新車を“メタバース”で購入できる実証実験が始まった。

仮想空間で車の試乗や購入ができる!?

日産自動車は8日から、インターネット上の仮想空間“メタバース”で新車を販売する実証実験を始めた。

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利用者は、スマートフォンやパソコンから、自分の分身であるアバターを操作し、ショールーム内に再現された新車を立体的に見たり、“メタバース”上での試乗が可能になる。

販売会社のスタッフが操作するアバターと、商談や契約をすることもできる。なお、商談や販売は東京都内在住者限定となっている。

“メタバース”での販売は国内の自動車メーカーとしては初。日産自動車は2023年6月まで実証実験を行い、取り扱う車種を増やすなどして、デジタルを活用した新しい顧客の開拓につなげたい考え。

“メタバース“で販売・お試し コスト削減のメリットも

「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しい、IoT/AIの専門メディア「IoT NEWS」代表の小泉耕二さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈キャスター:
メタバースで新しい車を販売する試み、どんな成果が期待できるのでしょうか?

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
今回の発表では、実証実験となっていますが、こういった取り組みは、伊勢丹のような百貨店やアパレルショップなど、様々な分野で始まっています。

実際に売れてるのか?という点については、現状、実売のデータはないため、肌感としてはまだまだこれから、という印象です。

現実世界で我々が使う商品を、メタバース空間上で購入するという習慣自体、まだ馴染みがない状況であるということも課題です。

内田嶺衣奈キャスター:
では、なぜメタバースで販売しようと、今回、取り組みを始めたのでしょうか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
一つは、リアルな店舗へ足を運ぶ人が減ったことが大きいと思います。

例えば、テスラの場合、従来のクルマの販売方法とは異なり、試乗体験の機会は提供してもディーラーなどのリアル店舗は持たず、ECサイトを通じて購入するようになっています。

この場合、販売店舗を維持する必要がなく、しかも、ネット購入のため値引き交渉もないなど、コスト面で様々なメリットがあります。

テスラの考え方を一歩進めると、メタバース上で体験し購買までネットで完結する、という考え方が出てくるのは不思議ではないはずです。

ただ、今回の日産の試みは、販売そのものというより、メタバースを活用した没入体験による訴求の“お試し”という側面もあるように思います。

自宅付近や海辺のドライブ“メタバース”体験で販売促進

内田嶺衣奈キャスター:
メタバースを活用した訴求の“お試し”とは、どういうことなんでしょうか。

IoT NEWS代表・小泉耕二さん:
メタバースに対する期待が大きい一方で、ヘッドセットをつける不自由さや、そもそもヘッドセットが普及していないという課題がありますが、それは時間が解決するはず。

例えば、メタバースならば、内装の良さや質感。さらには運転時の感覚だけでなく、自宅付近を実際に走った場合や海辺のドライブなど、さまざまな仮想体験を提供することが出来ます。

今後、メタバースで仮想体験を提供できる商材だけでなく、アバターの販売員がいるような販売の仕方なども含め、メタバースでの販売促進が広まっていくと思います。

内田嶺衣奈 キャスター:
私たちの買い物のスタイルが変わっていくのも、そう遠くないのかもしれませんね。

(「Live News α」3月8日放送分より)

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