今季、バックカントリースキーや冬山登山をしている最中の遭難が相次いでいる。長野県で雪崩による死亡事故も発生する中、冬山で命を守る装備について、元新潟県警の山岳遭難救助隊隊長の専門家に話を聞いた。

相次ぐ山岳遭難… 県警ヘリで救助

雪の上で力なく四つん這いになる男性のもとへ救助に訪れたのは、新潟県警の航空隊員。2月12日、新潟県妙高市でバックカントリースキーをしていた茨城県に住む50代男性が「滝に落ちそうになった」と警察に通報し、救助を求めた。

ヘリで救助
ヘリで救助
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男性は救助され、ケガはなかったが、この2時間後には…

新潟県阿賀野市の五頭山で登山をしていた新潟市の50代女性が「下山中に足がつって動けなくなった」と通報。県警のヘリは再びフライトし、女性のもとへ救助に駆けつけ、女性も無事に救助された。

冬山で「命を守る装備」とは

今季、こうした冬山の事故が相次いで発生している。新潟県内では2023年に入って山岳遭難が12件発生し、このうち2人が死亡した。

2023年2月15日時点
2023年2月15日時点

元県警山岳遭難救助隊 隊長 玉木大二朗さん:
短い亀裂があり、そこに雪で蓋がされていて、わからずスキーで落ちてしまうということがあった。深くなかったので、大事には至らなかった

バックカントリースキーをした際の経験を語るのは、元新潟県警山岳遭難救助隊隊長で専門家の玉木大二朗さん。スキー場のエリア外を滑るリスクを指摘する。

元県警山岳遭難救助隊 隊長 玉木大二朗さん:
「スキー場のエリア外なんだ」という認識を持って、万が一の際には、救助に時間が要することを理解してほしい

冬山は天候の変化が急なうえ、雪崩などのリスクもある。

元県警山岳遭難救助隊 隊長 玉木大二朗さん:
自分の安全を守る。一緒にいた仲間の安全を守るということが必要になるので、これは最低限の装備

バックカントリースキーなどをする際、重要となるのが、防寒着やスコップなどの装備だ。

元県警山岳遭難救助隊 隊長 玉木大二朗さん:
一番心がけていることは、極力汗をかかないということ。冬山で汗をかいてしまうと、そこから低体温になりやすい

天候に対応できる服を準備しておくことが重要で、冬山だからといって厚着をすればいいわけではない。また、もしものときの備えとして…

元県警山岳遭難救助隊 隊長 玉木大二朗さん:
登山者が雪崩にあったという場合、ビーコンを発信モードから受信モードに切り替えて捜索する

ビーコン
ビーコン

雪崩に巻き込まれた際、自分の位置を知らせるほか、雪に埋もれた遭難者の捜索にも使う「ビーコン」。すぐに助け出すための「スコップ」や「プローブ」といった装備。この3つは“雪山の三種の神器”と呼ばれている。

また、意外な盲点となるのが、スマホの位置情報。バッテリーを節約するため、位置情報をオフにしたり、機内モードにしたりすると、救助隊が遭難場所を把握できないため、遭難した際は、位置情報を確実にオンにすることが重要だ。

元県警山岳遭難救助隊 隊長 玉木大二朗さん:
天候の悪化が予報される場合は、無理をしないで引き返す。潔く撤退するということを選択肢として残して実践してほしい

遭難しないためにも、天候が荒れることが予想される場合や雪庇が崩れている箇所や雪の亀裂を確認した際は、山に入らない判断も必要だ。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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