宮城県仙台市では初めてとなる「不登校特例校」の開設を目指す学校法人が2023年4月の開校に向けて準備を進めている。不登校の子供が増加傾向にある中、学びの選択肢を増やす新たな場が生まれようとしている。

2023年4月 不登校特例校開校へ

宮城県内のほとんどの小学校で冬休みが終わり、授業が再開した1月10日。仙台市太白区の旧坪沼小学校で開かれているフリースクールには、さまざまな事情で学校に通えなくなった児童・生徒が集まった。

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生徒:
作りたいものがいっぱいあるから、楽しみで来ました

生徒:
楽しそうって思って来る

フリースクールを開いているのは、仙台市内で幼稚園などを運営する学校法人「ろりぽっぷ学園」。2023年4月、この場所で不登校特例校の開校を目指している。

ろりぽっぷ学園 加茂光孝 学園長:
仙台市でいじめの問題だったり、不登校がピックアップされてきた中で、子供たちが学校に行きたくても行けない、学び方の選択肢を探している卒園児だったり、知り合いの方がすごく多くいたので

文部科学省の調査では、宮城県は不登校の児童・生徒の割合が全国で2番目に多く、仙台市は全国の政令指定都市の中でいじめの認知件数が2番目に多い都市となっている。
こうした中、加茂学園長は子供たちの“居場所”となり、“学び”を得る場所として新たな小学校を開こうとしている。

ろりぽっぷ学園 加茂光孝 学園長:
“安心できる場所”以外にも“学び”があって、自分たちの次の一歩が踏み出せる場所。安心プラス教育っていう部分で“学校”に、私はこだわりがあった

特例校では、個人の興味・関心に合わせた柔軟なカリキュラムを組むことが可能で、学習へのアプローチもさまざま。この日は「鍋プロジェクト」と題して、おいしい鍋料理を作るため、どんな材料や調理が必要なのかを考えていた。

教員:
材料を見つけるために調べ学習をしてみたり、あとは実際の食材を使って実験してみたりとか、きのうはだしをとっている子たちもいたりとか、それこそ今配合を考えている子たちもいたりとか

ろりぽっぷ学園 加茂光孝 学園長:
全部つながっている。この料理だって化学・理科・算数だったり、大人がどんなふうな学びがあったかをきちんと振り返ってあげれば、子供たちも「こういうこと分かったよ」と学びが積み立てていける

学びの選択肢を増やしたい

小学校4年生の三品琉花さん。犬が大好きだという。

記者:
この犬のどういうところがかわいい?

三品琉花さん:
とにかくお尻がかわいい

聴覚過敏などがあり、小学校2年生のころから学校に行きたがらなくなったという。

母・三品由美さん:
席について先生の話を聞こうとしても、車の走行音・クラス内のざわつき・先生の話、それを聞き分けて必要なものだけをとって板書するっていうのが苦手

これは、琉花さんが廊下で授業を受けている様子です。こうした光景を見て、母・由美さんの考え方は変わっていったという。

母・三品由美さん:
私も最初のころは「学校に行かせなきゃいけない」という気持ちが強くて、先生方もすごく考えて工夫してやってくれているのがすごく分かっていたので。先生方の方を向いて娘の方を向いてなかったって

その後、ろりぽっぷ学園が開くフリースクールを知り、通い始めた琉花さん。4月からは、特例校に転校する予定だという。

母・三品由美さん:
すごくほっとしています。勉強も大事なんですけど、人とのコミュニケーションの仕方とか、勉強以外のいろんなことを学んでほしいなって

記者:
夢や将来の目標は?

三品琉花さん:
ドッグトレーナーになりたい。犬好きだから

子供たちの笑顔があふれる学校へ。2023年、新たな学びの場が生まれようとしています。

ろりぽっぷ学園 加茂光孝 学園長:
私は「不登校」という言葉をなくしていきたい。子供たちが「この学校もあるし、あっちの学校もあるよ」というふうになれば。仙台市でその一歩を踏めるのがうれしいので、まず1年目で頑張っていきたいなって思います

(仙台放送)

仙台放送
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