新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを、今の「2類相当」から「5類」に引き下げるのか。この議論が本格化している。

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感染症は危険度の違いによって、1類から5類までの5段階に分類される。新型コロナは2番目に危険度が高い、2類相当となっている。

1類 エボラ出血熱、ペスト
2類 結核、SARS
3類 コレラ、腸チフス
4類 黄熱、狂犬病
5類 季節性インフルエンザ

2類相当は、国や都道府県の知事に強い権限が与えられており、緊急事態宣言のほか、入院勧告や就業制限などの行動制限を出せる。
その代わり、医療費は全額で国の負担となり、患者の個人負担はない。

5類に引き下げられた場合は、行動制限などの措置はとれず、医療費も一部で自己負担が必要となる。
一方で、医療現場の負担が少なくなったり、経済活動の活性化にもつながるなど、メリットも多いとされている。

宮司愛海キャスター:
それらに加え、第6波(2月)以降は重症化リスクや致死率が大きく下がっていることもあり、政府は5類への引き下げを検討しているのです

専門家「インフルエンザと同等の判断できない」

実際に引き下げても大丈夫なのか。12月14日に専門家が行った議論では、厳しい意見が出た。

それは「インフルエンザと同等とは判断できない」というもの。理由として上がったのは、インフルエンザを上回る感染力、そして変異の可能性だ。

専門家からは、新型コロナは「インフルエンザとは大きく異なる」「感染症で5類になるにはかなりの時間がかかる」という見解が示された。

榎並大二郎キャスター:
私もコロナの後遺症について継続的に取材してますけど、あの状況、特有の倦怠感などを見ると、インフルエンザとは別物、まだ実態はつかめていないように思います

宮司愛海キャスター:
そうですね。わかっていないことも多いのが現状です

5類に近い“新しい類型”の提案も

新型コロナの分類については、こんな意見もある。

東京都医師会の尾﨑会長は12月13日、5類にいきなりするのは現状では難しく、5類に近い新しい類型にする方がいいのではないか。現在の5類にそのまま当てはめるのではなく、新型コロナの特徴に合わせた、新たな類型に見直すことが望ましいとの考えを示した。

宮司愛海キャスター:
こうした意見もあるのですけれども、柳澤さんは今後のコロナの位置づけはどうお考えですか。

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
尾﨑さんと同じ考えですね。2類相当か5類かの議論はあまり意味がないと思うのです。新しいウイルスですから。感染力はどうなのか、変異はどうなのか。それと榎並さんがおっしゃっていた後遺症の話。それから医療費、公費負担を自己負担にしたときの話を考えると、新型コロナという新しいウイルスに特化した分類をしていくのが、筋じゃないかなと思います

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏:
もともとある感染症法上の類型の中に当てはめようとすること自体が、僕は無理だと思うのです。柔軟な発想で類型を変えた方がいいと思いますね

宮司愛海キャスター:
いずれにしても、変異などで脅威が高まれば、それに対応できる形にスピーディーに整えることを可能にしてほしいと思います

(「イット!」12月15日放送より)