国会欠席を続けているNHK党のガーシー参院議員に「議場での陳謝」の懲罰を全会一致で決めた参院懲罰委員会では、「欠席理由がその都度変わっている」「除名に値しうる」「主張は通用しない」など厳しい意見が続出した。
ドバイに滞在し、去年7月の初当選以降、一度も登院していないガーシー氏に対して、懲罰委員会は21日、「議場での陳謝」の懲罰を全会一致で決めた。


懲罰委員会ではNHK党の浜田政調会長がガーシー氏の弁明書を代読し、「虚偽の刑事告訴をされている」「事実が明らかになるまで不当な拘束を受ける可能性がある」など欠席の理由を説明。
一方、各会派ともに、国会への出席要請があるにもかかわらず、欠席を続けるガーシー氏の態度を問題視。厳しい意見が続出した。
日本維新の会の清水参院議員は、ガーシー氏の国会欠席理由について「去年12月の文書では不当逮捕の恐れや命を狙われている旨が記載されていた。今年の1月には各国の要人との面会を含めて予定を入れているため登院不可との理由だった」として「欠席理由がその都度変遷しており、一貫性や論理的な妥当性が伺い知れず、到底納得できる欠席理由ではない」と指摘。
さらに、「半年以上もの間、登院しなかったにもかかわらず、国民の税金から少なくとも1700万円超が支給されている。欠席して歳費をもらい続ける現状は、世間の常識からも大きくずれていると言わざるを得ない」「『居眠り議員に懲罰も』などと反論しているが、そもそも出席していない時点でスタートラインにも立っておらず、そのような発言をする資格もない」と批判した。

自民党の牧野参院議員は、ガーシー氏の国会欠席を「責務の放棄」として「これまでの行為は参議院の権威を失墜し、国民からの信頼を損ねかねないもの」と述べた。
立憲民主党の田名部参院議員は「今回の件は除名に値しうると考えている。しかし議員の身分にかかわる重要な問題である以上、各会派の合意形成に向けて努力した上で参議院の総意として意思を示すことが重要だ。深い反省を求め、陳謝することを求めたい」と述べた。
公明党の横山参院議員は「私たち国会議員は議会運営のルールのもとで、国民の声にどう応えていくか、日々悩み勉強し努力している。民意だとして自分の主張を述べるのであれば、海外からSNSで発信するだけではなく、正々堂々と国会の場で議論するべきだ」とガーシー氏の態度を批判した。
国民民主党の舟山参院議員は「国会に正当な理由なく出席しないことは最低限の義務すら果たさないことを意味しており、重い身分をもっているゆえに、重い責任があることを肝に銘じるべき」とした上で、「除名にも値するように考えるが、まずは国会に出席して、陳謝し行動を改める事が妥当だ」と述べた。
共産党の井上参院議員は「当選しても日本に帰らず、海外で政治活動をしていくことを公約に掲げてきたと主張しているが、政治活動一般と国会議員としての活動を混同したもので、およそ通用するものではない」と断じた。

ただ、NHK党の浜田政調会長は国会内で記者団からガーシー氏が議場での陳謝に応じる可能性について問われたのに対し、「ない」と答えていて、「議場での陳謝」が実際行われるかは不透明だ。
ガーシー氏が帰国・登院せず、「議場での陳謝」にこのまま応じなければ、再び懲罰委員会を開催し、「除名」も含めたより重い処分が検討される見通しだ。