アメリカ北西部・アイダホ州で起きた、大学生4人が刃物で刺され死亡した事件で、容疑者が逮捕された。現場に残されたDNAと民間DNA家系図データベースを照合し、犯人の血縁者から犯人を特定するという捜査方法から、容疑者が捜査線上に浮上したという。
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事件は、2022年11月、アイダホ大学キャンパス近くのアパートで起きた。

このアパートに住んでいた女性3人と、そのうちの1人と交際していた男性が室内で刃物で刺されて死亡した。被害者は20~21歳の学生で、犯人が無理やり侵入した形跡はなかった。事件当時、アパートには他に2人のルームメイトがいたが、けがもなく無事だった。

事件発生から7週間近くたった12月30日(金)未明、ブライアン・コーバーガー(28)が殺人などの容疑で逮捕された。
事件前、現場付近に12回 ナイフのさやからDNA検出
1月5日(木)、コーバーガー容疑者はアイダホ州の裁判所に出廷。これを受けて開示された文書で事件の詳細が明らかになった。

事件は午前4時から4時25分の間に起きたと見られている。無事だったルームメイトの1人は、被害者の1人が「誰かいる」というのを聞いたという。その後、被害者の泣き声が聞こえ、男の声で「大丈夫だ、助けてやる」と言ったのが聞こえたと証言した。黒い服を着てマスクを着けた男が見え、ルームメイトは部屋に鍵をかけて閉じこもったという。

コーバーガー容疑者の携帯電話のデータによると、容疑者は事件前に12回、現場付近を訪れていたという。現場近くの防犯カメラには、コーバーガー容疑者の車と同じ白い乗用車が映っていた。また、現場に残されたナイフのさやからコーバーガー容疑者のDNAが検出されたという。
ABCニュースによると、現場に残されたDNAと民間DNA家系図データベースを照合し、犯人の血縁者から犯人を特定するという捜査方法から、コーバーガー容疑者が捜査線上に浮上した。
事件後に“変化”感じた生徒も…
コーバーガー容疑者は、ワシントン州立大学で犯罪学の博士号の取得を目指しており、殺人現場までは州をまたいで車で15分ほどの場所に住んでいる。大学では補助教員をつとめている。

生徒の1人は事件後に変化を感じたといい、「少し髪が乱れ、無精ひげがあった。特に変だったわけではないが、期末試験の準備が大変だったんだと感じた」と語った。

事件の約1カ月後、12月15日、コーバーガー容疑者は休暇を実家で過ごすため、父親と共にワシントン州からペンシルベニア州に車で向かっていた。その途中、インディアナ州であおり運転の注意で2度、警察に止められていた。
コーバーガー容疑者はペンシルベニア州の実家にいるところを逮捕され、アイダホ州に移送された。容疑者の弁護団は「アイダホ州で法的手続きが進めば、無罪が認められると信じている」と述べた。
容疑者と被害者の関係は不明で、動機も明らかになっていない。容疑者は無罪を主張している。
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