ジェンダー平等などを目指す政府主催の国際女性会議「WAW!」が3日、東京都内で開催。
日本がG7(主要7カ国)で最も大きい「男女間の賃金格差」をテーマにした分科会では、解決策などを巡って、官民をまたぐ様々な立場から活発に意見が交わされた。
「WAW!」はジェンダー平等の実現などを目指し、2014年に始まった国際会議で、新型コロナによる3年の中断を挟み、今回が6回目の開催。岸田首相が出席した開会式に続き、テーマごとの分科会が行われた。
「男女間の賃金格差の是正」をテーマとした分科会では、パネリストとして民間企業の経営者や男女共同参画に取り組んできた内閣府の官僚など9人が参加。格差が生じる原因や解決策について、それぞれの立場で意見を表明した。
G7首脳会議に若者としての政策提言を行う「Y7」に所属する沖山七海氏は、「将来、会社を背負っていくような女性の採用比率をあげることが大事」と指摘。
さらに「男女賃金格差は見えにくい」として、格差を認識することが解決に向けて重要との考えを述べた。
全国で保育施設や介護サービスなどの事業を展開している「ポピンズ」代表取締役社長の轟麻衣子氏が指摘したのは、「働くことに対するサービスの不足」。
轟氏は、「子育てや介護をしながら働くための多様な選択肢があれば、家族に心理的安全性を確保できるのではないか」と述べた。
日本の賃金格差は22.1%とG7の中で最下位。フルタイム労働者において、大学卒の女性の年収は、高卒の男性の年収とほぼ同水準とされている。
一方、「年収を上げようとして働くと“働き損”が起こる」という問題に言及したのは、野村総合研究所の武田佳奈氏。
税金や社会保険料の負担を避けるため、就業日数や時間を一定までに抑える、いわゆる「年収の壁」の問題だ。
武田氏は、「『損をしないならもっと働きたい』と答えた人が対象者の8割。制度改善すべきでは」と指摘した。
分科会に政府側から参加したのは、内閣府の経済社会総合研究所・林伴子次長(前男女共同参画局長)だ。
「年収の壁」を巡り、林氏は、「30代では夫の所得が高いほど専業主婦が多く、所得の高い層ほど配偶者控除の恩恵を受けている。就業調整の額や配偶者控除などは見直す時期にきているのではないか」と述べた。
さらに、「個人的には、事業主の行動計画に格差是正を義務づけることは、是正に結びつく仕組みの一つとして考えられる」としたほか、一部の国で採用されている「企業が格差がないことを証明するために監査を行う制度」を「導入するのも重要な視点だと思う」と述べた。