新型コロナウイルス国内初確認から3年。依然 不自由な生活は続いていて、立場の違いで考え方もさまざまだ。4年目に入ったコロナ禍の生活は、これからどこへ向かうのか。
“平時に近い社会”はいつ

2023年1月16日、新型コロナの現状について問われた松野 博一 官房長官は、「平時への移行期間として、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りつつ、できるだけ平時に近い社会経済活動が可能となるよう取り組んでいる段階と認識している」と答えた。

“平時に近い社会”は一体いつ戻ってくるのか。国内で最初の感染が確認されてから3年が経ったが、静岡県内でいまもマスクをつけて歩く人の姿が多くみられる。
道行く人たちからは「海外の映像を見ると、日本もそろそろマスクをしなくてもいいのではと思うこともある。」といった意見もあれば、「自分だけ外すわけにはいかない。みんなが我慢してつけるべき」といった声もあった。

基礎疾患のある人、高齢者と暮らしている人、若くて健康な単身者、妊娠している人、受験生。立場によって、新型コロナに対する考え方は様々だ。
新型コロナで変化した日常

新型コロナが国内で初めて確認されたのは、2020年1月15日。
その直後に迎えたのが、中国の春節の大型連休だ。マスク姿で対応するのは、限定的で特別なことと考えられていた。静岡空港で導入した、発熱していないか調べるサーモグラフィー検査も。

そして2020年2月。大型客船ダイヤモンドプリンセスで、712人に上る集団感染が判明。感染は全国各地へと広がっていった。

静岡市・田辺 信宏 市長:
この度 静岡市内で初めて新型コロナウイルスの患者が確認されました。静岡市在住の60代の男性です
2020年2月28日、静岡県内でも初めて感染者が確認された。市民それぞれが対策をとろうと、ドラッグストアからはマスクや消毒液が消えた。
社会全体で“我慢”

2020年4月8日、安倍晋三首相(当時)は「緊急事態宣言」を出した。
街からは人の姿が消え、商業施設や飲食店、観光関係者は苦境に陥った。2020年に予定されていたオリンピックも延期になった。オンラインでの会議、テレワークが進んだ。

子供たちの学校は休校に、修学旅行などは中止とされた。
「修学旅行に行けなかった」「出産時に立ち合いがなくずっと一人でつらかった」それぞれの立場で、我慢の時が続いた。

そんな中で事態を大きく変えたのが、ワクチンの開発と治療薬の登場だ。ウイルスの特性も分かってきたことが増え、3年前とは違う。
第8波で増加する死者
しかし、いまも第8波の真っただ中にいて、静岡県内の感染者数は過去最多を記録した。

静岡県 健康福祉部・後藤 幹生 参事:
今後の増加のスピード、ピークがどこまであがるのか。そのピークがいつ頃くるのかということで、まったく予断ができない状況です

県は、1月に入ってからの急激なペースで増え続けた場合、1日の感染者数は1万2300人程度となると予測している。12月並みのペースなら、2月の初めにピークを迎えるとみている。

また、これまでになく増えているのが感染した人の死者数だ。感染者が8000人近く出ていた第7波の時よりも多くなっている。

後藤 幹生 参事:
1カ月間で300人近い死亡公表になるのではと大変懸念している。感染者数を抑える、とくに高齢者の感染を抑えることが死亡者を減らす。最も大きな方法と考えています

死者の年齢分布をみると128人のうち、119人が70歳以上の高齢者だ。これは第7波の時と大きく変わっていない。

死亡率は、第7波の時は0.10%、第8波は前半が0.09%、後半が0.14%だ。それぞれ1万人に、10人、9人、14人が死亡する計算になる。
これは季節性インフルエンザの死亡率と同じくらいの水準だ。
基礎疾患のリスクについても、大きな変化はない。高齢者ほどリスクがあることは変わらず、県は把握できていない感染者がいるとみている。
コロナ禍は4年目に

感染対策を呼びかけながらも、同時に行われる旅行支援のキャンペーン。「屋外はマスク不要」とされながらも、実行に移せない日本の私たち。ちぐはぐな対策は、いつ変わるのか、どこでどう変えていけるのか。コロナ禍の生活は4年目に入った。
(テレビ静岡)