ヤフーは、オンラインショッピングモールで購入した商品の配達日を遅くすると、ポイントがもらえる新たなサービスを始めた。

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ヤフーが11日から始めた「おトク指定便」は、Yahoo! ショッピングで商品を購入する際に、配達日を遅らせると、最大で100円相当のPayPayポイントが付与されるサービス。配達日は2週間先まで指定可能となっている。

ヤフーによると、ヤフーショッピングでは注文の約8割で配達日の指定がないため、「おトク指定便」で配達日を指定することで、出荷や配達日を分散させることが狙いだ。

また、再配達を減らすなど、配送業者の負担を軽減することで、「2024年問題」にも対応したいとしている。

矛盾の解決こそ新しい時代の取り組み

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
商品到着を遅らせる代わりにポイントを付与するサービス。経営者である石倉さんの目には、どう映っていますか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
まさにイノベーション的な取り組み。イノベーションというと、画期的なサービスや技術を指すことも多いが…。

消費者に便利なサービスを提供しながら、配送業者などの負担を減らすという矛盾する問題を同時に解決できるアイディアこそ、これからの時代のイノベーションと言える。

堤 礼実 キャスター:
確かに、今回の取り組みは、物流の危機に対するひとつの答えになるかもしれませんね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
2020年の宅配個数は48億個超で前の年と比べて約12%増えているのに、トラック運転手はあまり増えておらず、平均年齢も47歳を超え高齢化も進んでいる。

この状態で荷物が増え続けたら、持続可能でなさそうなのは目に見えている課題。

その中で、多くの注文を受けるプラットフォームであるヤフーが配送を遅らせることで、すぐに届かないといけない荷物を減らす取り組みをしたのは大きな出来事。

可視化する「便利」の裏の努力

堤 礼実 キャスター:
いまはネットで注文したものが翌日に届くのが当たり前のようになっていますが、これは宅配に携わる方たちの努力によって支えられているわけですよね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
今回の取り組みが広がっていくと、配達員の負担軽減はもちろん、数名で運営しているECショップも、配送の手続きに追われている状態から解放されるかもしれない。

こういった取り組みで大きいのは、買い手にとって便利なサービスはたくさん生まれるが、その裏にいる提供事業者に歪みがあってはダメなことを、みんなが自覚できること。

便利だったり安かったり、自分だけにカスタマイズされたサービスというのは消費者としてうれしいが、それが提供側の負担になっていると、結果として長続きせず、そのサービスを消費者が失うことになるかもしれない。

そういう意味で、やはり、SDGsの時代のイノベーションを考えると、経営者としてはこの2つを同時に解決する手段をどう考えるかが腕の見せ所であるし、消費者としてそういったサービスを意識的に選ぶことも必要かもしれない。

堤 礼実 キャスター:
「便利さ」の裏には様々な人の苦労がある。そういったことに改めて気づくきっかけにもなると思います。すぐに手元に欲しいもの、そうではないもの。
配達のタイミングを選択できることで、届ける側と受け取る側、お互いがちょっとうれしくなるような素敵なサービスだと感じました。

(「Live News α」4月11日放送分より)

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