史上最年少で尺八の師範に合格し、全国大会で優勝を果たした女子高生がいる。
その快挙の裏には、尺八の師匠だった祖父を超えたいという一心で、祖父とともに耐えてきた厳しい練習があった。

史上最年少!高校1年生の“尺八の師範”

尺八は、竹の根元に近い部分を使って作られている、日本の木管楽器の一つ。その尺八で美しい音色を響かせているのは、長崎・諫早市に住む澤本悦心花さん、15歳(※2022年11月取材当時)。

この記事の画像(11枚)

澤本悦心花さん:
尺八の魅力は、いろんな表現が楽器一本でできるところですかね。尺八は、いろんな曲を一本で表現しないといけないので、風景に合わせて、いろんな音を出しています

澤本さんはまだ高校1年生ながらも特別な肩書きを持っている。

澤本悦心花さん:
尺八の師範に合格しました!

澤本さんは2022年6月、長年の目標だった新都山流尺八の師範に合格。新都山流尺八の師範に高校生で合格するのは史上初めてのこと。
さらに、10月に京都で行われた全国コンクールの師範の部では史上最年少優勝を果たした。

澤本悦心花さん:
最初、練習の時は、みなさんうまいので負けるんじゃないかと思っていた。優勝してから演奏している時は自分にとっては0点の演奏をしていたので、まぐれだなと

新都山流尺八 長崎支部の森澤倖山さんに、澤本さんの尺八の特徴と強みを聞くと…。

森澤倖山さん:
音階がきちんと表現できていて半音を出すときの穴をふさぐ技術が高いこと。また、女性特有の柔らかい唇で響きのある優しい音が出せること。さらには全国大会など大舞台でも力が発揮できる度胸があること

目標は「師範である祖父を超える」こと

澤本さんの原点は、長崎・諫早市にある。もっぱら練習場所は尺八の師範で元師匠の祖父・澤本英幸さんが営むヘアーサロンだった。

澤本さんは、礼儀作法の教育の一環として小学5年生から尺八を始め、英幸さんと二人三脚で厳しい練習を積んできた。
そして、尺八を習い始めて3年目の中学1年生の時には首席で准師範に合格した。

澤本悦心花さん(当時中学1年生):
(おじいちゃんを)超えられるようにする。

祖父・澤本英幸さん:
来年は超されるかな

「祖父を超える」ことを目標にしてきた澤本さん。日々の練習に加え、祖父との信頼関係が「日本一」の結果につながった。

澤本悦心花さん:
自分のことをとてもわかってくれる存在なので、何かあったときは一番頼りになる存在

祖父・澤本英幸さん:
いくら怒ってもくじけなかった。それでずっと私についてきた。これは偉い

普段はクラスのまとめ役 澤本さんの今後の目標は…

普段は諫早商業高校に通う高校生で、好きな科目は「簿記」。友達からの信頼も厚く、副学級委員長を務めていてクラスのまとめ役として欠かせない存在だ。

クラスメート・井上初音さん:
このままでもパーフェクトヒューマンなので、そのままでいてもらって。いつも明るくいてもらえれば。同じ学年で同じクラスに日本一がいるというのはすごい、かっこいいなと思います

これまで、尺八の世界で数々の快挙を成し遂げてきた澤本さん。動画投稿サイト「YouTube」にも尺八の動画をアップするなど、その魅力を多くの人に伝えようと、精力的に活動している。

指導を続けてきた英幸さんも「自慢の孫」と評価する一方、苦手な低音を磨き「もっと高みを目指して欲しい」と、今後の活躍に期待している。

祖父・澤本英幸さん:
今は抜かれましたけど、こいつに負けましたけど。今プロで活躍している人みたいな音色を出してほしい。

澤本悦心花さん:
(祖父は)一番自分をしかってくれる人なので、ここで超えたと思っていたら、またうぬぼれる状態で下がっていく一方なので、超えたと思うのではなくて、まだまだ勉強、超えてないと思う

師範まで上り詰めた澤本さんの今の「目標」は…

澤本悦心花さん:
わたしの目標は、尺八のプロになることです。厳しい世界だけど、頑張って自分の世界を見つけながら、自分の演奏を世界中の人に聞いてもらいたい

世界で活躍するプロ奏者を目指す澤本悦心花さん。尺八界の若きホープのこれからに注目だ。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
テレビ長崎

長崎の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。