人々に笑顔を届ける「猿回し」。猿回し師の男性が相棒のサルと一緒に信州に移住。寝起きを共にしながら息の合った芸を披露している。

相棒は「コモ太」

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1月5日、長野県豊丘村の道の駅で猿回しを披露した井出十夢さん25歳。県によりますと、県内唯一の「パフォーマー」だ。相棒は「コモ太」。ニホンザルのオスで15歳になる。

ずらりと並んだハードルも…軽快にジャンプ!

ハードルを飛び越える
ハードルを飛び越える

続いて、コモ太の身長をはるかに上回るハードル。スタート位置に移動しようとすると…コモ太が触ってハードルが崩れてしまった。

コモ太がハードルをくずす「ボケ」
コモ太がハードルをくずす「ボケ」

井出十夢さん:
コモ太く~ん、この回、結構ウケてるよ~。この芸、半年かけて覚えた「ボケ」でございます

ハードルを積み直して、再び挑戦。見事にジャンプ!

ハードルを積み直して…、見事に飛び越えた!
ハードルを積み直して…、見事に飛び越えた!

「猿回し」を見た子ども:
面白かった。(どんなところが面白かった?)わっか、くぐるところ

「猿回し」を見た母親:
半年かけて頑張ったボケが、一番良かったかなと思います

コンビを組んで4年半。苦楽を共にしてきた1人と1匹だ。

苦楽を共に…
苦楽を共に…

井出十夢さん:
(コモ太は)本当にかけがえのない存在。パートナーとして、本当に家族のような存在ですよね

2019年に独立 コロナ禍で苦しいスタート

井出さんは長野市の出身。昔から動物好きで専門学校を卒業後、茨城県の動物園に就職した。飼育員の傍ら、イベントの一つだった「猿回し」の担当となり、コモ太とコンビを組む。

サルだけは、苦手だったというが…。

井出十夢さん:
一番最初出会ったときにかわいい顔で、おっとりした感じがいいなって。気づいたら自分もサルが好きになってきちゃって、今は動物園に行ってもサル山に1時間、2時間いるくらいなので、本当にサルが好きなんだなって思いますね

先輩たちに教わってパフォーマンスを身に付け、2019年、動物園の経営者が変わったのを機にコモ太を連れて独立した。水戸市内で活動を始めるが、コロナの影響でイベントは軒並み中止。苦しいスタートだった。

井出十夢さん:
仕事もないし、(貯金を)切り崩してどうにか、コモ太の餌だけは確保して、私はちょっとずつ食べているような感じで、水戸時代は本当にお金なかったですね。どうしようって、ずっと毎日のように考えていましたね

イベントが徐々に開かれるにつれ仕事も増加。全国を公演する中、2022年3月、自然の豊かさに引かれ豊丘村に移住した。

豊丘村での“共同生活”

休日は散歩をしてリフレッシュ。

井出十夢さん:
自然が豊かなんでね、おサルさんにもいいかなと思って豊丘村にしたんですよ

しばらく散歩すると…

井出十夢さん:
道路沿いとかに出て散歩すると、「え!何!」みたいな感じで手振ってきたり、結構多いですね

散歩が終わると朝食。

井出十夢さん:
バナナかミカンが好きですね。コモちゃん、キュウリをですね、皮があると食べないんですよ。なので私がこうやって皮をむいてあげてるんです

キュウリの皮をむく
キュウリの皮をむく

井出十夢さん:
ご飯だよ~

井出十夢さん:
好きなものとか先に食べて、嫌いなもの夕方まで残っているときありますね。今も途中でミカン飽きて、バナナいこうかなと思ってるんで。あ、バナナいきましたね、やっぱり

空き家バンクを通じて借りているこの家には、コモ太のお気に入りの場所がある。

井出十夢さん:
ここから景色がいいんでね、見てるんですよ

窓の外には中央アルプスの山並み。この眺めが好きなようだ。

お気に入りの景色を眺める
お気に入りの景色を眺める

井出十夢さん:
気持ちいいね、コモちゃん

稽古の時間
稽古の時間

続いて稽古の時間。ハードルを飛び越えるパフォーマンスのトレーニングに励んでいた。

井出十夢さん:
さあ、それではいきましょう。コモ太くんのハードル4段の挑戦です。さあ、コモ太くん、準備!いいね、いいよ!

渾身の「ボケ」も練習―。

井出十夢さん:
こうやってちゃんと褒めてあげることが大事なんです

稽古が終わると…

井出十夢さん:
コモちゃん気持ちいいね~

皮膚などを保護するため2週間に1回ほどはシャワーを浴びさせている。

井出十夢さん:
結構毛が速乾性あるんですよ。ドライヤーあてなくても大丈夫なんですけど、まあ一応、風邪ひいちゃう可能性があるので

コモ太は人間でいうと45歳くらい。ちょっと、おじさんだ。

井出十夢さん:
(昔は)はしゃいでいた感じだったので。初めて会った10歳くらいの頃より、穏やかになったなって感じですよね、おっとりしたような…。風格が出てきましたね、お客さんから「貫禄あるサルだね~」とか言われて

現在、コンビは県内を中心に、多い月で20日ほど公演をしている。

井出十夢さん:
猿回し師って少なくなっていたりもするんですよね。私も一猿回し師として盛り上げたいというのはありますよね、伝統を守りつつ

苦楽を共にし寝起きも一緒。井出さんとコモ太のコンビは、これからも息の合ったパフォーマンスを披露していく。

井出十夢さん:
一日でも多くこういった道の駅とかでやらせてもらえたら。私もこの子のケアをしながら、一緒に楽しんでやっていけたらなと思います

(長野放送)

長野放送
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