あなたの帰る場所はどこですか?東京出身の若手映像クリエーターが選んだのは福島県川俣町だった。自ら制作したドキュメンタリーで、何気ない日常を描き、町の魅力を伝えている。

町民の人間性に惹かれて

福島・川俣町在住の若手映像クリエーター佐原孝兵さん(27)は、町の伝統産業の魅力をYouTubeなどを通じて発信する活動を重ねている。

福島・川俣町の魅力を映像で
福島・川俣町の魅力を映像で
この記事の画像(13枚)

東京の映像制作会社で働いていた佐原さんは、地域おこし協力隊の募集をきっかけに川俣町を訪問。自然の美しさや伝統産業に携わる人の姿に心を動かされ、2022年5月から町で暮らすことを選んだ。

2022年5月 福島・川俣町に移住
2022年5月 福島・川俣町に移住

佐原孝兵さん:
なんかすごいイキイキされている方が多くて。最初それを思って、まず人間性を伝えたいなと

佐原孝兵さん
佐原孝兵さん

戻れない人へ故郷を伝える

2022年10月下旬。動画制作のため、訪ねたのは山木屋地区の農家・大内孝雄さん。
山木屋地区の避難指示は2017年3月に解除されたが、戻ってきた住民は330人と震災前の3割弱にとどまっている。

川俣町山木屋地区に戻ったのは3割弱
川俣町山木屋地区に戻ったのは3割弱

その中でも、大内さんは震災前に地区の特産だったソバを復活させようと、2020年から栽培に乗り出し、作付け面積を拡大させてきた。

特産のソバ復活へ
特産のソバ復活へ

佐原さんはそんな大内さんの姿を取材し映像にすることで、山木屋の“いま”を故郷に戻れていない住民など1人でも多くの人に届けたいと考えている。

戻れない人に伝えたい
戻れない人に伝えたい

農家・大内孝雄さん:
(移住してきた人に)見た感じをそのまま伝えてもらえれば、特別な地区でなく普通に生活しているなかでも、やっぱりこういういいところがあるとかPRしてもらえるのは大変ありがたいです

農家・大内孝雄さん
農家・大内孝雄さん

佐原孝兵さん:
今いる場所も、出て行ってしまった川俣町も。その人にとっては、帰れる場所は一つじゃないよっていう。そういうことを感じてほしいなとは思ってます

佐原孝兵さん
佐原孝兵さん

帰れる場所はひとつじゃない

これまでに自ら制作しYouTubeに公開した動画は5本。そのタイトルは、すべて「帰れる場所はひとつじゃない」

佐原さんが制作した動画
佐原さんが制作した動画

川俣町は地元出身でもそうでなくても、誰にとってもいつでも気軽に訪れて“帰れる場所”になれる。そんな思いから、町の何気ない日常の魅力を発信することを意識し動画を制作している。

川俣町は誰でも帰れる場所
川俣町は誰でも帰れる場所

それは移住前から抱いていた「人のあたたかみを表現する作品を作る」という夢を実現させる仕事になっている。

佐原孝兵さん:
町民の人、上京したりどこか離れていってしまうけれども、帰ってきたい思える場所というか、僕もそう感じつつあるので、ここは故郷としてというか帰ってこられる場所として暮らしていきたいですね

佐原孝兵さん
佐原孝兵さん

(福島テレビ)