アメリカ司法省は、日本の独占禁止法にあたる「反トラスト法」に違反し、競争を阻害したとして、IT大手・グーグルを提訴した。

米司法省、広告事業で“競争阻害”訴え…グーグルは争う姿勢

米・ガーランド 司法長官(24日・ワシントン):
グーグルは15年にわたり、競合技術の台頭を阻止するための反競争的行為を追求してきた。

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アメリカ司法省は訴えの中で、“グーグルが広告配信システムを独占しているほか、サービスの強制などで他社を排除し、競争を阻害した”としている。

これに対しグーグルは声明で、“提訴は技術革新を遅らせ、広告料金を引き上げ、何千もの中小企業や出版社の成長を困難にし、欠陥のある議論を繰り返している”と、争う構えを見せている。

もはや“インフラ”に近い存在 求められるのは国家運営のような経営?

このニュースについて「Live News α」では、(株)キャスター取締役CRO・石倉秀明さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈 キャスター:
グーグルが広告事業をめぐって提訴されましたが、経営者である石倉さんの目には、どのように映っていますか?

(株)キャスター 取締役CRO・石倉秀明さん:
グーグル社は、グーグルに広告を出す企業向けの管理システムを提供しながら、一方で、メディア運営者が自分達のメディアに出す広告を管理したり最適化できる、というシステムを持っています。

つまり、広告を出す人と、広告枠を提供する人、この2者に向けてのシステムを同時に持っている。これが今回の論点になっています。 

ただし後者については、12年前にグーグルが買収したものがもとになっていて、12年前に買収したものが、なぜ今問題視されているのかは不明なんです。

ただグーグルはこれらのサービスを無料で提供していますし、ユーザーも非常に多いですから、自社に有利になるような設計や手数料にしている可能性もなくはない

もしそうだとすると競争を阻害していることになるので、本当にそうなのかということは、これから明らかになっていくことだと思います。

内田嶺衣奈 キャスター:
一方で、多くのユーザーがグーグルのサービスを選んでいる現状については、いかがですか?

(株)キャスター 取締役CRO・石倉秀明さん:
アメリカ国内の検索エンジンのシェアは90%以上がグーグルで、もう水道や電気などのような生活インフラに近い存在なんです。

しかし、生活インフラである電気代が高騰しても独占禁止法の話にはなりませんが、いち営利企業であるグーグルの場合、政府からの監視の目に晒されてしまうのが難しいポイントだと思います。

内田嶺衣奈 キャスター:
いまグーグルなどのビックテックは、サービス運営と同時に、政府と向き合わなければならないという難しい経営を迫られているようですね。

(株)キャスター 取締役CRO・石倉秀明さん:
新しい市場ができてそこで独占的な立ち位置を築くと、サービス提供だけではなく、やはり政府などと対話をして、業界ルールを自分たちで作っていくという動きがある。

実際にGAFAMの5社だけみても、年間100億円弱の献金を行っていますし、政府出身者が会社に入って一緒にルール作るというのも当たり前にやっています。 

その中でも今回のような事態になってしまうということを考えると、ユーザーと向き合うのはもちろんですが、政治的な背景や流れ、また国民感情にまで付き合わなければいけない。そう考えると、いち営利企業としての立ち居振る舞いを超えて、ひとつの国家や自治体を運営しているのに近いような、そんな存在にまでなっているのだろうと感じますね。

内田嶺衣奈 キャスター:
世界的に大きな影響力をもつグーグル。争いの行方は、どのような結末を迎えるのでしょうか。

(「Live News α」1月25日放送分より)

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