お年玉は子どもたちにとってお正月の楽しみの一つ、その金額に注目してみる。都道府県別の出費額を見ると“西高東低”の傾向という調査結果がある。長野県は46位という結果、お年玉の最新事情を探った。

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小学4年・小1子:
1万円くらい。(誰からもらったの?)おじいちゃんとおばあちゃん、4人。(買いたいものは)おもちゃとか、ジオラマみたいな

小学1年:
(使い道は?)車のおもちゃ(買いたい)

年長(6):
おじいちゃん、おばあちゃんとゆうちゃん(叔父)からもらった。千円札1枚(父親:千円札3枚だな)

小学5年:
ばあばから1万円もらって、ママの弟から1万円もらいました。(使い道は?)洋服とか雑貨で使いたいなと思います

高校1年:
3万円くらいです。お母さんたちから1万円ずつもらいました

高校1年:
6万くらい。家族と親戚からもらいました。(お年玉の使い道が)特にないので貯金ですかね

高校生:
8万円くらい。親戚がいっぱいいるので誰からいくらとか覚えてない、10人とか11人(親戚がいる)。(使い道は?)バイトをやめたので貯金してちょっとずつ使っていこうかな

大学1年:
4万円くらい。主におばあちゃんですね。(使い道は?)自分の好きなグループのライブがあるので、それのグッズとか買いたいです

大学院生(23):
6万円くらい。親戚にだいたい1万円ずつくらいもらって、ちょっとだけ多めにもらったところもある。(物価高で)生活費とかすごくかかってくるので、うれしいです

もらった最高は8万円、使い道は「貯金」「おもちゃ・ゲーム」

長野市と松本市で未就学児から大学生まで33人に聞いたところ、最高は高校生の総額8万円。
全員が、肉親や親戚からもらっていた。

「使い道」で最も多かったのは「貯金」で大学生の13人中6人、高校生の10人中4人が回答。
小学生以下では10人中4人の「おもちゃ・ゲーム」が最も多い回答だった。もらう額は、年齢とともに上がるに傾向にある。お年玉をあげた大人たちにも聞いた。

いくらあげましたか?

70代:
(孫が)5人いるから2万円くらい。小学校の時は3000円、中学校、高校に入ったら5000円

40代:
(合計)6000円あげました、おいっ子とめいっ子(中3と中1)です。今までは5000円だったんですけど、今年はいろいろ値上がりとかしたので、厳しくなったので3000円にしました。もっとあげたいんですけどね、なかなか

40代:
帰省しなかったのであげなかった、コロナで。例年だと、めいっ子が2人いるので5000円ずつ

30代:
親戚が結構多いので、未就学児でいくらとか、小学生でいくら、中学生でいくらという感じで、(不公平が出ないよう)親戚で決めてる

60代:
トータルで3万円。中学生と高校生、合計3人。(物価高の影響は?)それは苦にならない。(使い道は)自分の好きなことに、悪さしなければ何でも

70代:
中学生に5000円。小学生が3000円。(物価高等の影響は)ありますよ。だけど私も年金暮らしだけど、4人いるから計算すれば2万円くらい残しとけばいい。年金から引いて、毎月、端によけとく

コロナ禍や物価高の影響はあっても「お年玉は渡す」「額は下げない」という答えが多く、やりくりを工夫している人もいた。中には逆のパターンも。

90代・孫(30代)からお年玉:
孫から私がもらった、まだ嫁さんもいなくて。だから、ばあちゃんに小遣いくれる。「おばあちゃん、おいしいもの食べな」って

学年が上がると金額が増える

街で聞いた70人の回答から金額の傾向を「年齢・学年」でまとめてみると、未就学児は1000円から2000円、小学生は3000円から1万円、中高生は5000円から1万円、大学生や専門学校生は1万円という結果だった。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト・永濱利廣さん:
学年があがるにつれ、嗜好(しこう)する買いたいものも高価になっていくので、学年が上がるごとに増える傾向がある。未成年者が嗜好するモノ・サービスを提供する業界にとっては、お年玉商戦は期待のイベント

長野県の出費額は全国46位

一方、県内は「財布の紐が固いのでは」という情報も。

気象情報会社・ウェザーニュースが2022年、全国の「アプリ利用者」を対象に、お年玉の「出費額」を調べたところ、1位は徳島県の1万6656円。2位・福井県、3位・鹿児島県と続いた。

出費額については「西高東低」の傾向がみられたという。

最も低かったのは岩手県の5516円。長野県は7720円で全国46位。実は前年の調査でも長野県は43位(7364円)と下位グループだった。

財布のひもが固いのは県民性?

要因の分析はないが、経済全般に明るいエコノミストの永濱さんは…

第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣さん:
東側の人の方が辛抱強く慎重なイメージがあって、節約志向が強い。似たような状況はヨーロッパがそうで、北のドイツ、オランダは真面目で手堅い。南側のイタリア、スペインはラテン気質で、大盤振る舞い、たくさん出費する傾向。長野はすごく真面目な県民性で有名じゃないですか。私は生まれが群馬なのでわかるが、群馬が楽天的なのに対し、長野は真面目な方が多い。そういったところも影響しているのでは

「県民性」ゆえの結果なのだろうか。額が「西高東低」ならば長野などの雪国は冬、除雪や暖房に出費がかさむため、お年玉の額を抑えるのではという「推測」もできるが…。

第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣さん:
一理あるかもしれない。ガソリンの値段が長野はすごく高いですよね。そういう要因もあるのでは、暖房だけではなくて燃料も高いと

渡し方にも変化はある?

コロナ禍、一気に進んだキャッシュレス。お年玉も「電子マネーやICカードで」という動きが出始めている。

お年玉のキャッシュレス化は?

40代:
現金できちんと渡したいな、お札、お金をあげて重みをきちんとわかってくれればいいかな

30代:
今の若い子たちってそれが当たり前、使ってみたら面白いかなと思う

70代:
もらうときのドキドキ感が、孫たちの顔に見えるので、キャッシュレスは右から左で、お互いにニコニコ感とかワクワク感がないから、ただお金の移動、あまり好きじゃない

今回の取材では「キャッシュレス」のお年玉を実践している人はいなかった。永濱さんは、お年玉もキャッシュレス化が進む可能性があるとした上で、こんな指摘も。

第一生命経済研究所首席エコノミスト永濱利廣さん:
資産所得倍増ということで、貯蓄から投資へという動きが強まっている中で、金融リテラシーを高めることが重要で円高になれば、お年玉はドルで渡すと。為替が気になって、子どもの金融リテラシーが上がる、そういう家庭も出てくるかも

所変われば額も変わる。時代が移れば渡し方も変わる。そんな「お年玉事情」が見えてきた。

インタビューへのご協力、ありがとうございました

(長野放送)

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