一年の最初の取引は、大幅下落でのスタートとなった。
世界景気の先行きに対する警戒感が強まった形だが、2023年の株式市場はどうなるのだろうか。専門家は、「内と外に跳ねる材料がある」と、株式市場の3万円台の回復もありうると話す。

一時400円超下落…約9ヶ月半ぶりの安値で取引終えた“大発会”

東京株式市場で2023年最初の取引となった1月4日の大発会は、アメリカなど世界景気の先行きに警戒が強まった影響で売り注文が広がり、日経平均株価は前年の年末に比べ、一時400円以上値下がりした。

2023年の大発会では、一時400円以上下落
2023年の大発会では、一時400円以上下落
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結局終値は2万5716円86銭と、約9カ月半ぶりの安値で取引を終えた。

結局約9カ月半ぶりの安値で初日の取引を終えた
結局約9カ月半ぶりの安値で初日の取引を終えた

2023年の相場格言は「卯跳ねる」
アメリカで進む利上げの行方のほか、黒田総裁に代わって新体制がスタートする日銀で、金利を低く抑えていた方針が変更されるかが焦点だ。格言通り、景気も株価も跳ねるのかが注目される。

値上げが「賃金上昇」につながるまであと少し…株価も景気も跳ねるか?

「Live News α」では、市場の分析に詳しい、経済アナリストの馬渕磨理子(まぶち・まりこ)さんに話を聞いた。

海老原優香 キャスター:
年明けの株価は下落からスタートしましたが、2023年の株式市場をどのように見通していますか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
結論から述べますと、 2023年前半はアメリカの利上げに加えて世界経済の減速などが影響して、厳しい相場展開が予想されます。しかし2023年の後半にかけては、 底堅く推移すると見ています。

2023年はうさぎ年ですが、株式市場の格言では、うさぎ年は「跳ねる年」と言われています。これを単なる格言として片付けることも出来ないように思います。

2023年の日本経済は「内」と「外」に「跳ねる」材料があり、株式市場も3万円台の回復が期待できます。

海老原優香 キャスター:
株価が「跳ねる」材料があるということですが、具体的にはどういったものがあるのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
まず「外」に目を向けると、アメリカの金融政策の転換です。
2023年の後半に入ると、アメリカは、インフレ退治のための「利上げ」から、景気を下支えするための「利下げ」議論のスタートが予測されています。これは日米の株価にポジティブな影響を与えます。

アメリカの大統領選挙の前年は株価は上がるというデータがあります。これは選挙対策として、 何としても景気を盛り上げておく必要があるためです。
そのため、2023年の後半に景気にブレーキをかけるような利上げは、停止する可能性が高いです。アメリカの株が高ければ、日本株も上昇しやすい。つまり2023年の後半にかけて、株高になるということです。

こうした金融政策の転換は、日米の金利差縮小に繋がり、為替水準にも影響を及ぼします。輸出企業に追い風となる「いい円安」が続けば、株価を上げる「内」の材料につながります

海老原優香 キャスター:
「いい円安」とは、どのくらいの為替水準になるのでしょうか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
1ドル130~120円台であれば、十分に円安です。資源高などの悪影響を加味しても、輸出企業の業績に大きく寄与します。
OECD・経済協力開発機構が発表した2023年の経済成長率は、今のところアメリカやヨーロッパが厳しいのに対して、日本はプラス成長の予測を出しています。

このプラス成長の原動力となっているのが、円安と金融緩和ですね。
去年は日本でもエネルギーや穀物高によって多くの企業が値上げを余儀なくされましたが、その値上げが「賃金上昇」に繋がるところまで、あともう少しです。

日銀の金融政策の転換による過度な引き締め策で、円高にふれるようなことがあれば、日本経済へのダメージは大きくなります。今のタイミングで経済を冷やす政策を取ってはならないと思います。

海老原優香 キャスター:
景気も株価も跳ねるとしたら、 そのぴょんと跳ねた勢いで 働く人の賃金もしっかりと跳ねたらいいなと思います。 

(「Live News α」2023年1月4日放送分より)