“眠り” に注目した宿泊型の “おやすみライブ” イベントが開催された。

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イベントでスヤスヤと寝ているαスタッフ。周囲に流れている、ささやき声が特徴的な音楽に、心地よい睡眠を促すヒントがあったーー。

エンタメ×テクノロジーで睡眠改善

3月に開催された「ZZZN(ズズズン)-LISTEN AND SLEEP-」は、睡眠効率の改善に効果があるといわれる曲などを聴いて、質の高い睡眠を体験してもらおうと、NTT東日本などが主催したイベントだ。

舞台となったのは箱根の老舗旅館「吉池旅館」。

イベントの開始直前、αスタッフが体に装着したのは、「BRAIN SLEEP COIN:ブレインスリープコイン」というもの。

「ブレインスリープコイン」は、AIを活用して、正確に睡眠リズムなどを計測・分析するデバイスだ。

「ブレインスリープコイン」を専用アプリと連動させることで、眠りの深さや、寝返りの回数などを確認することができる。

ライブが始まると、落ち着いた音楽が部屋に響き、眠りを誘う赤い照明が部屋を照らす。

寝始めて2時間後、睡眠リズムの波形は下降し、深い睡眠へ…。脳や体がしっかりと休んでいる状態だ。

このデバイスは、室内や庭園に設置されている照明にもリンクしている。鼓動に合わせて赤色灯の光がゆらぎ、寝落ちすると消える仕組みになっている。

翌朝、計測結果を確認すると、普段の平均が約90%だった「睡眠効率」が96%という結果になった。

染谷琴音記者:
普段音楽を聴いて寝ることないんですけど、リラックスした音楽を聴いて、より深く眠れたような気がします。

他の参加者はーー

参加者(30代):
結構朝弱かったんですけど、珍しく朝早くて元気だねって言われました。

参加者(40代):
まさに寝落ち。気がついたら寝ていました。ヒーリングミュージックに興味が出たので、家でも聴きながら寝落ちしてみようかな。

主催企業のひとつ、NTT東日本の担当者は「新しい睡眠体験を通して、“日々の眠りを見直す”きっかけにしてほしい」と語る。

NTT東日本 スリープテック事業 Director・尾形哲平さん:
新しい体験を掛け合わせることによって、“眠り”というのを楽しんでもらいながら、しっかりリラックスして、「寝る」というところに価値を持ってもらう。我々の事業としては、睡眠をいかにエンタメ化するか、色んな企業と掛け合わせることによって、眠りのその先にある価値づくりというのをすごく大事にしているので、新しいイベントをどんどんうっていきたい。

“日中の眠気”は「いい眠り」の目安

「Live News α」では、産婦人科専門医の稲葉可奈子先生に話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
毎日を健康に過ごすための「新しい睡眠体験」。稲葉先生は、どうご覧になりましたか。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
日本は世界的に見ても睡眠時間が非常に短い国です。睡眠の量や質が、学力や仕事のパフォーマンスに影響するという報告もあります。健康経営の一環として、「いい睡眠」に取り組んでいる企業もあります。

ただ、睡眠の質の測り方は確立しているものではありません。

この「睡眠効率」というのも、あくまで参考値として、「いい眠り」を得るためのサポートとしてうまく使えたらいいですよね。

堤 礼実 キャスター:
「いい眠り」が注目されているのは、それだけ自分はよく眠れていない、という方が多いということなのかもしれませんね。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
必要な睡眠時間も、「眠りの質」も個人差があります。例えば、朝なかなか起きられない、日中も眠気があるかどうかは、大事な目安です。

何時間寝ないといけない、睡眠の質があがらない、と数値ばかりを考えすぎずに、大切なのは日中元気に過ごせているかどうかです。

生活習慣やストレスを改善しても、なかなか眠れない、眠っても日中眠いという場合には、睡眠障害の可能性もあるため、まずは受診してみましょう。

企業側の取り組みも重要

堤 礼実 キャスター:
「いい睡眠」を心がけたり、「眠り」をサポートするグッズなどに頼っても、なかなかスッキリと目覚めることができないという方は、どうしたらいいのでしょうか。

産婦人科専門医・稲葉可奈子さん:
睡眠の質以前に、業務の効率化などにより、長時間労働を是正して、十分なプライベートタイムを確保できるようにするというのも、企業の取り組みとしては重要かと思います。

ただ、規則正しい睡眠を、と言われても、赤ちゃんの夜泣きや授乳や、職種によっては規則正しい睡眠が難しいこともあります。

そういう場合には、休める時に休んで疲れをためないようにする、というのも大事です。

睡眠時間は十分とっているのに日中眠い、という場合には、睡眠時無呼吸症候群や、子どもなら起立性調節障害の可能性もありますので、一度受診することをおすすめします。

堤 礼実 キャスター:
私自身、4月から生活のリズムが変わったこともあり、睡眠について、より意識するようになりました。

ついつい、やらなければいけないことや、やりたいことを優先してしまいがちですが、やはり「眠る」ということは体にとっても心にとっても、とても大切なことですよね。

睡眠と向き合うことは、自分を大切にする第一歩なのかもしれませんね。

(「Live News α」4月19日放送分より)