競泳ジャパンオープンで優勝し、2022年の大会を締めくくったバタフライ日本代表の水沼尚輝選手。今年は世界水泳で銀メダルに輝くなど飛躍の年となった。そんな進化を続ける水沼選手に迫る。

東京オリンピック出場も決勝に進めず

12月4日に行われたジャパンオープン。新潟医療福祉大学職員の水沼尚輝選手は後半に強さを見せ、今年の大会を優勝で締めくくった。そんな水沼選手の転機となった大会が…

新潟医療福祉大学 職員 水沼尚輝 選手:
東京オリンピックで、外国人選手とすごい差が生まれてしまって

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2021年夏の東京オリンピック。国内では負けなかった水沼選手だったが、初めてのオリンピックでは上位8人の決勝に進むことができなかった。

水沼尚輝 選手:
オリンピックのときは、どちらかというと自分自身に意識を集中しすぎていた部分が多くて、オリンピックという大きな試合になったときに、周りの雰囲気に惑わされ気味になっていた

新潟医療福祉大学 下山好充 監督:
世界と戦うためには、世界をちゃんと知らなければいけない

ターンを改善し世界水泳で銀メダル獲得!

オリンピック後に意識したのは“世界基準”に戦いのフィールドを移すこと。そのうえでポイントに挙げたのが「レース後半のスピード」だった。

水沼尚輝 選手:
どこを短縮したら勝てるのか考えたときに、「ターンイン・ターンアウトがキーになってくる」と、下山監督と話した

新潟医療福祉大学 下山好充 監督:
五輪でターンの後の15mで一気に離されていた

東京オリンピックの準決勝、隣のレーンを泳いでいたオーストラリアの選手とほぼ同じタイミングでターンに入った。しかし、その後の浮き上がりは体半分ほど遅れ、約0.3秒のロス。ここからターンに改善の余地があると分析し、ターン後のドルフィンキックのタイミングを早めることを意識してきた。

水沼尚輝 選手:
ターンし終わった後に、しっかりと自分の強みであるドルフィンキックを使って、その初速を泳ぎにつなげる技術というのを今、徹底的に練習している

この効果がさっそく出たのが、3月の国内レース。水沼選手は前半3番手で折り返すと、練習してきた後半に追い上げを見せ、これまで誰も破れなかった51秒の壁を突破。当時、日本新記録となる50秒86をマークした。

そして、6月の世界水泳では日本新記録を更新。この種目、日本初となる銀メダルを獲得した。

水沼尚輝 選手:
あのときの感情もそうだが、僕を取り巻く環境にいた方々がすごく喜んでくれたのは、僕にとって感慨深いものになった

「周りの雰囲気に溶け込む」 精神面にも変化

世界基準への取り組みは精神面でも…

水沼尚輝 選手:
意識を周りに向けて、周りの雰囲気に上手に溶け込むというメンタリティーを持っていたので、それが今回の世界水泳で結果を残す大きなトリガーになった

世界水泳に向けて初めて長期の海外遠征に参加。外国人選手とのコミュニケーションを大切にした。

新潟医療福祉大学 下山好充 監督:
世界水泳では優勝したミラーク選手ともプールサイドで挨拶したり、他の決勝に残ってくる選手とほとんど知り合いになれていた。自分のフィールドになっていた

「世界と戦うために世界を知る」このマインドの変化が技術面・精神面を大きく成長させていた。進化を続ける25歳。2年後のパリオリンピックに向けては…

水沼尚輝 選手:
50秒39というアジア記録を目指している。メダルというのを口にしたいと思ってはいるが、僕がそれをやると意識がメダルのほうに行き過ぎてしまうので、あえてそこは言わずに「50秒39を僕は出す」と、この気持ちを持ってパリオリンピックに向かっていきたい

リベンジのオリンピックを目指し、コンマ1秒にかける緻密な戦いは続く。

(NST新潟総合テレビ)

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