かつては多くの買い物客でにぎわった商店街。近年はその輝きを失い、空洞化している。鳥取市の中心商店街でも、コロナ禍が追い打ちをかけ、衰退に歯止めがかかっていない。商店街復活のカギを握る「空き店舗」の現状を取材した。

コロナ禍であえてお店をオープン

鳥取市のメインストリート・本通商店街に2021年11月にオープンした居酒屋「元気酒場 はれるや」。地元産の食材を生かした料理が人気だ。「職場が近いのでよく来る。親しみやすい場所なので、ありがたい」と客の評判も上々だ。

2021年11月にオープンした居酒屋「元気酒場 はれるや」
2021年11月にオープンした居酒屋「元気酒場 はれるや」
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大勢の客でにぎわう店を切り盛りする店長の柴原洋司さん。この店のオーナーだ。

柴原さんは、将来、ふるさとで独立することを見据え、大学卒業後、東京や愛知の飲食店で経験を積んできた。そして、「どうせ商売をやるのなら、地元に戻って、自分が思うようにやった方が後悔しない人生送れる」と一念発起。コロナ禍の2021年、故郷・鳥取へUターンし、店を開いた。

元気酒場はれるや・柴原洋司さん:
(売上は)想像していたよりはるかに少ない。だけど、コロナ禍が底辺だと思えば、これから頑張っていけるなと思っている

改修前の店舗
改修前の店舗

店は、そば店だった空き店舗を改修。柴原さんが店を構えた本通りは、鳥取市のメインストリートで、かつては人通りも多く、買い物客でにぎわった。

にぎわっていたころの商店街
にぎわっていたころの商店街

地元の人も、「(人通りが)だいぶ減っている。自分たちが小さいころはとても活気があった」、「商売しているので、もっとにぎわってもらったらうれしい。この辺りもシャッターが多いし」と現状を嘆く。

空き店舗増加 立地の良さも災いか

鳥取市内の商店街の空き店舗は、2005年の60軒から年々増加、コロナ禍が追い打ちをかけ、2022年には72軒と、最近10年間で最多となった。本通商店街でも、2022年には17軒、商店街の約3割が空き店舗になっている。

鳥取本通商店街振興組合・井上大輔事務局長:
建物の老朽化に加え、テナントが入居できないような物件も増えてきていて、新規のテナントがなかなか入りにくい状況

空き店舗増の背景のひとつが、建物の老朽化だ。本通りや若桜街道に面した建物の多くは、1952年の鳥取大火のあと、「防火建築」として建てられた。築約70年と老朽化が進み、改修費用を賄えないため、貸したくても貸し出せない物件も少なくないという。

また、メインストリート沿いという立地の良さが災いしているケースも。賃料を高止まりし、貸し手と借り手、双方の条件が折り合わない場合もあるという。

空き店舗活用には行政の支援も必要

鳥取本通商店街振興組合・井上大輔事務局長:
店舗があると、そこに商売が成り立つ、お客さまが来てくださるということ。なるべく空き店舗にテナントが入るような取り組みをしていきたい

商店街では、出店希望者と店舗オーナーのマッチングにも取り組んでいるが、コロナ禍の影響もあり、思うように出店につながっていない。空き店舗を活用しやすくなる仕組みづくりなど、行政の支援も必要だと訴える。

元気酒場はれるや・柴原洋司さん:
店に通っていただいたお客さまがちょっとでも明るく元気になってもらえたら。店の姿を見て明るくなれるような町、商店街にしていけたら

空き店舗のシャッターをどのように開き、活用するか。
柴原さんのような思いを持つ人を呼び込むことも、商店街ににぎわいを呼ぶ取り組みのひとつのヒントとなりそうだ。

(TSKさんいん中央テレビ)

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