石川に来て6年目の石川テレビ・秋末アナウンサーが石川で感じた違和感や不思議、謎を解明していく。今回は石川と富山の県境にある「倶利伽羅」という地名。調査すると意外な事も分かった。

石川と富山の県境にある倶利伽羅地区。地元の人も由来は分からず!?

秋末械人アナウンサー:
牛の角に松明をつけて戦ったとされる倶利伽羅の合戦でも有名な倶利伽羅。きょうはその名前の由来を調べていきます。

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まずは、倶利伽羅の集落で聞き込みを開始。石川県と富山県との県境に位置していて、住んでいる人は20人ほどの非常に小さな集落だ。

秋末アナ:
あちらの方に聞いてみましょう。こんにちは!倶利伽羅という地名を調べていまして、由来、ご存じですか?
中山勇司さん:
詳しいことというか、そんなこと特に勉強しとるわけでないもんやから分からないけれども。

生まれも育ちも倶利伽羅で御年82の中山さんでも詳しくないとのことで、これは手強いかもしれない。

倶利伽羅はインドの言葉が由来!しかし、寺と地名で漢字が違う

そこで訪れたのは、奈良時代からこの地域にあるとされる倶利迦羅不動寺と言う寺。住職の五十嵐さんに伺った。

秋末アナ:
倶利伽羅という名前、すごく特徴的だと思うんですがその由来って何なんですか?
倶利迦羅不動寺 五十嵐光峯(いがらしこうほう)住職:
そもそもインドの言葉でして由来はこちらのお寺の御本尊様のお名前から来ているようです。
秋末アナ:
そうなんですか!

実は、倶利伽羅とは古代インドで使われていたサンスクリット語だったのだ。

五十嵐住職:
本尊様が剣に巻きついた龍の姿なんですけど、その龍の名前が『クリカ』または『クリカラ』という名前なんですね。その本尊様の名前がそのまま地名になったと考えられます。
秋末アナ:
ということは、お寺があってこの地名になっているということですか?
五十嵐住職:
そうですね。祀られている本尊様から来ているということになります。

これで謎は解決!と、思いきやここで衝撃の事実が発覚!

五十嵐住職:
地名で使われている漢字とお寺でよく使っている漢字が違うんです。

よく見てみると、倶利伽羅の「伽」の字が違うのだ。いったい何故なのだろうか?

五十嵐住職:
こちらに、うちのお寺に伝わる古文書がありますので。お寺と前田家さんとの書状ですね、お手紙のやりとりになるんですけど。

約400年前、加賀藩前田家から届いた手紙だ。これをよく見てみると…

五十嵐住職:
ここに倶利伽羅が書いてあるんですけど、これは“しんにょう”が当てられています。こちらを見ると、同じ長楽寺なんですけど”にんべん”が当てられているんですよね。

こちらは「り」も違う字が当てられているほか、こちらに関しては2文字で「栗柄」とされていて様々な字が当てられていたことが分かる。

五十嵐住職:
このあとですね、近世に近づいていきますと地名に反映されるときに「伽」になっていったのではないかなと考えています。

ただ、このデジタル社会においては漢字が違うとネット検索などで表示されないことも多く…

五十嵐住職:
できれば漢字が一緒になってもらった方が楽は楽なんですけども、どうしたら良いのかなと困惑している感じですね。
秋末アナ:
そんなこと言っちゃっていいんですか?
五十嵐住職:
はい、正直に…

SNSの場合「#ハッシュタグ」と言って、あるキーワードを含む投稿を一度に見ることができる機能がある。この場合、完全に一致しないと表示されないため参拝者に混乱を来している場合もあるようだ。

ちなみに倶利伽羅不動寺のインスタグラムは両方の表記をしている。

五十嵐住職は「どっちでも間違いではありません」と話している。

(石川テレビ)

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