河野太郎デジタル相は12日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、「個人情報流出」への懸念などを理由に、マイナンバーカードの取得率が7割にとどまっていることに関し、個人が自己の情報の開示先を管理できる仕組みづくりを進める考えを示した。

「誰が自分の情報にアクセスできるのかというのは本人の権利だ。本人が自分の情報を誰に見せるかということをコントロールできるようにしていくことは考えていかないといけない」と述べた。

番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)が、政府が信頼されるためには、「個人情報へのアクセスを全部記録して、本人に開示する仕組みが必要だ」と訴えたことに応えた。

この日、河野氏は、「そうだ!マイナンバーカード取得しよう」と書かれたTシャツを着てスタジオに登場。
Tシャツには河野氏の似顔絵入りマイナンバーカードのイラストも描かれていた。

一方、国境を越えたデータのやりとりをめぐり、日本が提唱している「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」構想について、河野氏は、各国のデータ移転に関する規制の国際的なデータベースの構築にあらためて意欲を示した。

データをめぐっては、欧米間で価値観の対立がある。米国は、データは「財産」として自由な利活用を推進する立場。一方、欧州は、個人データは「人権」の一部として保護を重視する立場だ。日本が提唱するDFFTは、欧米の相反する考え方を両立・調和させようという野心的な構想だ。

河野氏は、4月に群馬・高崎市で開かれるG7デジタル・技術相会合で、データベース構築に向けた新たな国際的枠組みについて議論し、5月のG7広島サミットで合意を目指す考えを強調した。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
けさのゲストは河野太郎デジタル相です。

河野太郎氏(デジタル相・消費者相):
おはようございます。

梅津キャスター:
きょうは何かとても新鮮な出で立ち。目を引くのが、この「そうだ!マイナンバーカード取得しよう」のTシャツ。大臣の氏名がマイナカード(のイラスト)に小さく入っている。これはご自身でつくったのか。

河野氏:
「頑張ってマイナンバーカード交付を増やしてください」ということでいただいた。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
交付率はかなり進んでいる。

河野氏:
おかげさまで申請数は7割弱まで来た。8,600万枚を超えた。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
残りあと約3割ということで(Tシャツで)最後のプッシュということか。

梅津キャスター:
きょうは最後までこの出で立ちで出演いただければ。よろしくお願いします。けさは日本のデジタル化の旗振り役、河野大臣に、その現状と課題について大いに語っていただく。マイナンバーカードを取得していない理由の第2位が「情報流出が怖いから」。

松山キャスター:
マイナンバー制度が始まってからずっと「情報流出が怖い」という人の声を聞いている。約3割の人がまだマイナンバーカードを持っていない。こうした不安にどう応えていくか。

河野氏:
広報・周知がまだ不足している部分がある。もっともっと積極的にマイナンバーカードの安全性について申し上げていかなければいけない。保険証と一本化すると(マイナンバーカードの)ICチップに自分の医療情報が書き込まれるのではないか、年金や税の情報がICチップに入るのではないか、という誤解をされている方がまだまだいるが、ICチップには氏名、住所、生年月日、性別、顔写真の本人確認情報と電子証明書が入るだけだ。皆さんの医療情報、年金、税、その他の個人情報は入らない。マイナンバーカードでこういうことができるというメリットの部分と、安全性に関する広報をもう少し積極的にやって行きたい。

橋下氏:
広報も重要だが、日本のデジタル化で決定的に欠けているのは政府への信頼だ。デンマークやエストニアがデジタル化で成功したのは、みなが政府に対する信頼を置いているから。行政機関も含め誰が個人情報にアクセスしたか、全部記録して本人に開示している。どの政府機関が自分の情報にアクセスしたか本人が全部見られる。実は紙ベースのほうが情報漏洩の危険性は高い。大阪市役所の人間が僕の戸籍を覗いていたことがわかって大問題になったことがある。(閲覧の)記録がないから調べていってやっとわかった。デジタル化やマイナンバーカードの普及は絶対に必要だが、政府としてアクセス記録を全部残して本人に開示する仕組みが見えてこない。

河野氏:
マイナポータルでどこの行政機関がアクセスしたかというのは見えるようになっている。諸外国では、例えば、電子カルテなどの医療情報を本人がチェックして、どの病院の医者にアクセスしていいというのを本人がコントロールできるようになっているシステムがある。(日本でも)将来的にそういうことも考えていく必要はあるのだろう。誰が自分の情報にアクセスできるのかというのは本人の権利だ。行政に関する情報は、行政機関がアクセスできないと行政ができない。それ以上のことについて、もし何らかの電子情報を集積していくようにするのであるならば、本人が自分の情報を誰に見せるかということをコントロールできるようにしていくことは考えていかなければいけない。今、マイナポータルで誰が私の情報にアクセスしたかというのは見えるようになっている。

橋下氏:
マイナポータルではすべて、細かなことでも、どんな部局でもちょっとアクセスすれば、それは全部記録されるのか。

河野氏:
行政機関同士でやり取りしたものが出ている。私の情報についてはまだあがってきていないが、どんな感じで出てくるか一回確認しておかないといけないかなと思っている。
            
橋下氏:
そこの広報がきちんとできれば、ものすごく安心すると思う。加えて漏洩した時の罰則強化も合わせ技で必要だ。マイナポータルで全部アクセスした記録が出るというのであれば、そこはコントロールできるので、安心材料になる。もっとPRしたほうがいい。

河野氏:
やはり紙より電子の方がその部分ははるかに優れているので、そこはきっちりシステムをつくってお知らせをするというのは大事だ。

松山キャスター:
今年は5月にG7広島サミットが予定されている。それに先立って河野大臣は4月のG7デジタル・技術相会合に出席する予定だ。日本として訴えたいことは何か。

河野氏:
DFFT=Data Free Flow with Trust(信頼性のある自由なデータ流通)というのだが、国境を越えてデータを自由に流せるようにしようよ、というのを一番大きなテーマにしたい。欧州は伝統的にプライバシーや人権で非常に厳しいところだから、国境を越えてデータを流す時にそういうものの保護がきちんとできていない国には流してはいけないという非常に厳しいルールGDPR(一般データ保護規則)を作っている。片や米国は、GAFAがみな米国企業ということもあり、とにかくデータは流通させるのが大事だと(いう立場)。(欧米間でデータに関する)思想が全く違う。それを日本が間に入って世界的にデータをきちんと流せるような国際的枠組みをまずつくっていこうではないかということを提案した。欧州と米国は向いている方向性が全く違うから、これを一つのルールにするのはちょっと難しい。だったら、まずそれぞれがどういうルールになっているのか、常に最新情報がわかるようにするためのデータベースをまず作ろう。日本の中小企業が欧州に出ようとすると、何が最新のデータ規制なのかがわからない。いちいち法律事務所に頼んで調べてもらうと、ものすごくコストがかかる。それをきっちり提供できるデータベースを作ろうというのがまず第一歩かなと。今回(G7デジタル・技術相会合で)そこまで議論して、(5月のG7広島サミット)首脳会議で合意して、ゴーサインということにできるように今頑張っているところだ。

日曜報道THE PRIME
日曜報道THE PRIME

今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論!「当事者の考え」が分かる!数々のコトバが「議論」を生み出す!特に「医療」「経済」「外交・安全保障」を番組「主要3テーマ」に据え、当事者との「議論」を通じて、日本の今を変えていく。
フジテレビ報道局が制作する日曜朝のニュース番組。毎週・日曜日あさ7時30分より放送中。今動いているニュースの「当事者」と、橋下徹がスタジオ生議論。