モスバーガーから、 “代替魚”でフィッシュバーガーを再現した新商品が登場した。

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モスフードサービスは、大豆タンパクを主な原料にしたフィッシュ風のバーガー「ソイシーバーガー ~ソイのおさかな風フライ~」を、24日から全国の店舗で発売する。既に販売している代替肉のバーガーに次いで、“SDGs”を意識した新しい試み。

「ソイシーバーガー ~ソイのおさかな風フライ~」を試食
「ソイシーバーガー ~ソイのおさかな風フライ~」を試食

麻生小百合記者:
「魚を使っていない」と言われなければわからないほど、魚の風味や食感をしっかり感じます。

多様化する食のニーズに対応するほか、水産資源の乱獲などで国内の漁獲量が減少しているため海の豊かさを守る取り組みを進めたい考えだ。

モスフードサービスマーケティング本部長・安藤芳徳さん:
モスバーガーとしては、プラントベース(植物由来の原材料)フード、これも一つの柱に育てたい。

急速に縮小する市場 「味と価格」が勝負

「Live News α」では、マーケティングや消費者行動を研究している、一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

小澤陽子 キャスター:
今回の試み、いかがですか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
増え続ける世界人口に対して肉や魚などの生産が追いつかなくなると、特に肉食中心の欧米での危機感は強いです。

その解決策として、大豆などの植物由来の食材を使って肉や魚といった動物性食品を再現する、プラントベースフード、つまり代替食品が注目されています。

今回のモスのプラントベースバーガーも、かつてほど魚がとれず価格も値上がりしている中、将来を見すえた取り組みのように思います。

小澤陽子 キャスター:
肉や魚に頼らないハンバーガーのファンを増やすためには、どうしたらいいのでしょうか。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
アメリカでは、「フェイクミート・代替肉は世界を救う」と思われていました。しかしそれは「単なる流行になった」といわれています。ここに、代替食品を普及させるヒントがあります。

アメリカで代替食品市場は急成長しましたが、今は一転して、市場が急速に縮小しています。感染の拡大が落ち着き始める中で、食肉も手が届きやすい価格に戻ると、肉の代わりに食べるモノに割高の「プレミアム価格」を支払うことが敬遠されたのです。

今回のモスの試みを成功させるには、「おいしさ」と「価格」で、従来の肉や魚を使った製品に
負けないようにすることが求められています。

地球と体に優しいプラントベースフード

小澤陽子 キャスター:
確かに、私たちがお店でメニューを選ぶ際に「おいしさ」と「価格」は気になりますよね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
実は代替食品には、肉や魚にはない2つの強みがあります。

例えば、植物性ハンバーガーは、牛肉ハンバーガーに比べて温室効果ガスの排出量が最大90%少ないんです。

また、口にするタンパク質を動物性肉から代替肉に変えたところ、体重とコレステロール値が低下し、心臓病のリスクも低下したという研究報告もあります。

代替食品の味に触れる機会を提供するモスのような「ゲートキーパー」によって、地球にも体にも、さらにはお財布にも優しい食べ物として、代替食品が愛されるようになればと期待します。

小澤陽子 キャスター:
この新しい価値が広く認められるといいですね。「地球に優しく」という思いから、海外の友人にはビーガンも多くいます。日本でも選択肢として当たり前になれば、インバウンドの外国人にも喜ばれそうですね。

(「Live News α」3月16日放送分より)

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