寒い時期に重ね着すると、静電気が発生しがち。着ているものを脱ぐ時に「バチッ」とすると、不快にもなるが、そんな人に知ってほしい情報がある。

重ね着による静電気の“発生しやすさ”には、服の繊維の種類が関係していて、対策できるというのだ。

繊維には摩擦でプラスやマイナスになりやすいものがある

Twitterでそう呼びかけたのは、消費財メーカー「花王」のアタックのTwitterアカウント(@kao_attackjp)。花王が運営するウェブサイト「くらしの研究」の情報をもとに投稿した。

ポイントは服の繊維の種類(画像はイメージ)
ポイントは服の繊維の種類(画像はイメージ)
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くらしの研究の担当者によると、服の繊維は種類ごとにプラスの電気を帯びやすいもの、マイナスの電気を帯びやすいものがある。そして静電気は性質上、プラスとマイナスの傾向が離れている繊維の組み合わせほど発生しやすいという。

そのため、摩擦で帯びやすい電気の傾向が近い繊維同士なら、重ね着しても静電気は発生しにくいという。繊維のプラスの電気、マイナスの電気の帯びやすさを比較すると、次のようになる。

繊維の摩擦の帯電列(花王「くらしの研究」より)
繊維の摩擦の帯電列(花王「くらしの研究」より)

【こちらに近いほど、プラスの電気を帯びやすい】
・羊毛
・ナイロン
・レーヨン
・木綿
・絹
・アセテート
・ビニロン
・ポリエステル
・アクリル
・ポリ塩化ビニール
・ポリエチレン
【こちらに近いほど、マイナスの電気を帯びやすい】

例えば、羊毛とナイロン、ポリエチレンとポリ塩化ビニールの組み合わせだと、静電気は発生しにくいという。一方、羊毛とポリエステルなどの組み合わせになると発生しやすいという。
これを知っておくと静電気が発生しにくい組み合わせがわかるので便利だ。

室内の湿度は60%程度がお勧め

では、他にも注意するポイントや静電気の予防法はあるのだろうか。花王の担当者に聞いた。


――寒いとなぜ、静電気が発生しやすい?

静電気は皮膚と肌着や衣類同士の摩擦などによって発生します。湿度が低いほど発生しやすく、乾燥した冬に感じやすいのです。静電気が起きると、衣類がまとわりつく、パチパチするだけでなく、ホコリなどを引き付け、衣類の汚れや黒ずみの原因にもなります。

室内の湿度でも対策できるという(画像はイメージ)
室内の湿度でも対策できるという(画像はイメージ)

――静電気を防ぐための対策を教えて。

まずは、室内の湿度を60%程度にキープすることです。湿度が高いと、静電気が発生してもすぐに空気中の水分によって流れて中和されるので、発生した静電気がたまりにくくなります。室内の空気が乾燥しないよう、加湿器などを使うと効果的です。

アクリルのセーターとナイロンのダウンジャケット(花王「くらしの研究」より)
アクリルのセーターとナイロンのダウンジャケット(花王「くらしの研究」より)

――着用時はどう注意すればいい?

重ね着をする時は、衣類の取扱い表示で素材を確認しておくとよいでしょう。例えば、アクリルのセーターとナイロンのダウンジャケットを組み合わせると、静電気が発生しやすくなります。


――重ね着以外では気にしなくていい?

(繊維が摩擦した時の傾向が)プラスかマイナスかは確認しても良いと思います。例えば、長いコートは裏地がズボンなどにも触れることが考えられます。衣類を選ぶ時に意識してもいいと思います。

洗濯をする時の工夫でも予防できる

――着用以外でできることはある?

柔軟仕上げ剤の成分は空気中の水分子と結合しやすい性質を持つため、使用した衣類は静電気が発生してもすぐに流れて、たまりにくくなります。繊維同士の摩擦も抑えられるので、静電気の発生そのものも少なくなります。静電気による花粉や汚れの付着も防げます。


――たまった静電気を発散することはできる?

木やコンクリートや壁には、電気をゆっくり逃がす(流れる)性質があります。静電気がたまっていると感じたら、触って逃がしてもいいでしょう。

アースの役割を果たす革靴がお勧め(画像はイメージ)
アースの役割を果たす革靴がお勧め(画像はイメージ)

――このほか、日常での静電気を防ぐポイントは?

乗車時はシートと衣類の摩擦で静電気が起きやすいので気をつけましょう。靴はゴム底だと電気が逃げられず静電気がたまりやすいので、アースの役割を果たすよう革底の方がよいでしょう。足を床に擦らない歩き方は静電気がたまりにくくなります。 



ちなみに、衣類の組み合わせのほかにも、湿度の管理、洗濯時に柔軟仕上げ剤を使うといったことでも、静電気は予防できるようだ。バチッとしやすい人は試してみてもいいかもしれない。

(参考:花王「くらしの研究」)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。