ネコ科の動物ではもっとも古い種で「世界最古の猫」ともいわれる“マヌルネコ”。もふもふな体型につぶらな瞳の愛らしい容貌は多くの人を魅了している。

このマヌルネコに関して、飼育する「那須どうぶつ王国」(栃木県)の公式Twitterアカウント(@nakprstaff)が“覚えておいてもらいたい”ことを投稿した。それがこちら。

マヌルネコの写真をSNSにあげると「触りたい」という声をよく聞きますが、
かわいい見た目とは裏腹にどう猛な性格をしているので担当飼育員でも直接触ることはできません。
もちろん家庭で飼うこともできません。
そのことを覚えておいてもらえると嬉しいです。

その可愛らしい姿から、頭や喉などをなでてゴロゴロさせてあげたいと思ってしまいそうだ。しかし、飼育員でも触ることができないほど、どう猛だというのだ。

かわいい見た目だけども…(提供:那須どうぶつ王国)
かわいい見た目だけども…(提供:那須どうぶつ王国)
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見た目で忘れられがちだが、マヌルネコが“野生の猫”であることを改めて伝える今回の投稿には、「こんなに撫でたくなるフォルムなのに…」「うう…やはり野生の獣なんですね…」との声が寄せられており、多くの人ががっかりしていた。

中には「モフモフを拝見できるだけで満足です」「妄想で我慢します」 などのコメントもあり、2万5000のいいねが付くほど注目されている(12月7日時点)。

ちなみに「那須どうぶつ王国」は、過去には「マヌルネコのうた」というミュージックビデオを製作している。その内容が「中毒性が高い」などと話題になり、編集部でも取材している。

(参考記事:那須どうぶつ王国の「マヌルネコのうた」がクセになる! “マヌる”人続出の希少動物の魅力を聞いた

かまれたら軽いケガではすまない…

飼育員も触れる事ができないとなると相当などう猛さだと思うが、どのような際に感じるのだろうか?

3頭を飼育する那須どうぶつ王国のマヌルネコ担当・二川原美帆さんに話を聞いてみた。


ーーなぜ「マヌルネコの覚えておいてもらいたいこと」を投稿したの?

触れられないことをわかっている方もたくさんいるのですが、SNS上や現場でも「かわいい」「触りたい」という声が多いので、まだ知らない方に向けて発信したく思い、投稿しました。


ーー「触りたい」といった声が多いことに対しては、どう思っている?

触りたい気持ちは分かるので、そう思うのは仕方ないのですが、その声が多くなると密猟などにつながってしまうので、心の中にとどめておいていただければと思います。

触りたくなるモフモフなマヌルネコ(提供:那須どうぶつ王国)
触りたくなるモフモフなマヌルネコ(提供:那須どうぶつ王国)

ーー触ろうとしたらマヌルネコはどんな反応をしてくるの?

おそらく威嚇し、かんだり、ひっかいたりします。マヌルネコに限らず野生のネコ科動物のツメ・キバはイエネコのツメよりも硬く、鋭利で、体の筋肉量も多いです。そのため、鹿の肋骨や鶏の頭程度でしたらかみ砕くことができます。


ーーどのような時にどう猛だと感じる?

人工保育していた個体でも、成長するにつれて、人に対して威嚇をしてきた時や、獣舎で人が近づくと威嚇してきて、手を出してくることもあると、そう思います。

また、鹿骨をかじる様子を見ると、小さいのにアゴの力が強く、あれでかまれたら軽いケガではすまないと感じます。

鋭い牙を持っている(提供:那須どうぶつ王国)
鋭い牙を持っている(提供:那須どうぶつ王国)

飼育員も、触ってみたいと同時に怖いので触りたくない

ーー飼育員でも「触りたい」といった気持ちはあるの?

その他の触れない動物も含め、毛の感じが気になるので、触ってみたいと思ったことはあります。なので、触りたい気持ちはよく分かります。ですが同時に、怖いので触りたくないとも思います。

怖いので触りたくない気持ちも…(提供:那須どうぶつ王国)
怖いので触りたくない気持ちも…(提供:那須どうぶつ王国)

ーー実際に触れた事はある?

人工保育をしていた時は触れていました(しかし、人工保育でも成熟したタイミングで間接飼育に切り替えます)。その時の感触としましては、他の動物では例えられないのですが、フワフワで柔らかい毛でした。

人工保育時に触ったらフワフワの毛だったそう(提供:那須どうぶつ王国)
人工保育時に触ったらフワフワの毛だったそう(提供:那須どうぶつ王国)

ーー触れないのであれば、どのように飼育しているの?

給餌はトングを使って柵越しに与えて、掃除は動物を隣の獣舎に移動して、動物がいない状態でしております。また、エサを食べている時に口の中を見たり、展示の動きで歩行チェックをしたりなど、健康管理は毎日、目視でしっかりとチェックしております。


ーー投稿が話題となったが?

これをきっかけにマヌルネコに興味を持ってもらい、野生下での生息数の減少などの現状を知ってもらいたいです。また、そこから保護活動などにも目を向けてもらえると嬉しいです。

ちなみに、飼育員いわくマヌルネコのかわいいと思う瞬間は「冬毛になってまん丸の見た目になった時」だそう。

今の時期ちょうどオススメの可愛らしいマヌルネコを見ることができるので、訪れてみるのはどうだろうか。その際には、可愛らしさだけでなく、牙や爪など肉食獣なのだという部分もしっかりと見てほしい。

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プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。