宮崎県が誇る完熟マンゴー「太陽のタマゴ」。その初競りに全力で挑む老舗果物専門店の店長に密着した。
「最高級マンゴー」が今年も解禁
福岡市・天神の岩田屋本店に入っている「南国フルーツ」は創業90年を誇り、「等級」が最も高い最高級フルーツを取り扱う博多の老舗果物専門店だ。
この日、店長の坪内さんは何やら朝からそわそわした感じで落ち着かない。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
「太陽のタマゴ」が、明後日（4月13日）の木曜日に解禁になります。「ドキドキ」と「ワクワク」って感じですね
宮崎県が誇る完熟マンゴー「太陽のタマゴ」はブランド化から25周年を迎え、糖度15度以上、重さ350グラム以上など厳しい基準を満たした最高級品だ。
毎年4月上旬に全国の卸売市場で初競りが行われ、「南国フルーツ」は宮崎市の卸売市場で10年連続、全国最高値で競り落としている。2022年は過去最高値の2玉54万円で取引し、大きな話題となった。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
どんどん値段も上がっていくので、上限っていうのを設けています。そこが（上限越えたら）不安ではありますけどね。絶対に競り落としたいと思っています
緊張の初競り当日
そして当日、午前6時の宮崎中央卸売市場。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
やっぱドキドキしますね。やっと来たなって感じですね
市場の中へ入り、まずは初競りにかけられる「太陽のタマゴ」をチェック。ずらっと並ぶ中、ひと際サイズが大きく、色鮮やかなマンゴーが目に入る。その2玉だけに特別な印字が施されていた。これこそ、坪内さんが狙う最高品質の「太陽のタマゴ」なのだ。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
通常の完熟マンゴーよりも糖度や色など厳しい基準をクリアしたものだけが「太陽のタマゴ」っていうものになります。絶対持って帰ります！
初競りの目的は、そのマンゴーを競り落とすことだけではなく、同じ時刻に競りが行われている東京や大阪の市場より高い値段で取引すること、つまり“日本一の価格”でこのマンゴーを競り落とさなければならない。
競りに参加できるのは、資格を持った地元の仲卸業者、長友さん。入念な打ち合わせをして競りに臨む。
競りが始まる前、関係者が試食をして出来を確認する。記者も特別に試食させてもらった。
テレビ西日本・高島彩記者：
ん～ん。果肉が滑らかで、濃厚な甘さです。とってもおいしいです
そして、いよいよ競りが始まる…と、その直前！坪内さんに一本の電話が入った。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
10？10？東京が10万？大阪が55万？
他県の状況を電話で確認。最低でも60万円で取引することに決めた。
ベルが鳴り響き、いよいよ初競りがスタート。
「50万！50万！60万！60万！！！」。館内に競りの掛け声が木霊する。
戦いは、わずか5秒で終了。坪内店長の笑顔がはじけた。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
決まりました。よかったです、安心しました
日本一、さらに過去最高値の60万円で競り落とすことに成功。報道陣も殺到する。
宮崎県の百貨店スタッフ：
かなわないですね。でも県外の会社さんで宮崎を盛り上げてくれるので、手ごわいというよりありがたい
マンゴーが“お店の価値向上”につながる
日本一、さらには過去最高値の60万円がついた特別なマンゴーを手に入れた坪内さん。その日の午後からの販売に向けて慌ただしく帰路につく。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
これは（手荷物で）持って入ります。怖いですね、大事にします
坪内さんは、空の上でも大事にマンゴーを抱えていた。
福岡の店に戻り、丁寧に飾り付け、そして店頭に。
販売価格はというと、そのまま60万円！利益はない。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
無事に届けられたので、ほっとしています
訪れた客：
いや～、0が1つ少なくなっても無理やね
訪れた客：
えっ!? 60万円!? お仏壇にあげるのも、もったいないくらいだよ
訪れた客：
すごいですね～、お値段もさることながら
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
過去最高額です
訪れた客：
そうですよね、岩田屋の「南国フルーツ」さんは間違いがないですもんね
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
期待を裏切らないように頑張ります
最高級フルーツを取り扱う老舗果物専門店として価値を高めるのが、この初競りの目的のひとつなのだ。
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
こういう「高級なものも取り扱っているお店」って知ってもらったら、それだけで十分効果はあるかなと思います
日本一の完熟マンゴー、利益度外視の商品と言うが、本音は？
「南国フルーツ」岩田屋店・坪内祐店長：
売れるといいんですけどね。祈るばかりです
この「太陽のタマゴ」、放送から4日後の4月25日に売れたという。
（テレビ西日本）
