海洋ごみをめぐる問題への対応が急がれる中、G7(主要7カ国)の大臣会合で新たな目標に合意するなど、「プラスチックごみ」の海洋流出を防ぐ積極的な取り組みが主要国の間でも始まろうとしている。
ただ、避けて通れないのが「プラスチックごみ」の処分の問題だ。特に海岸に多くのごみが漂着する離島では、深刻な課題となっている。窮地に立たされる山陰の離島の現状を取材した。

新たな海洋流出、2040年までに「ゼロ」に

美しい海が広がる島根・隠岐の島町。しかし、海岸にはたくさんのごみが漂着し、海の中にも沈んでいる。

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海岸清掃に取り組む安部由起さん:
長年沈んでいた感じですね。(プラスチックも)割れてしまうと海に沈んでいく

2023年4月、北海道・札幌市で開かれたG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、「プラスチックごみ」の新たな海洋流出を2040年までに「ゼロ」にする目標で合意した。 2019年のG20サミットでの合意が10年前倒しされるなど、主要国がこの問題に積極的な姿勢を示している。

「離島での処理には限界がある」

こうした中、隠岐の島町では「ある問題」に直面している。それは、海洋流出を防ぐため回収された「プラスチックごみ」の処分だ。隠岐の島町内の廃棄物最終処分場を訪ねた。

海岸に漂着したごみのように、塩分や汚れなどが付着したプラスチックはリサイクルが難しく、また、町内にプラスチックごみを処理できる民間施設がないことから、隠岐の島町では、回収されたプラごみのほとんどが、不燃ごみなどと一緒に埋め立てられている。

隠岐の島町 環境課・原秀人課長:
私が指している(奥の)辺りに「海岸漂着ごみ」が埋まっている。令和9(2027)年度で満杯になる見込み

この処分場では、容量の8割以上がすでに埋まり、2027年度には上限に達する見込みだ。1年間に埋め立て処分されるごみのうち、海洋ごみは約1割、100トン程度を占め、処分場のひっ迫に拍車をかけている。

さらに、日本海の離島・隠岐の島町の沿岸には、中国や韓国などからもごみも流れ着き、その処理の負担はより一層大きくなっている。

隠岐の島町 環境課・原秀人課長:
「海岸漂着ごみ」については、世界で発生したものが隠岐に漂着するという背景もある。離島での処理には限界があると思っている

隠岐の島町では、国の補助金を活用し、一部の海洋ごみを島外に搬出しているが、今の財源では年間30トン程度が限界で、抜本的な対策が求められている。

海洋ごみに国境はなく、山陰の離島にも容赦なく漂着している。
プラスチックの海洋流出「ゼロ」へ、世界的規模で対応が急がれる中、小さな離島に「しわ寄せ」がないよう、負担軽減へ向けた国や県の支援も必要だ。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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