神奈川県相模原市のキャンプ場で、約20メートルの大木がテントを直撃し、下敷きになった女性が死亡した事故。

キャンプ場の樹木の点検に問題点はなかったのか。茨城県でキャンプ場の管理・運営を行う「リリーアカデミーキャンプセンター」の園部高生会長に、点検上のルールや判断に迷った際の対応について聞いた。

毎日「目視」と「触って」樹木を確認

ーー毎日どういった点検を行っている?
キャンプ場は毎年4月からスタートするので、我々はその前に必ずプロの方に頼んで、木の伐倒作業の相談をします。

毎日の点検としては、まず「目視」で確認します。
枝がかなり落ちていたり、根本を触ると皮がポロポロと簡単に剥がせたり、軍手で掘れるような状態は、明らかに「根腐れ」を起こしているので、これは素人でも判断できる伐倒の基準となります。

一方で、表面は硬いけど木の年数は相当経っているような判断が付かないものについては、茨城県だと各市町村にある林業指導所の判断を仰いで、伐倒します。

茨城県では、樹木の病気や害虫などの相談に関しては各エリアごとの林業指導所に問い合わせると、的確な判断、ないしは現地に来てもらって確認できるようになっています。

事故があった「新戸キャンプ場」で倒れた木
事故があった「新戸キャンプ場」で倒れた木
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ーー点検ルールは?
キャンプ場の管理者としては、人の命を預かる施設なので、毎日「目視」と「手で触って」樹木の状態を確認しています。

我々のキャンプ場は東京ドーム6個分ほどある広大な敷地なので、キャンプサイトエリアに加えて、子供たちが歩く通路沿いの樹木なども必ず確認します。

判断に迷ったらプロに相談

事故があった「新戸()キャンプ場」で倒れた木は高さ約18メートル、太さ70センチ。

キャンプ場の従業員は警察に対し、木の状態を「毎朝確認していた」と話しているが、園部さんは「迷ったら躊躇せずにプロに判断を任せることが重要」と話す。

ーー毎日点検する人は木に詳しい人?
私どものキャンプ場のスタッフには、県の営林署関係の仕事についていた人がいるのと、キャンプインストラクターという公的な資格を持っている人を配置しています。

よって、キャンプインストラクターならではの視点での管理運営もやっています。

ーー今回の事故の問題点は何だと思う?
やはり「迷い」だと思います。

目視で確認して「まだ大丈夫かな」と判断が付きにくい樹木があります。

テントを張って宿泊するキャンプサイトに近い場合は、迷ったら躊躇せずに判断をプロに任せることが重要だと思います。

また、関東地区や関西もそうかもしれませんが、雷が多いエリアなので、テントサイト近くに高い樹木がある場合は、そこに雷が落ちる可能性があるので、そういうところは避けてテント設営をするのもポイントです。

今回の事故は違いますが、利用者は今後気をつけていかなくてはいけない点だと思います。

ーー判断に迷ったらプロへの迅速な相談が重要?
キャンプ場を運営するということは、人の命を預かるということでもあるので、例えば「根腐れ」が起こっているかどうかの判断がつきにくい場合は、速やかに専門家である「樹木医」に相談することが大切です。

または、市町村ごとに林業指導所という公的な機関があるので、そういったところを使うことも判断材料になります。

今回のキャンプ場も日々管理運営を行っていたと思いますが、やはり判断が付きにくい樹木があったのかなと思います。
その場合には、躊躇なく樹木医や林業指導所に相談するのが一番だと考えます。