猫が生み出す経済効果を指す言葉「ネコノミクス」。その規模は年々拡大している。一般社団法人ペットフード協会の調査では、2022年、猫の一生にかかるお金は131万円と、この5年間で24万円もアップ。猫の経済効果もぐんぐん上昇中で、なんと年間約2兆円という規模になっている(関西大学 宮本勝浩名誉教授調べ)。

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飼育費だけでなく、猫を飼っていない人も猫にまつわる商品の購入が増えているそうだ。盛り上がる「猫ビジネス」の最前線を調査した。

みんな夢中!猫ビジネス最前線

人々をとりこにする「猫」。

猫好きが増え、猫のビジネスが急拡大中で、「フェリシモ『猫部』 クリスタ長堀店」には、2月22日「猫の日」に合わせて売り出された企画商品の他に、店内には猫好きの心をくすぐるアイテムがズラリ。

フェリシモ「猫部」 大原静香店長:
特におすすめしたいのが、子猫ちゃんのポーチです。子猫ちゃんって本当に短い期間しかなかなか愛でることができないので、それをいつでもカバンの中に忍ばせられるように

子猫にしかないピンクの肉球もポイント。また、猫の肉球の匂いを再現したハンドクリームはすぐに在庫切れになるほどの超人気商品だ。

訪れる客には、ある傾向が…。

猫4匹を飼う来店客:
猫というだけで買っちゃうんで。何なんですかね、取りつかれてる?

猫1匹を飼う来店客:
全部です。カバンの中、全部。見たら買ってます、100均とかなんでもタオルとか生活用品は全て。癒やしです。癒やしというか推し

猫を飼いながら、猫グッズにも包まれたいというニーズがあるようだ。

猫をモチーフにした商品と言えば、一大ブームになった「なめ猫」やキャラクターグッズが大ヒットした「うちタマ」。最近では「マップル」の昭文社がネコ好き向けの情報誌「にゃっぷる」を発行し、第3弾まで続くヒットに。

ダイワハウスはオーダーメイドの「猫と暮らせる家」を提案したり、ホテルではハイアットリージェンシーが「猫と泊まれる客室」を始めたりと、あらゆるシーンで猫のビジネス「ネコノミクス」は拡大している。

リアルな手ざわり追求…大ヒット商品誕生

そんな中、通販大手「ニッセン」は、猫の特徴を研究して大ヒットを飛ばしていた。

ニッセン ホームグッズ部 佐久間悠部長:
猫の肌触り、毛並みを再現した商品になります

「猫フィール」はニッセン50年の歴史の中でも、最もすごい勢いで売れた商品で、一時は2000個が4分で完売するほどでだった。それほどの売れ行きを記録したウラには…。

ニッセン ホームグッズ部 佐久間悠部長:
この触り心地をいかに猫に近づけられるかっていうところから始まって、数十種類の生地を工場や販売した商品からかき集めて、パートや社員の猫を飼うメンバーで「どれが一番近いか」というところから始まりました

通常の商品開発の何倍もの時間をかけ、猫の毛並みの感触や色つやを再現、なでる向きによって変わる毛の質感も本物に近づけた。

好調な売れ行きを追い風にさらに攻めの商品を開発。“しっぽ”がついたクッションや、体ごと飛び込めるサイズのクッションも追加。猫の感触を全身で味わうという、新たなニーズも探ります。

街の文具店を救った“印鑑に隠れる猫”

さらに、猫のシルエットを活かしたヒット商品が、大阪・此花区の昔ながらの文具店「城山博文堂」にあった。

城山博文堂 城山謙一社長:
はんこを、色々オリジナルのものを作ってるんです。見た目は普通のはんこなんですけど押してみると「山」の一番右の縦線や、「城」の点の所に猫がいます

その名は印鑑ならぬ「ニャン鑑」。どんな名前にも猫が紛れ込むことが可能だ。

約10年前にニャン鑑を売り出すまでは、この文具店では厳しい経営を強いられていた。

城山博文堂 城山謙一社長:
(ピーク時)大体2600万円ぐらいの年間売り上げがあったのが、もう半分近く1700万ぐらいまで落ちてたんですよ。ニャン鑑を発売してから一気に黒字に回復しました

グッズ購入が“猫の保護”に…新たな好循環

大阪・心斎橋にある保護猫カフェ「ネコリパブリック大阪店」では、猫にまつわるユニークな商品を紹介。

箱から出てきたダンボールの部品を組み立てて、好きな布を被せると、すぐ横で出来上がるのを待っていた猫が中へ。

和歌山のみかんが入った「猫と、こたつと、思い出みかん。」2018年の発売以来大好評で累計6000箱以上を完売。新たにオレンジジュース版も販売している。

この商品、SNSに投稿された「猫とこたつとみかん」の写真が拡散したことで、異例のヒットになった。

さらにユニークなのは、購入することが猫の保護につながるという点だ。

ナカタクス 中田直希専務:
売り上げの2%が保護猫団体にシェア(支援)されることになります

全国に9箇所の保護猫カフェを展開するネコリパブリック。代表の河瀬さんは日本の猫の殺処分をゼロにする目標を掲げて活動をしている。

ネコリパブリック 代表 河瀬麻花さん:
今一番力を入れているのが行政とタッグを組んで、ふるさと納税で資金集めをして保護猫活動を行うことです。もともと保護猫活動をする中で、一番直面する課題は資金面なんですね。もちろん自分たちでも収益を上げつつ、たくさんの協力者からご寄付をいただくという形ですけど、(ふるさと納税の)仕組みをうまく活用することで、ある程度の大規模な資金を集めることができて、それを猫のために使えるのではと思って。既に3億4000万円ほど集まっています

目標額は5億円。その半分をネコリパブリックが運用し、5年計画で保護猫シェルターの建設など、様々な猫を救うための事業を進めていくとのこと。

ネコリパブリック 代表 河瀬麻花さん:
猫に関わる全ての経済活動の一部が、保護猫の命をつなぐ活動に役立つようにする社会にしたいと思っていて、それがぐるぐる回ってハッピーな猫のサイクルができるようにしたいと思います

ペットとしてキャラクターとして、絶大な人気を集めている「猫」。猫愛に目覚める人が増える限り、猫ビジネスはまだまだ拡大していきそうだ。

(関西テレビ「報道ランナー」3月14日放送)

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