江戸時代から続く伝統行事「仙台初売り」が、2023年も盛大に行われた。コロナ禍前のにぎわいが戻りつつある中、家電量販店の初売りに密着した。

伝統の仙台初売り 早朝から長蛇の列

記者リポート:
1月2日午前6時です。開店前ですが、アーケードの中には多くの人の長い列が入り口近くまでできています

毎年1月2日から始まる伝統の「仙台初売り」。仙台市中心部には2023年も早朝から長蛇の列ができていた。

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男の子:
寒くて眠いです

お母さん:
仙台市民として文化なので経験させてあげたいなと思って頑張ってきました

お茶の井ヶ田 新年あいさつ:
今年はうさぎ年です。みんなでぴょんぴょん飛び跳ねて素晴らしい一年にしてまいりましょう

早朝から並ぶ目的。それは…。

買い物客:
わぁ!お菓子入ってたよ!

買い物客へ渡される豪華な景品。過度な景品を規制している公正取引委員会も、地域に伝わる商習慣として景品額の上限を緩和する特例を1977年に制定。当時、景品額の上限は取引価格の1割までと景品表示法で定められていましたが、旧仙台藩領だけは正月三が日に限り、2割までの景品が認められていました。2007年に全国一律で上限が2割に引き上げられましたが、現在も旧仙台藩は正月三が日に限り、500円以下の景品を提供する場合はこの2割を超えても問題がないという特例が残っていて、独自の初売り文化を継承しています。

全国でも例のない特別な初売り。その歴史は少なくとも200年以上続いている。

江戸時代から続く商習慣

江戸時代後期の書物に記された「仙台年中行事大意」。この本には「正月2日の午前2時には買い物客が街の中に出てきていた」と記載が。さらに…。

仙台市歴史民俗資料館 渡辺直登 学芸員:
「コノヒシュウジツ アタイノ コウゲニヨラズ」なので、この日は一日中、値段の高い低いは関係なく、買ってくれた人に「ケイブツ=景品」を出すというのが習わしだと書いているんですよね

当時の景品の内容など不明な点は多いが、豪華な景品が特徴の「仙台初売り」がすでに文化として定着していたことは間違いないという。

一方で、継承には紆余曲折もあった。犬型ロボット「AIBO」がヒットした1999年。「仙台初売り」は1月2日とされる中、大型店が元日に「初売り」を実施。元日営業の自粛を求める地元商店街と県外資本の大型店が対立し、足掛け3年もの話し合いが行われた。
結果、宮城県内では元日に「初売り」の名称を避け、「仙台初売り」はこれまで通り2日からということに落ち着いた。

仙台初売り 家電量販店に密着

2022年、仙台市太白区にオープンした家電量販店。2日午前6時、すでに50人の行列ができていた。

先頭から2番目に並んでいた大学生の千葉さん。お目当てはスマートウォッチ。厳しい寒さの中、おばあちゃんが作ってくれたおしるこを手に開店を待つ。

千葉一稀さん:
だいぶ助かっています

店内でも準備が進んでいました。2023年初めて「仙台初売り」に参加するこの店。スタッフは普段の6倍以上、300人体制で臨んだ。

「山積みの準備などは社員の方でお願いします。本日も一日よろしくお願いします」

記者リポート:
午前8時の開店まで1時間を切ったところです。店の前にはお客さんが長い列を作り開店を待ちわびています

開店直前、行列は200人以上になっていた。

「初売りオープン、5秒前、4、3、2、1、オープンします」

開店直後から店内は大にぎわいに。並んでいた千葉さんも…。

記者:
お目当ての商品は買えた?

千葉一稀さん:
買えました

無事、ほしかった商品を購入できた。家電から家具まで扱うこの店。初売りでは、通常価格の2割から5割ほど安く販売し、2日の売り上げは普段の土日の5倍にのぼったという。

買い物客:
半額くらいで買えました。お買い得に買えたので、そういう面でも良い1年になるかなと

ヤマダデンキ Tecc LIFE SELECT 仙台あすと長町店 横串暢剛 店長:
初売りは価格・品ぞろえ、サービスをお伝えできれば。こちらとしても盛り上がっています

時代の変化に合わせて受け継がれる仙台の初売り文化。今後はどのようになっていくのか。

(仙台放送)

仙台放送
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