1時間のうち40分間も遮断機が下りている、いわゆる“開かずの踏切”。それが廃止される。その迂回路のひとつが開通したが、住民の暮らしにはさまざまな影響がありそうだ。

「ここの踏切、開かないんです」

北海道・札幌市中央区のJR苗穂駅近くにある「東9丁目踏切」。

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林 幹夫 ディレクター:
危ない! 遮断機が下りているのに、歩行者が踏切の中に入ってしまいました。自転車もあっという間に!危険です

警報音が鳴っていても、踏切内に入る人が後を絶たない。

林 幹夫 ディレクター:
踏切が、もう閉まってしまいます。車が2台しか渡れませんでした。歩行者もまだ渡っています

朝夕のラッシュ時には遮断機が上がってもすぐに次の列車が来て、あっという間に下りてしまうことも。

警報音が鳴りやんでから、再び鳴り始めるまでの間隔はわずか3秒。

幅27メートルの踏切を車1台しか通れないこともある。

踏切の利用者:
ここの踏切は、すごく開かないんです。車で来ても時間がかかって、15分くらい待ったこともあります

この踏切は特急列車や快速列車など、1日に560本あまりの列車が通過する。

”迂回”には時間がかかる

ラッシュ時には、どのくらい遮断機が下りているのだろうか?

午前8時から1時間、計ってみると。

林 幹夫 ディレクター:
午前8時台は1時間のうち計40分間、遮断機が下りている状態でした

踏切を横断する車は、1日約2,500台、歩行者は約2,000人だ。

「緊急に対策の検討が必要な踏切」として国土交通省に指定されていた。

危険を解消するため、この踏切は3月23日に廃止され、車も人も通れなくなった。

踏切の利用者:
ここが渡れなくなったら遠回りしなければいけないので、ちょっと時間がかかります

踏切の廃止によって、歩行者が線路を渡るには迂回が必要となった。

1区画西側にある「東8丁目・篠路通」から線路の下をくぐるか、JR苗穂駅の移転開業に伴い設置された「苗穂駅自由通路」を利用する。

林 幹夫 ディレクター:
東9丁目踏切の南側にいます。JR苗穂駅の自由通路を通って北側に行ってみます

踏切の南側から自由通路を通って北側へ行くにはいったん、地上から2階へ上がらなければならない。

出入り口にはエレベーターとエスカレーターが設置され、自転車は押して通行できるが…。

林 幹夫 ディレクター:
所要時間は約12分でした

踏切とは違い、やはり時間がかかるようだ。
さらに、こんな指摘も。

タクシー運転手:
上に上がるのは、高齢者はやはり大変なんですよね。歩行者のことを考慮して、何か良い方法を考えてほしいです

踏切から300メートルほど離れた西側の空地に、新たに延長250メートルの「苗穂駅連絡通」が開通したが…

車は、大きく迂回しなければならない。

危険は解消されたが…

なぜ、アンダーパスや跨線橋にしなかったのだろうか?

踏切を管理する札幌市は。

札幌市 まちづくり政策局 阿部 賢 課長:
アンダーパスや線路の上を通すとなると、道路の長さが数百メートル必要になる。周辺の状況から、そのような構造の道路を造るのが難しいと判断し、踏切を廃止することに

危険は解消されたが、近隣住民の暮らしには影響も出ているようだ。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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