“サステイナブル重視”に転じた「FOREVER21」が、脱ファストファッションを掲げて再び日本に上陸する。

「大量生産・大量消費」のファストファッションからの脱却をはかる

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東京・渋谷に21日から26日までの6日間限定でオープンする、「FOREVER21」のポップアップストア。

21日からのECサイトでの販売開始に合わせ、約120点の商品を実際に試着することができる。

ツイード生地のベスト
ツイード生地のベスト
日本人の体格に合った長さのデニム
日本人の体格に合った長さのデニム

岩田真由子記者:
トレンドのツイード生地はしっかりとした作りになっているほか、こちらのデニムは日本人の体格に合わせた長さで作られています。

アメリカのファストファッションの印象とは異なり、今回提供されるアイテムの約8割は「ジャパンモデル」

Iラインのワンピースはウエスト位置を高めにするなど、日本人の体格やトレンドを取り入れている。

さらに、デニムは一般的な従来品に比べて2次加工で使用される水の量を、約90%削減。

“大量生産・大量消費”のファストファッションから、現代の社会的ニーズに応えたサステイナブルへの転換が図られている。

3度目の上陸では、リブランディングを進める

「FOREVER21」は、2000年に日本初上陸も、1年で撤退。2009年、2度目の上陸では開店を待つ行列ができるなど、安さとトレンドに応えるファストファッションブームを巻き起こした。

3度目の今回は、品質を保つため、商品単価を4000円に引き上げるなど、リブランディングを進めている。

Gate Win 代表取締役社長・杉田篤氏:
良い意味で反省点を設けながら、どういった課題が以前の「FOREVER21」にあったのか、というのを客観的に捉えて、いかに長く愛していただけるようなブランドづくりを再度日本でやっていくかということが、僕らにとっての大きな使命かなと。

4月には大阪に1号店をオープンする予定で、今後はECサイトを主軸に、5年後におよそ100億円の売上高を目指すとしている。

目指すのは「ファッションロスのない世界」

「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈 キャスター:
3度目となる日本進出を果たした「FONREVER21」どうご覧になりますか?

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
今回のポップアップストアは、「脱・ファストファッション」を伝える“ショールーム”と位置付けられています。

かつての「FOREVER21」は“永遠の21歳”をコンセプトに、安い価格で最も旬なファッションを楽しめるファストファッションをリードしました。

「安かろうの……」イメージが広がり、大量生産、大量消費、そして大量廃棄も課題となり消費者が離れてしまいました。

新しい「FOREVER21」は「永遠」を持続可能と捉え直して、高品質な商品づくりや衣料品回収を行うことで、「ファッションロスのない世界」を目指すとしています。

今回のような“売らないお店”は、いまチカラを入れているオンライン販売を成功させるためのポイントでもあります。

内田嶺衣奈 キャスター:
“売らないお店”がオンライン販売で成功するためのポイントとは、どういうことでしょうか?

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
「FOREVER21」が変わった、品質が向上したことを知ってもらうには、実際に洋服を見てもらい、触ってもらい、着てもらうしかありません。

これはリアル店舗でしかできない、楽しい買い物体験の提供でもあります。

また、リアル店舗で試着した上でオンラインで購入すると、返品を避けることができます。

こうしたブランド刷新のコミュニケーションと買い物を楽しみたい消費者ニーズへの対応、さらに返品率を引き下げるオペレーションは、オンライン販売の成功へのカギになります。

日本人の体格や流行を意識「ジャパンモデル」に期待

内田嶺衣奈 キャスター:
私たち消費者が新しい「FOREVER21」に期待できることにどのようなものがあるのでしょうか?

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
例えば、米国で売っているものではなく多くは「ジャパンモデル」であることです。

伊藤忠商事が日本での事業権利を獲得して、商品企画については「ローリーズファーム」などを展開するアダストリアが担っています。

アダストリアの「無駄にモノをつくり過ぎない」独自のサプライチェーンを活用しながら、日本のトレンドや体格を意識した商品になっています。

リブランディングした「FOREVER21」の行方を注視していきたいです。

内田嶺衣奈 キャスター:
時代の流れにあわせたブランドの大幅な方針転換。その思い切りの良さに驚きました。ブランド名自体は広く認知されているので、変わった部分をいかにアピールしていくかがカギになりそうです。

(「Live News α」2月20日放送分より)