今や家族の一員となったペット。コロナ禍でさらに絆が深まり、寿命も延びているという。そうした中、多忙になっているのが動物医療の現場だ。4月から獣医師をサポートする国家資格の動物看護師が登場している。

新たに誕生「愛玩動物看護師」

福岡市早良区で34年間、診療を続けている室見動物病院。

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「冷たかったね」と語りかけながらイヌの体に注射針を刺し、採血をしているのは獣医師ではない。

新たに誕生した国認定の「愛玩動物看護師」なのだ。

2023年2月に第1回国家試験が行われ、動物看護師統一認定機構によると、全国で1万8,000人余りが認定を受けた。この病院では専門学校を卒業後、補助スタッフとして働いていた4人が国の認定を受け、動物看護師として働き始めている。

年々忙しくなる獣医師

ペットの中でも代表的な、イヌとネコの飼育実態に関する調査が行われた。

イヌとネコの平均寿命
イヌとネコの平均寿命

調査によると、飼われている数がほぼ横ばいなのに対して、平均寿命は2010年に比べ1年ほど延び、2022年はネコが15.6歳、イヌが14.8歳となった。

ペットの寿命が延びるに連れて、動物病院では、がんや糖尿病治療といった高度で多様な獣医療が求められるようになっている。
ペットを「家族の一員」ととらえる関わり方の変化も相まって、獣医師は年々忙しくなっていて、それをサポートする国家資格として認定が始まったのが、これまで公的な資格がなかった動物看護師なのだ。

愛玩動物看護師・矢野さん:
できる業務内容が増えますし、今まで獣医さんが行っていた仕事を私たちもやれるようになる

獣医師とワンチームで

動物看護師は、これまで獣医師にしか許されていなかった採血や投薬、カテーテルによる採尿、さらにマイクロチップの装着といった医療行為を獣医師の指示の下で行うことが可能となっている。

獣医師の負担を軽減することで、獣医師がより高度で専門的な治療行為にあたれるようになることが期待されている。一方で、病気の診断やエックス線撮影、ワクチン接種などについては、誤るとペットに危害が生じる恐れが少なくないために、引き続き獣医師が実施すると定められている。

室見動物病院の名誉院長で、県獣医師会の会長を務める草場治雄さんもメリットは大きいと指摘する。

室見動物病院・名誉院長 草場治雄さん:
日本全国の小動物の獣医療がレベルアップすることと同時に、看護師と一体となる「チーム獣医療」ができるようになったので、安心安全な獣医療、レベルの高い獣医療が全国に広がることが目標です

愛玩動物看護師・矢野さん:
状態の変化に早く気づいてあげることと、飼い主さんとイヌ、ネコが快適に生活できるように、飼い主さんと獣医師の間を取り持つ仕事もあるので、飼い主の役に立てるような看護師になりたい

国が認めた専門知識と技術を持った「愛玩動物看護師」。今後、現場で実践を重ね、獣医師とワンチームでペットと飼い主に寄り添った動物医療を提供する。ニーズが一段と高まるペット医療の現場。動物看護師が果たす役割に寄せられる期待は大きい。

(テレビ西日本)

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