長崎・佐世保市松原町の淀姫神社に400年以上前から伝わる「佐世保のヤモード祭り」。新型コロナの影響で3年ぶりに新しいしめ縄が鳥居にかけられた。担い手不足が課題となる中、時代にあわせて変化をしながら、町の人たちの思いとともに受け継がれている。

ふんどし姿で池に飛び込み…「寒い!」

「佐世保のヤモード祭り」は、五穀豊穣(ほうじょう)や家内安全などを願って毎年1月下旬に大きなしめ縄を作る伝統行事で、長崎県の無形民俗文化財に指定されている。

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鳥居にかける大しめ縄作りは、新型コロナウイルスの影響で3年ぶり。記憶をたどりながらの作業だ。

ヤモード 村田信輔さん
ヤモード 村田信輔さん

祭りの主役は、白い法被を着た山の神の使者「ヤモード」だ。元々は「山人(やまのひと)・やまうど」が変化して「ヤモード」になったと言われている。しめ縄作りが始まったころ、ヤモードは近くの池に向かう。村田信輔さん(32 ※取材当時)は、今回が2回目のヤモードだ。

水温8度の池にふんどし姿で飛び込み、身を清める。

ヤモード 村田信輔さん:
寒い!もう終わりましょう!コロナ禍ではありますが、町全体を盛り上げるようなヤモードやりたいと思います

伝統継承のために“変化”も

ヤモードは祭りをつかさどる役目もあり、神社に戻っても大忙しだ。

淀姫神社 矢峰・松原氏子奉賛会 氏子:
あちらこちらにほこらがある。そこにお供えをする米をつぶして団子にしてお供えする。それをヤモードが作らないといけない。

団子を作るときは、話をしてはいけないならわしがあり、サカキの葉を口にくわえて、黙々と作業を進める。

祭りは 元々毎年1月26日に行っていたが、最近は人口減少や後継者不足のため、人が比較的集まる日曜日に開催している。元々ヤモードには「両親が健在であること」が唯一の条件として規定が設けられていたが、数年前に規約を改定。継承のために時代とともに「変化」もしている。

淀姫神社 矢峰・松原氏子奉賛会 森𠮷保夫会長(72):
どこにでも伝統行事はあるが、最近はコロナでなかなかうまく動けない。後継者不足がある、私たちも高齢化している。後継者、子どもの孫まで今のうちに参加して、しめ縄の作り方とかを少しでも学んでもらえればと

大しめ縄が鳥居に

若い世代が中心となり、朝8時から始めたしめ縄作り。

「チョンチョコベ」と呼ばれるわら人形をしめ縄の芯に差し込み、回転させながら締め上げていく。

淀姫神社 矢峰・松原氏子奉賛会 山口秀二郎さん(29 ※取材当時):
担い手が少ないので、この地区の行事として、一つ皆さんで協力してやっていきたい。古くから続いていると聞いているので、できるだけ廃れていかないように続けていければと

2本の巨大なしめ縄を、男たちが息を合わせてより合わせていく。

約5時間かけ全長8メートル、重さ300kgの大しめ縄が完成した。境内に運んだ後は唯一、鳥居に登ることができるヤモードの出番だ。

新調した大しめ縄を3年ぶりに鳥居にかけた。

淀姫神社 矢峰・松原氏子奉賛会 森𠮷保夫会長:
いい、立派なものですよ。3年ぶりとはいえ立派なものです

ヤモード 村田信輔さん:
心を清めて登ったので、しっかり務められてよかった。町民の皆さんが健康で病気とかしないようになれば

ようやく本来の形で開かれた「佐世保のヤモード祭り」。参加者は伝統を継承すると決意を新たにしていた。

(テレビ長崎)

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