統一地方選挙前半戦、島根・鳥取両県の知事選挙、県議会議員選挙は4月9日に投開票が行われる。前回4年前の投票率は、保守分裂の知事選となった島根県で62%、鳥取県では過去最低の53%と低調で、選挙のたびに低下している。
投票率向上のカギを握る若者世代と過疎地域に向け、さまざまな知恵が絞られている。

政治の世界に関心を 若者に訴える

知事選告示後の3月26日、島根・松江市で開かれた「笑える!政治教育ショー」。

この記事の画像(12枚)

高校生や大学生に政治や選挙に関心を持ってもらおうと、日本青年会議所が企画した。
講師を務めたのは相川美菜子さん。全国で若者を対象にした主権者教育に取り組んでいる「笑下村塾」の代表だ。

笑下村塾・相川美菜子代表:
自分の世代が考慮してもらえるように、自分たちが選挙に行ってもらいたい

この日は、松江市などから高校生や大学生など約20人が参加。イラストを使って選挙の仕組みなどを学んだあと、若者に人気の「人狼ゲーム」を通じて、若い世代が投票に行く意義などについて楽しみながら考えた。

参加した大学生:
政治は自分には遠い世界で難しいと思っていたが、今回の話を聞いて、わかりやすくて投票に行ってみようかなと思う

笑下村塾・相川美菜子代表:
今の社会だと、(若者が)関心を持てないような政治の世界が作られてしまっている。そこをなんとか変えたい

2019年の島根・鳥取両県の知事選では、10代・20代の投票率は20~40%台にとどまり、全体の投票率を下回っている。

まずは若い世代に政治や選挙に関心を持ってもらうことが投票率の向上に欠かせないと指摘する。

“投票所が来る”で投票率アップ

一方、山あいの浜田市弥栄町。この日、地区の集会所にやってきた1台の車の中には投票箱が積まれていた。浜田市の「動く期日前投票所」だ。

集会所では、選挙管理委員会の職員が受付を設営。10分ほどで投票所ができると、地区に住む高齢者が次々と訪れ、1票を投じていった。

動く投票所で投票する住民
動く投票所で投票する住民

2016年、浜田市は市内に78カ所あった投票所のうち8カ所を統廃合した。対象は主に山あいの過疎地域で、車などの交通手段を持たない有権者が投票を諦めてしまうことが懸念されていた。

そこで市の選挙管理委員会が対策として考えたのが、車を使った「動く投票所」だった。
投票所が廃止された地区を中心に9カ所を巡回する。「車をそのまま投票所に」というアイディアは、当時、全国で初めてで、投票率の低下を食い止めた。

投票所の方が車でやってくる「動く投票所」について、地区の高齢者も「町の中心に来いといわれても投票に行けないから」と歓迎する。

今回の選挙で9回目の出動となる「動く投票所」。市全体の投票率が低落する中、逆に動く投票所の利用率は上昇傾向だという。

浜田市選挙管理委員会・岡本正博委員長:
投票所を廃止したからといって、投票率が下がるというのは避けたかった。小さな集落でも、住民の皆さんには意見を投票に託してもらいたい

「投票所に行く」のではなく、「投票所が来る」という逆転の発想。
投票率向上のもう1つのカギを握る過疎地域の投票機会を守っている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

鳥取・島根の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。