森雅子首相補佐官(女性活躍担当)は26日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、女性活躍推進に向け企業などに男性の育児休業取得を促すことをめぐり、罰則付きの義務化に慎重な姿勢を示した。「ペナルティーを与えるよりも男性リーダーたちのマインドセット、意識改革が最も大事だ」と強調した。

番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は「ペナルティー的要素を入れた義務を、法的拘束力を高めた形でやらないと、なかなか世の中はスピード感をもって動かないのではないか」と主張。これに対し、森氏は「そもそも論で腹落ちしないと、義務化してもやらない」と述べ、「何のために女性活躍をやるのか。多様性でさまざまな人たちの意見をいれてイノベーション、改革が起きて日本の抱えるさまざまな課題を乗り越えていける知恵や力が出てくる」と語った。

ハーバード大学医学部助教授で3児の母の内田舞氏(小児精神科医)は「(男性リーダーの)マインドセットを待っているのでは残念ながら間に合わないのが日本の現状だ。法律的に罰則があること、リウォード(報酬)があることに反対しない」として、男性の育児休業取得の罰則付き義務化に反対しない考えを示した。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
橋下さんに世界中の男女平等の達成度、いわば、男女の格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数(GGI)」を見てもらいたい。この指数は「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野のデータからつくられている。2022年の日本の順位は146か国中116位。先進国の中でも最低レベルで格差が大きく、アジア諸国の中でも韓国や中国、ASEAN諸国よりも順位が低い。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
(指数を公表している)経済フォーラムの順位を信用すれば、(日本は)軍事政権のミャンマーより下というのはどういうことなのか。(日本よりわずかに順位が低い)アフガニスタンは女性が抑圧されていて大きな問題になっている。(日本は)もうそっちのグループではないか。

梅津キャスター:
順位だけみるとそう見える。

橋下氏:
ものすごく情けなく恥ずかしい。

梅津キャスター:
日本で(GGIの順位を)実感することあるか。
            
橋下氏:
あまり偉そうに言えないが、男性の家事・育児は僕もやってこなかった。

梅津キャスター:
歯切れが悪い。

橋下氏:
やはり女性が社会の指導層にどんどん入って行く社会にしなければいけないと思う。


松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
日本の男性の育児休業取得率は最新の数字で約14%にとどまっている。政府は2025年度にこれを50%まで引き上げることを目指している。女性が活躍する社会には喫緊の課題だ。

橋下氏:
僕も偉そうに言えないが、民間企業に促すには法的な、ある意味ペナルティー的な要素を入れた義務を、法的拘束力をもっと高めた形でやらないと、なかなか世の中はスピード感をもって動かないのではないか。政治の決断で民間にもっと強い義務を課し社会を動かして行くことをやらないのか。
            
森雅子氏(首相補佐官、元法相):
ペナルティーを与えるよりも男性リーダーたちのマインドセット、意識改革が最も大事だ。それがないと義務化してもやらない。そもそも論で腹落ちしないと(やらない)。何のために女性活躍をやるのか。女性が可哀想だからか。それとも子どもが生まれないからか。そうではなく、やはり多様性だ。多様性でさまざまな人たちの意見を入れて行くことでイノベーション、改革が起きて日本の抱えるさまざまな課題を乗り越えていける知恵や力が出てくる。そもそも多様性の何たるかをよく考える必要がある。

橋下氏:
それを言い続けて20年、30年(日本社会は)変わってこなかった。クオータ制(男女比割り当て)のような形でいったん義務化しないことには(社会は)動かないのではないか。

松山キャスター:
内田さんに聞く。男性育休が日本でなかなか進まない理由に「収入を減らしたくない」「昇進に影響が出てるかもしれない」などの男性の懸念がある。どう改善できるか。

内田舞氏(小児精神科医、ハーバード大学医学部助教授):
男性が育休を取らない理由のランキングを見ると、男性としてこれが事実であることは間違いないと思うが、男性がこういう事情で育休を取らない間、女性は一人で育児をしている。そのことを忘れてはいけない。私は3回妊娠・出産をしたが、毎回毎回本当に体にも精神的にも大変な状況だった。その時に夫がそばにいてくれなかったら、どれだけ孤独だったろう、どれだけ大変だったろうと思う。男性が「昇進できない」「自分にしかできない仕事がある」というのはもちろん正しいし、事実だと思うが、男性がそう言ってる間、女性は同じような事情がありながら一人で育児をしているということを忘れてはいけない。

橋下氏:
(男性育休取得の)ペナルティー付き義務化についてはどう考えるか。
            
内田氏:
もちろん私も(男性リーダーの)マインドセットから変わっていかなければならないとは思う。しかし、マインドセットは本当に長い時間をかけて社会の個人個人がいろいろなことに気づいたり、考えたり、行動しながら変わっていくものだ。それを待っているのでは残念ながら間に合わないのが日本の現状だ。そのような現状で何か法律的に動かすこと、罰則がある方法というのか、リウォード(報酬)があること、教育、お金、そういった点を動かせるのならば、私は反対しない。

日曜報道THE PRIME
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今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論!「当事者の考え」が分かる!数々のコトバが「議論」を生み出す!特に「医療」「経済」「外交・安全保障」を番組「主要3テーマ」に据え、当事者との「議論」を通じて、日本の今を変えていく。
フジテレビ報道局が制作する日曜朝のニュース番組。毎週・日曜日あさ7時30分より放送中。今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論。