中国が発表した、2022年のGDP=国内総生産の伸び率は3%にとどまり、政府が抱えていた年間目標の5.5%前後を大幅に下回った。

中国GDP、目標値に届かず…61年ぶり人口減少、出生数は過去最少に

中国の国家統計局は17日、2022年の1年間のGDPの伸び率は前年と比べ+3%と発表。政府目標の「5.5%前後」に届かなかった。

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ゼロコロナ政策により、中国の各地で厳しい行動制限が強いられたほか、政策の撤廃後には、感染の急拡大が経済活動の重しとなり、消費も落ち込んだ。

このほか、中国の人口が減少に転じたことも発表された。
中国国家統計局によると、中国本土の人口が、2022年末時点で14億1175万人となり、前の年に比べて85万人減った。人口が減少に転じたのは、61年ぶり

また、2022年の出生数は、106万人減って956万人となり、2年連続で建国以来最も少なくなった。

国連の予測では、インドが中国を抜いて、世界で最も人口が多い国になる見通し。

景気減速は想定内…今後の中国・日本の立ち位置は?“1人当たりGDP”が鍵

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい、経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈 キャスター:
中国の実質成長率が、政府目標の5.5%に届かず3%にどどまりましたが、どうご覧になりますか?

経済アナリスト 馬渕磨理子さん:
これは、短期と長期の視点の両方が必要です。

まず、短期の視点からお話しすると、実は今回の発表は予想通りの景気減速で、しかも想定の範囲内だったことから、17日の上海株は下落するも下値は限定的でした。むしろ、第4四半期のGDPの伸び率が、市場予想の+1.6%を大きく上回ったことが好感されています。マーケットは、中国経済は底打ちし、今後回復に向かうとの期待感が広まっています。

「ゼロコロナ」政策の解除による混乱をしずめて「ウィズコロナ」政策に移行できれば、過去3年分のリベンジ消費が起きる可能性があり、2023年は6%超の実質成長も期待できます。

内田嶺衣奈 キャスター:
一方の長期の視点についてですが、これからの世界経済で中国はどのような位置を占めていくのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
人口減少のお話もありましたが、やはりこの人口の多さや、巨大な市場が経済成長の原動力となり、中国が引き続き、世界経済で重要なポジションを占めていくことには変わりありません。

ゴールドマン・サックスの投資調査部門が2022年12月に世界経済の長期予測を発表していて、中国が2035年ごろにアメリカを抜き、世界一の経済大国になる可能性を指摘しています。

他の調査でも、2050年には世界上位の国は中国、アメリカ、インド、インドネシアになるというふうに予測していて、日本は3位から7位へと後退するとされています。

内田嶺衣奈 キャスター:
中国やインドなどが成長する一方、日本が後退していくのは、寂しいように感じてしまいますが、いかがですか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
日本は、いたずらに中国やインドとGDPの大きさを競い合う必要はないように思います。

例えばアメリカはGDP世界1位の座を譲ることになりますが、1人あたりのGDPで比べると、アメリカの豊かさは中国やインドの2倍を上回る水準を維持するとみられています。

現在、日本の1人当たりのGDPは、OECDの加盟国で20位となっています。
成熟した資本主義社会においては  製造業に頼り切るのではなく、金融や観光など様々な成長の軸を持ち、「1人当たりGDPをもっと豊かにしていく」ことが求められます。

内田嶺衣奈 キャスター:
日本は一人一人が豊かになる道を探りながら、同じアジアの経済大国と、これまでとは違う向き合い方が求められていくように思います。

(「Live News α」1月17日放送分より)

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