早朝から賑わうパン屋がある。普通のパン屋と違うのは、店の外にかわいいポニーと保護ネコが遊んでいることだ。「人と動物が幸せに」。オーナーの思いに共感が広がっている。
“動物がいるパン屋さん”のはじまり
「BAKERY & CAFE SUN(ベーカリー&カフェ サン)」は、2016年、オーナーの岩倉美恵子さんが静岡・富士市にオープンしたパン屋だ。

大渕という駿河湾が一望できる高台にあり、見晴らしが良い日は、富士山の裾野まで見ることができる絶景エリアにある。
白と青を基調とした、まるで海辺にあるような店。
愛くるしい動物のオブジェもたくさん置いてあり、外にはかわいらしいポニーとネコが楽しそうに遊んでいる。

岩倉さんは動物が好きで30年近く保護活動をしてきた。
道端にいる迷いネコを保護して病院に連れて行くと、中には病気を患っているネコや、長くは生きられないネコもいた。

BAKERY & CAFE SUN・岩倉美恵子さん:
悲しい思いもたくさんしてきましたが、元気になった子に会いに来てくれる仲間もいました。次第にこの子たちの存在をもっといろいろな人に知ってもらいたい、人と動物が一緒に過ごせる場所をつくりたいと思うようになりました
こうして“動物と触れ合えるパン屋”、BAKERY & CAFE SUNが始まった。
誰もが優しくなれる 動物たちの住まい
動物は適切な治療をした後に店の庭で飼っているので、安心してパンを購入してほしいと岩倉さんは話す。
ネコは4匹。普段は白い大きなおりの中で暮らしている。保護したネコもいれば、自然と住み着いたネコも。

SUN・岩倉美恵子さん:
暖かい日は、日が当たるところで遊んだり寝たりしています。もちろん看板ネコとしてお客様とのふれあいも大切にしています
2頭のポニーは、北海道のブリーダーのもとからやってきた。名前はユッキー(メス)とスカイ(オス)。それぞれ6歳だ。

SUN・岩倉さん:
ユッキーは聡明なので名前を呼ぶとトコトコと来てくれますが、スカイは温厚でポーっとしていることが多いので、呼んでも寝ているかポーっとしています。そのため、あだ名がポーです。夕方になるとスカイと一緒に小屋に入って休みます。乗馬はできませんが、お客様とのふれあいを楽しんでいます
出来立てのパンで至福の時間を
お店のコンセプトがユニークなら、パンもユニーク。
朝7時から出来立てのパンを販売していて、食パンをはじめとした定番パン、お昼にぴったりな総菜パン、おやつパンなどがある。

第3位:ねこねこ食パン(500円)
ネコのかたちをした可愛らしい食パン。見た目もネコ、カットしてもネコ。思わず手にとりたくなる食パン。小さな子供のいるファミリーに喜ばれそうで、お土産にもぴったり。

2位:懐かしのソーダあんぱん(160円)
富士ブランド認定品で、 SUNのオリジナルパン。パンの中には鮮やかなブルーのあんが。富士市の学校給食で親しまれてきたデザート「サイダーかん」と、白あんを混ぜたものが入っている。
サイダーかんはもともと子供たちに食べられてきた味。おやつとしても食べやすそうだ。

1位:食パン(1斤300円・2斤600円)
王道の食パンで昔ながらの優しい味が人気。とてもふわふわしていて、そのままでもおいしく、味がしみ込みやすいのでフレンチトーストにするのもおすすめだそうだ。

モーニングも3種類 動物を眺めながら朝ご飯
購入後はイートインスペースやテラス席で、カフェメニューと一緒にパンを食べることができる。
子供用のソファー席やキッズスペース、ちょっとした遊具もある。
またモーニングも人気で、毎週土曜日の朝7時~11時のみだが、トースト・フレンチトースト・ピザトーストの3種類がある。

パン屋から広がる優しい思い
オープンから7年。岩倉さんの思いは徐々に広がっている。

SUN・岩倉さん:
少しずつではありますが、“動物と過ごせるパン屋”として知っていただけたことで、譲渡や保護を希望する人も増えてきました。きっかけはパンだったとしても、ここに来るだけで保護動物の存在を知ってもらえるのは、なによりの喜びです
そして、店の存在が岩倉さんを引き続き保護活動に立ち上がらせる力にもなっているようだ。

SUN・岩倉さん:
来てくださる皆さんが動物に癒され、優しい気持ちになってもらえるのが店の役割です。保護活動中には、動物に痛ましいことをしたり捨ててしまうなど、残酷で苦しい現実に心が折れそうになることがあります。しかし現実から目を背けず、一人でも多くの人にSUNを知ってもらうことで、小さな命を守ることができます。これからも人と動物が幸せに過ごせる優しい空間をつくり上げていきます
文・画像/このみ会 テレしずWasabeeより