ヤフーとLINEを傘下に持つZホールディングスが、3社で合併する方針だ。

ZHD・LINEは2021年に経営統合も…「一層のコストコントロール行う」

Zホールディングスは、傘下のヤフー・LINEの3社で、2023年度中をめどに合併する方針だと発表した。
ZホールディングスとLINEは、2021年3月に経営統合していたが目立った連携はなく、経営統合の効果を拡大することを最重要課題としていた。

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Zホールディングスの川邊健太郎社長は「グループ経営の意思決定の迅速化を図り、重複機能や組織の統合、グループ内サービスの統廃合とあわせて、一層のコストコントロールを行います」と述べた。

また、LINE社長の出澤剛氏が、4月1日付けでZホールディングス社長に昇格すると発表。

川邊健太郎社長は、代表権のある会長に就任する。

LINEの個人情報管理の改善実施で合併 連携強化で楽天など他社に対抗へ

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリスト・ 馬渕磨理子さんに話を聞いた。

小澤陽子 キャスター:
ソフトバンク系3社の合併、どうご覧になりますか?

経済アナリスト・ 馬渕磨理子さん:
国内では類似サービスが乱立していますので、 ある程度統合された方が、企業にとってもユーザーにとってもメリットがあります。
以前から3社は合併の方向にありましたが、その動きは足止めされていました。これはLINE側の個人情報の管理体制に問題があり、まずは、個人情報管理の改善策を優先したのです。

さらに、ヤフー・LINEによるID連携も予定されていましたが、それも2023年以降にずれ込んでいます。

今回、国内トップ企業同士の合併に踏み切ることで、いよいよ連携によるシナジー効果が期待できます。

小澤陽子 キャスター:
ユーザー目線で考えた場合、 どのような便利さの向上が期待できるのでしょうか?

経済アナリスト・ 馬渕磨理子さん:
例えば決まっているものではないのですが、PayPayとLINEpayの何らかの統合や、LINE連携でヤフーショッピングが利用できれば、ECユーザーの拡大に繋がりそうです。
さらにLINEギフトでヤフーショッピングの商品が送れるようするなど、プラットフォーム同士の連結は多岐にわたります。

そして、競合する楽天グループなどに対して、顧客を囲いこむ「ポイント経済圏」の競争を有利なものにしていくため、使いやすいサービス・お得感のある価格などを打ち出していくと思われます。

小澤陽子 キャスター:
クリアすべき課題を上げるとしたら、どのようなことが考えられますか?

経済アナリスト・ 馬渕磨理子さん:
3社合併の核になるZホールディングスの足元の業績は、このところ伸び悩んでいます。
主力とする広告事業は景気の影響を受けやすく、しかも競合するTikTokなどとパイの奪い合い厳しさを増しており、差別化を図れる付加価値の提供が求められます。

そこでZホールディングスは、テレビコンテンツを広告付きで無料配信するサービス「TVer」と業務提携することで基本合意しています。
特にヤフーはアマゾンに比べて、ユーザーの年齢層が高いため、TVerからの送客は重要で、ここに新たな可能性を見いだすことが出来ます。

今後はTVerの視聴者に、LINEやヤフーのクーポンを配布したり、LINEでコンテンツを紹介することで、TVerの利用を促したりするなど、広告事業の拡大を目指すことが考えられます。

小澤陽子 キャスター:
可能性が広がりますね。
キャッシュレスでの支払いや、手軽な送金サービスを利用する機会も多くなっているので、IDの連携などによって、みんなが広く使えるサービスがあればと感じることがあります。
ただ、個人情報の管理などにも、引き続き注力して欲しいと思います。

(「Live News α」2月2日放送分より)