政府は、フロッピーディスクでの申請など、デジタル社会にそぐわない「アナログ規制」約1万項目の見直しを決めた。

「2年間でアナログ規制を一掃」 薬剤師は“オンライン説明可”に

21日岸田首相は、デジタル臨時行政調査会で、「2024年6月までの2年間で、アナログ規制を一掃いたします」と述べた。

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見直しの対象は、フロッピーディスクでの申請を指定する法令など、約1万項目だ。
規制の見直しによって、2023年1月からは、コンビニのセルフレジでマイナンバーカードを示せば、酒やたばこを購入できるようになる。

また、薬局が副作用リスクの高い医薬品を販売する際には、薬剤師の対面を義務付けていたが、オンラインでの説明で販売できるようになる。

政府は「アナログ規制」を一掃することで、人手不足の解消や生産性の向上などを目指している。

「デジタライゼーション」見据え取り組み 人の作業とのすみ分けで力発揮

「Live News α」では、暮らしを変えるテクノロジーに詳しい、IoT / AIの専門メディア「IoT NEWS」代表の小泉耕二(こいずみ こうじ)さんに話を聞いた。

三田友梨佳 キャスター:
行政の作業を見直して、アナログからデジタルへと代わろうとしていますが、どうご覧になりますか?

IoT NEWS 代表・小泉耕二さん:
本格的なデジタル化への道筋が見える工程表が出てきてよかったなと思いました。
今回、多くの取り組みについてステップがあり、まずは「デジタル化」を行い、その後「デジタライゼーション」を行うというイメージがされています。
発表のあった工程の中で、「なんでもデジタル」で解決するのではなく、「人がやる方が良いことは人がやる」という整理がされているのも素晴らしいと思いました。

三田友梨佳 キャスター:
「デジタル化」の先に、「デジタライゼーション」があるということですが、このステップにはどんな違いがあるのでしょうか?

IoT NEWS 代表・小泉耕二さん:
例えばダムなどの社会インフラは、安全を人がチェックする、「目視」による定期点検が欠かせません。しかし、わざわざ人が目視のためにダムに登らなくても、ドローンを飛ばして撮影することで映像を使った「目視」は可能になります。これが作業の「デジタル化」です。作業の手順は変えず、人の手間を減らし、無駄をなくすことが可能になります。

でもよく考えてみると、ドローンの映像があるなら、点検業務もAIが代替することが可能です。
これまで山奥のダムの点検は月に1回しか行けなかったけど、ドローンとAIであれば頻繁に点検できるようになるかもしれないし、一部の作業は誰でもできるようになるかもしれません。これで、よりダムの安全が担保される訳です。

つまり、ドローンとAIがある前提で、点検業務自体を「再定義」する。これが、「デジタライゼーション」です。

三田友梨佳 キャスター:
段階を踏んでいくことで、よりデジタルのチカラが発揮される訳ですね。

IoT NEWS 代表・小泉耕二さん:
作業の一部をデジタル技術に置き換えるだけでなく、AIによる自動化や無人化、ビッグデータ分析などを行うことで、デジタルを中心にアナログ作業を再定義する。

さらに、人でないと出来ない分野に関しては人がやる、というすみ分けが出来れば、デジタルの力が最大限に発揮され、人不足に悩む現代社会でももっと快適なくらしが実現されるのではないかと思います。

三田友梨佳 キャスター:
慣れているとはいえ、見直すべき古い非効率な習慣というのはまだまだたくさんあるのかもしれません。良いところは残しつつ、変わるべきところは変えていかないと進んでいかないと思います。今回の見直しも、早期の実行を期待したいと思います。

(「Live News α」2022年12月21日放送分より)

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