火災の発生を知らせてくれる火災警報器、あなたの自宅にも設置されていることだろう。この火災警報器だが、実は設置から10年以上経過しているものは交換したほうがよいことを知っているだろうか。

一般社団法人日本火災報知機工業会は、住宅用火災警報器(住警器)は、10年以上経過すると電子部品の劣化や電池切れで火災を感知しなくなることがあるため、住警器を本体ごと新しく交換することを推奨している。同じく、消防庁でも「交換の目安は10年」としている。

住警器は、2006年に新築住宅を対象に設置の義務化がスタートし、この時、設置した住警器はすでに10年以上経過している。実際、住警器は10年を目安に故障する確率が高くなり、たとえ電池を交換しても、その直後に本体が故障することがあるという。そのため、電池切れの場合でも、本体ごと交換することを薦めている。

故障率と使用期間のグラフ(画像提供:日本火災報知機工業会)
故障率と使用期間のグラフ(画像提供:日本火災報知機工業会)
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なお、自分がいつ設置したか確認したい場合は、設置した時に記入した設置年月で確認できる。設置年月を記載していない場合は、製造年月を見ることでおおよその時期が分かる。

設置年月の確認(画像提供:日本火災報知機工業会)
設置年月の確認(画像提供:日本火災報知機工業会)

こうした中、日本火災報知機工業会は、住警器を設置して10年以上過ぎた人(536人)を対象に「住警器の点検実施状況や電池切れ・故障の実態調査」を実施。結果を2月27日に発表した。

「住警器は設置後10年を目安に交換することを消防庁が推奨している」ことに関する認知度については、交換時期を知っていた人は全体の29.9%で、70.1%の人は知らなかった。

また、交換する意向を尋ねたところ「早めに交換しようと思う」の回答が20.5%、「少し時間をおいて、そのうち交換しようと思う」が58.0%、「交換しようと思わない」が21.5%だった。

推奨の交換時期の認知と交換する意向について(画像提供:日本火災報知機工業会)
推奨の交換時期の認知と交換する意向について(画像提供:日本火災報知機工業会)

「少し時間をおいて、そのうち交換しようと思う」「交換しようと思わない」と答えた人に、早めに交換しない理由を聞いたところ、「まだ正常に作動していると思うから」が75.4%で最も多かった。

早めに交換しない理由(画像提供:日本火災報知機工業会)
早めに交換しない理由(画像提供:日本火災報知機工業会)

点検の方法を知っていますか?

日本火災報知機工業会は、住警器が正常に作動するどうか定期的に点検することも推奨している。この住警器の点検方法をについては、「知っている」が35.4%、「知らない」が64.0%だった。

なお、住警器の点検は警報器の表面にあるボタンを押すか、紐を引くことで正常に作動するかどうか確認できる。

住警器の点検について(画像提供:日本火災報知機工業会)
住警器の点検について(画像提供:日本火災報知機工業会)

正常な場合は正常を知らせるメッセージもしくは火災警報音が鳴る。音が鳴らない場合は、電池がきちんとセットされているか確認し、それでも鳴らない場合は電池切れか機器本体の故障のため、新しいものへの交換が必要だ。

ちなみに、住警器が一定の間隔で「ピッ」という短い音や「ピッ 電池切れです…」などが鳴る場合は電池切れの合図とのこと。また連続して「ピッピッピッ」と鳴ったり、「ピッピッピッ故障です…」などが鳴る場合は、本体が故障している合図だという。

住警器 電池切れと故障の合図(画像提供:日本火災報知機工業会)
住警器 電池切れと故障の合図(画像提供:日本火災報知機工業会)

いざというときに、正常に作動しなければ生命にも関わる、住警器の交換時期や点検方法について、多くの人が知らなかったようだが、こうした調査結果が出たことを、どう受け止めているのか? 日本火災報知機工業会の担当者に詳しく話を聞いた。

担当者「認知度が低いことに驚いた」

――住警器の点検方法や交換時期、約7割が知らないことをどう思う?

当工業会も住宅用火災警報器の交換・維持管理等について、いろいろと広報をしてきましたが、認知度が低いことに驚きました。


――住警器を点検、交換しないとどんなリスクがある?

正常に火災を感知できないことが考えられるため火災のリスクが増加すると思います。


――そもそも住警器の点検、交換については入居時などに説明される?

新築住宅を購入した際には、販売店等によって、住宅設備機器の取扱い説明及び取扱い説明書等を受領すると思います。

24時間・365日、火災を監視しているのに…

――住警器の交換の費用は、自己負担?

基本的には、自己負担だと思います。地域によっては補助等を行っているかもしれませんので、ご自身の地域を確認していただくのも必要かと思います。


――交換に関して、消極的な回答をどう思う?

家電製品のように、実際に機能している実感が薄いのでは無いかと思います。実は、24時間・365日、火災を監視しているのですが。


――最後に改めてメッセージをお願いしたい

今回の調査結果から、日本火災報知機工業会では、住警器の正しい役割、特性について再度わかりやすく解説し、点検方法や電池切れ、故障などの火災以外の警報について積極的に周知を図る必要があると考えております。

点検を実施せず交換時期に気がつかなかったり、電池切れや故障の警報を聞き逃がしたり放置したままにすると、万が一の火災に住警器が感知できずとても危険です。居住者の皆様に、「点検の重要性」「設置から10年以上経過したら本体を交換」について認知していただくよう積極的な啓発活動をおこなってまいります。


3月11日は東日本大震災の発生から12年となる。改めて防災の意識を高め、その第一歩として自分の家に設置された火災警報器を点検してみてはどうだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。