「街ににぎわいを生み出したい」と宮城県南三陸町の建設会社が新商品を開発した。手掛けたのは建物ではなくお菓子。地元の資源を無駄なく生かし、復興の“その先”を目指している。

建設会社がなぜ?お菓子作り

南三陸さんさん商店街のお店に並んだこちらのお菓子。2023年3月に発売された「海藻クラフトチップスMocka(モッカ)」。数ある地元の食品の中でも人気を集めている。手にしたお客さんは…。

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大阪からの観光客:
東北に来たら東北のものをたくさん買って帰ろうと思っていたので、この辺のものばかり使っていると聞いたので買おうと思った。

地元の買い物客:
ノンフライなのでヘルシーだから子供に食べさせるのにもいい。子供が海藻とかワカメを食べられないので、お菓子だったら食べてくれると思った。

さんさん市場 太田裕 店長:
南三陸は海産物や農作物が中心となった商品が多いが海産物の加工品はお菓子が無かったので、すごくいい商品と思う。販売してわずかだが予想以上に売れ行きが良く何回も追加で持ってきてもらっている。大人気商品で地元の加工品としてはトップをしめる商品となっている。

モッカは南三陸町にあるパン工房で作られている。パン工房が休みの日に、地元の建設会社が設備を借り、製造している。作業はすべて手作業。味や食感にこだわっている。

商品の開発を手掛けた建設会社取締役の阿部将己さん。

Q.なぜ建設会社が食品開発を?

阿部伊組 阿部将己 取締役:
本業は建設会社だけれど、震災後いろんな復旧によって社会インフラを整備する仕事をしたが、これからはインフラというハードでなく、その上に成り立つ町づくりをしなくてはと思い、地域の資源を使ってモノ作りができないかと、海藻の食品製造をやろうと思った。

阿部伊組 阿部将己 取締役:
地元・南三陸で採れた間引きワカメと茎ワカメになります。

モッカに練り込まれているのは、成長を促すために間引きされたワカメと茎ワカメ。どちらも食用としては活用しきれていない現状がある。中でも、間引きワカメは産業廃棄物として捨てられることが多いという。

阿部伊組 阿部将己 取締役:
間引きされるからおいしくないとか、茎ワカメだからおいしくないことはない。うまく活用できていない部分が一番の課題と思ったので、うまく調理製造しておいしいものを作れば消費される見通しもあったので、廃棄される部分に着目して商品を開発した

評判になっているという、その味は…。

梅島三環子アナウンサー:
いただきます!結構ワカメ。風味を強く感じる。

阿部伊組 阿部将己 取締役:
このモッカは、ワカメの風味を生かすためにいろいろ試行錯誤して塩味で味も極力シンプルに仕上げている。サクッと軽い食感になっていて、そこを目指して作った

南三陸町から全国・世界に海藻の魅力を

阿部さんは建設会社の取締役として、モッカの開発だけでなく、次の夢に向けても動き出している。

梅島三環子アナウンサー:
阿部さん、こちらは?

阿部伊組 阿部将己 取締役:
2023年9月にオープン予定のカフェが建設される場所。海が一望できる場所に海藻専門のカフェショップをオープンする予定です。これだけ湾を眺められる場所はそんなにないので、ワカメの養殖をしている風景も季節によって見られるのでとてもいい場所と思う。

伊里前湾を一望できる場所に建設されるカフェ。これまで開発した、海藻を使ったバターやシーズニングなど、商品の販売も行いながら、東北の海藻にこだわったオリジナルの「海藻食」を提供する予定。

阿部伊組 阿部将己 取締役:
海藻は、いろいろな食べ方があることを皆さんに知ってもらいたい。海藻は環境を良くする生き物でもあるので、「食」を通して知ってもらいたい。南三陸町から全国・世界に海藻の魅力を伝えていきたい。

そして、町づくりについてもこう意気込む。

阿部伊組 阿部将己 取締役:
震災があって元に戻ったと言えばいいかもしれないが、そこから飛躍して復興を目指すのであれば、新しい技術や人という要素が入らないと今まで以上の町のにぎわいの活性化につながらないと思っているので、その一端を我々の新規事業が担っていけたらと思う

地元の建設会社が進める新たな取り組み。南三陸町のにぎわい作りに向けて、阿部さんの奮闘は続く。

(仙台放送)

仙台放送
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