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チョコレートだけではもったいない、カカオの新たな可能性とは。
明治が、カカオを有効活用した“チョコレートではない新商品”を発表した。そこには、森林破壊や貧困問題の解決につなげたい思いがあった。

これまで使われていたのはカカオのたった1割…エキスや果肉も有効活用

明治が8日開催した、新商品発表会。

カカオを使った食品が発表されたのだが、通常想像するような茶色のものではなく、鮮やかな赤色のものがたくさん。

ソルベやドリンク、タブレットなど、カカオ新素材から生まれたこの「カカフル」と「カカウェル」シリーズは、数量限定で発売される(Makuakeにて2月8日~3月30日期間限定発売)。

記者もドリンクを試飲させてもらった。チョコレートのような甘さはなく、アセロラジュースのようなフルーツの甘酸っぱさを感じる。

今回のシリーズでこだわったのは、“カカオ豆の新たな価値の創出”だ。

「カカフル」は、カカオ豆から独自に抽出・加工した赤いエキスと、カカオ豆を包む白い果肉部分から作った果汁で作られた商品。

また、「カカウェル」は新素材のカカオ原料を元に、アーモンドやハチミツなどの食材で加工した商品になっている。

チョコレートの原料として有名なカカオ豆だが、今までは、カカオの実全体の約1割しか使用されてこなかった。そこで有効活用できていなかった果肉部分エキスなどを加工することで、チョコレートだけではなく、汎用性の高い食品として認識して欲しい狙いがある。

明治は、ベトナムのカカオ農家と連携して今回の商品を開発したが、カカオ生産地が抱える森林破壊や貧困問題の解決にも繋げたい考え。

明治 カカオマーケティング部 木原純さん:
チョコレートのマーケットは、もう5500億を超えて、大きな市場になってきています。
チョコレートとしての消費だけではなく、その他のカカオの消費が増えていくことによって、カカオの総需要が増えていく。これはカカオ農家の収入アップにも繋がると思いますので、生産者にとっても、客にとってもメリットがある提案だと。 

スーパーフード“カカオ”有効活用で森を守り、農家を守り、健康増進

「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の、鈴木智子(さとこ)さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈 キャスター:
カカオの新たな可能性。マーケティングや消費者行動を研究されている鈴木さんの目には、どのように映っていますか?

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
カカオはチョコレートというイメージが強いかもしれませんが、実は違うんです。カカオはフルーツであり、健康パワーを秘めたスーパーフードとも言われています。
カカオはブルーベリーと比べると10倍以上の抗酸化作用をもっているとされています。またカカオ特有の「テオブロミン」はエネルギー源として優れています。

実は「カカオの実」は、1割程がチョコレートに使われるだけで 残りの殻などは、ほとんど捨てられてきました。これをおいしく食べられるにようにすることが、今回の試みになります。

「チョコレートは明治」でお馴染みのリーディングカンパニーがカカオフルーツの可能性に挑戦し、そのイメージを刷新することは、新たな市場を創り出す力になります。

内田嶺衣奈 キャスター:
カカオを無駄なく使い切る今回のような取り組みが、広がるといいですね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
カカオからつくられるチョコレートには「不都合な真実」があるとされています。

例えば、カカオの生産国の農家はお金になるカカオの木を植えるために、古い木を切り倒すことで、森林破壊が進んでいます。そのため例えば毎年220万トンのカカオを輸出するコートジボワールでは、過去50年間で80%の森林が失われたと指摘されています。

森も、そこで暮らす人々の生活も、共に守らなければなりません。

そこで今回のようなカカオを無駄なく使い切ることは、持続可能なカカオ産業の育成を促し、ひいては森を守り、そしてカカオ農家の収入の増加にもつながると思われます。

内田嶺衣奈 キャスター:
新しいカカオの可能性に期待したいですね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
カカオの効いたチョコレートを口に含むと、心と体に足りていなかったものが満たされることを感じる方も多いと思います。
私たち味わう人だけでなく、作る人、届ける人、すべてのステークホルダーにとって価値のあるカカオ製品を新たに創り出すことが求められています。

これまで企業が人の健康を願ってきたように、地球の健康のためにも責任を果たす必要があるように思います。

内田嶺衣奈 キャスター:
チョコレート好きな方は多いですが、私もその1人です。食べた人を幸せな気持ちにさせてくれるカカオ製品だからこそ、環境や、そこに関わる人たちへの配慮があるものを選ぶと、そこから幸せが広がるのかもしれません。

(「Live News α」2月8日放送分より)