高知県の県鳥で、「幻の鳥」とも言われるヤイロチョウに危険が迫っている。野鳥のヒナや卵を食べる雑食の鳥が県内で増加し、保護団体が警鐘を鳴らしている。

カラスの仲間「サンジャク」

2022年8月、高知・黒潮町の無人島「鹿島」で、鳥の親子が水を飲んでいる映像が撮影された。この鳥は、主に中国や東南アジアに分布する外来種・サンジャクだ。

外来種「サンジャク」の親子
外来種「サンジャク」の親子
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全長70cmほどのカラスの仲間で、優雅な見た目に似合わず、他の野鳥のヒナや卵を食べるとされている。

実際、鹿島では、元々生息していたメジロがいなくなってしまった。

「10年もしたら四国中に…」保護団体が警鐘

警鐘を鳴らすのが、国の絶滅危惧種・ヤイロチョウの保護に取り組む団体、生態系トラスト協会だ。

生態系トラスト協会・中村滝男会長:
これほど侵略性の高い外来種が日本に来たのは初めて。このまま10年もしたら四国中に広がる

2021年、協会が管理する四万十町のヤイロチョウ保護区の森林で、サンジャクが初めて発見された。その影響もあってか、この森で毎年生まれていたヤイロチョウの巣立ちが、2022年は全く確認されなかった。

サンジャクは、数年前から高知県西部で度々目撃されていたが、2022年は中部の南国市や東部の安芸市でも目撃情報があり、数百羽が生息していると考えられている。

生態系トラスト協会・中村滝男会長:
われわれ市民団体がいくら努力しても、逆立ちしても解決できない。なかなか根が深いというか、非常に大きな問題を抱えているというのが分かりました

24年前に愛媛のリゾート施設から逃げ出す

原因は、愛媛・宇和島市のリゾート施設「南レク」内で日本で初めて飼育されていた35羽のサンジャクが、24年前に全て逃げ出したことだった。当時は公表も捕獲もせず、そのままにしていた。

そこで生態系トラスト協会は2022年11月、愛媛県に公開質問状を提出。公園を運営する「南レク」と愛媛県から、「捕獲されたサンジャクを可能な範囲で受け入れる」という回答をもらった。

協会は2月に要望書を提出し、愛媛県や県内の市町村と協力して迅速に捕獲を進めていきたいとしている。

(高知さんさんテレビ)

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