムを左腕に装着。自ら投げる球の種類とコースを決め、キャッチャーに伝えている。
前回の登板後には、自ら球種を決めることについて、こう話していた。
大谷翔平選手:
楽しい部分はあると思います。自分で決めて投げるというところに対する責任も出てきますし、言い訳はできない。
開発者に取材 実際使って見ると…
FNNは、このピッチコムの共同開発者、ハンキンスさんを直接取材。すると大谷選手がピッチコムを使用していることに大感激していた。

ピッチコム共同開発者 ジョン・ハンキンスさん:
もう大興奮でした! ワオ!ショウヘイが使ってるよって。
早速、どんなふうに聞こえるのか試してみた。
FNNニューヨーク支局 弓削いく子支局長:
こちらが受信機です。こちら非常に軽いんですけど、帽子の内側に挟み込むだけなんです。


ピッチャーが機器を通してサインを送ると…。

「ツーシーム真ん中高め」とピッチコムから聞こえる音声。

FNNニューヨーク支局 弓削いく子支局長:
ちょっと音声は大きくしていますが、ツーシーム真ん中高めという指示がハッキリ聞こえました。
自分の声を録音して使用することができるため、どんな言語にも対応可能だという。
ボタンが9個に増えたのには、ある選手の存在が
開発当初、球種やコースを決めるボタンは、5つだったが最終的には9個に増えた。

それには、ある日本人メジャーリーガーの存在が関係しているという。
ピッチコム共同開発者 ジョン・ハンキンスさん:
ダルビッシュ有です。ダルビッシュ有は球種が12くらいあると知られています。だからボタンを増やすことにしたんです。

メジャーでもトップクラスの球種の多さを誇るダルビッシュ投手の投球に対応するためボタンを増設。
一方で、左腕につける大谷選手の使い方は想定外だったという。
ピッチコム共同開発者 ジョン・ハンキンスさん:
大谷独自のやり方で使いこなしています。彼は腕の下に装着し、ボタンを見ません。どこに何があるのかわかっているのは、かなりスゴイことです。

開発者も驚く“大谷流”使用術。開発では、ベルトやグラブなどに着けることを想定していたといいう。

他のピッチャーはピッチコムを見える場所に着けていて、どのボタンを押すかも丸見え。大谷選手がいかに使いこなしているかがわかる。
14日から続く17連戦も、残り3試合(日本時間28日時点)。28日(日本時間)の試合後のインタビューでは…
ーー明日以降は?
大谷翔平選手:
必要とされれば出たいなと思ってますし、体調的に今のところは問題ないかなと思います。
唯一無二の二刀流スター。今シーズンのショータイムは始まったばかりだ。
(「イット!」4月28日放送より)