鳥インフルエンザが猛威を振るっている。
福岡・古賀市の農場では、飼育されていたエミューの一部が死んでいるのが見つかった。遺伝子検査の結果、高病原性鳥インフルエンザと判定され、福岡県はエミュー約430羽を殺処分。
濱田洋平記者：
古賀市で新たに鳥インフルエンザが確認されました（2023年1月3日）。周辺にはこのように消毒ポイントが設置されています
県内では2022年12月に糸島市の養鶏場2カ所でも鳥インフルエンザが確認されている。
さらに全国で確認されたのは過去最多にのぼり、2023年1月7日までに23道県で900万羽以上が殺処分されている。そして鳥インフルエンザの猛威は、私たちの生活に大打撃を与えている。
神経をとがらせる養鶏所
福岡・鞍手町にある直売所。店内では周辺でとれた新鮮な農産物が販売されている。
中でも一番の売れゆきを誇るのが、朝一番に採れた新鮮な卵だ。「味宝卵」のブランド名で販売されている。白身と黄身がこんもりと盛り上がり、栄養価も高いのが特徴で、120～500日頃までの若くて元気な親鶏からのみ卵を採取しているという。
直売所だけでなく地元の飲食店を中心に約1,000店舗と取引があり、1日に6万個を出荷しているが…いま神経をとがらせているのが鳥インフルエンザへの対策だ。
野上養鶏場・藤井豪社長：
ここまでしか入ることができません
記者：
養鶏所までまだ距離が…
野上養鶏場・藤井豪社長：
人が入ると、鳥インフルエンザを持ち込む危険性があるため、外部の人はここから先は一切入れないようにしています
7万5,000羽を飼育するこの養鶏場では、感染防止策として外部の人の立ち入りを禁止し、従業員には靴や車両の消毒を徹底させている。
記者：
これほど感染防止を徹底したのは今まであった？
野上養鶏場・藤井豪社長：
怖いです。今までこんな状態になったことはない。毎年、鳥インフルエンザは懸念しているが、こんなに敏感になったのは初めて
記者：
もし感染が見つかった場合の影響は？
野上養鶏場・藤井豪社長：
鳥インフルエンザになった場合、元に戻るのは1年かかる。卸先にも迷惑がかかるので早く収束してほしい
福岡県も相次ぐ感染確認を受け、養鶏場などに対して消毒を始めとした対策の徹底を呼びかけ、封じ込めを図っているが、鳥インフルエンザの問題は私たちの生活にも影響を及ぼし始めている。
卵の価格高騰…さらに値上げの可能性も
福岡市内にあるうどん店。店の人気メニューの一つが親子丼だ。
釜喜利うどん・金子瑛祐店長：
（多い時に）卵は、1日100個くらいは使いますね。卵の仕入れ値が、今までの1.5倍くらいの値段になっている。これ以上、上がるとさすがにきつい
店にとっては欠かせない卵だが、鳥インフルエンザが仕入れ値に影響している。
この店では、2022年に小麦と油などの値上がりを受け、うどん1杯あたりの値段をすでに50円ほど上げている。今後、卵の高騰が続けば、さらなる値上げも懸念されている。
卵の高騰は消費者も直撃している。
買い物客：
どうしよう高い。普通、ここ200円くらいだったから50円くらい高いでしょ
こちらのスーパーでは現在、Lサイズの卵10個1パックを269円で販売。1年ほど前は178円と100円近く値上がりしている。
エムズ美和台店・久松浩一店長：
クリスマスケーキが落ち着くと卵が余る傾向にありますので、相場がいったん下がるのが通常なんですが、今年は値段そのままの状況が続いていて、値下げがない状態で高値のままきております
さらに卵の供給不足は深刻な状況で、店では12月1日で1,000パックを発注したところ200パックしか入荷しない日もあったという。
エムズ美和台店・久松浩一店長：
ここまで卵の数量が制限されるとか減らされるというのは無かった。出来るだけ安くは販売していこうと思っているんですけど、数量確保が難しいため値段の方もそれに合わせて変化するようにしています
鳥インフルの収束の見通し立たず…
今後、卵の値段はどうなっていくのか。青果卸会社の鶏卵担当者は、高値傾向は当面、続くとみている。
福岡大同青果・鶏卵担当 永嶋剛さん：
いまの状況からすると価格が下がる要因はない。きのう(1月5日)、新潟県で新たに130万羽が鳥インフルで殺処分との情報が流れた。今後、相場がどう動くのか。見通しが立たない
さらに全国有数の鶏卵産地・鹿児島での鳥インフルエンザの発生が今後の価格に大きく影響する可能性もあるとしている。
福岡大同青果・鶏卵担当 永嶋剛さん：
九州に関して言えば、主要産地の鹿児島、ここで10例以上発生している。卵が出荷停止や廃棄となった。ここが持ち直さなければ、相場が戻らない
価格の優等生と言われた卵。家計への負担が増え続けるなか、収束の見通しは立っていない。
（テレビ西日本）
