厳しすぎる“ゼロコロナ政策”に、中国市民の不満が爆発している。公然と習近平国家主席に退陣を求める、前代未聞の事態となっているのだ。

異例「習近平は退陣を!」不満爆発…警察が市民を殴り外国人記者を拘束も 

上海の街中では、“これまで見た事がないような光景”が繰り広げられていた。

“異例”のデモが行われていた上海市内
“異例”のデモが行われていた上海市内
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「共産党は退陣せよ! 共産党は退陣せよ! 習近平は退陣せよ!習近平は退陣せよ!」

中国のゼロコロナ政策に不満を持つ大勢の市民が、公然と習近平国家主席に退陣を要求。その訴えを制圧しようと、警察が市民を取り押さえる事態に発展した。

「警察が市民を殴ったぞ!」

一番左にいる警察官はカメラの前で、拳で市民の腹を殴った
一番左にいる警察官はカメラの前で、拳で市民の腹を殴った

カメラの目の前で市民の腹を殴り、“暴行”を加える警察当局。
そしてその“矛先”は、取材中の記者たちにも向かった。警察官が「逃げるな!走るな!」と叫びながら記者を追いかける。外国人記者までも、拘束される事態になった。

英・BBCの記者が一時拘束された
英・BBCの記者が一時拘束された

そして、群衆の怒りは首都・北京にも及んでいた。

デモ参加者:
私はやっぱり自由が欲しいんです。

白い紙を持ち、北京で表現の自由を訴える市民ら
白い紙を持ち、北京で表現の自由を訴える市民ら

習主席が長期政権を固めた中国で、なぜ“異例中の異例“の抗議デモが起きたのか。
そもそものきっかけは、一向に緩むことのない“ゼロコロナ”政策だった。
中国各地では、いまだに事実上の“ロックダウン”が続き、ゴーストタウンのような街並みになっている場所も見られる。

それでも中国ではいま感染拡大が止まらず、1日当たりの新規感染者数が、11月27日に初めて4万人を突破した。

ウルムチの火災で“ゼロコロナ政策”への不満がさらに大きく

厳しい行動制限により溜まっていく、国民の不満と怒り。それをさらに大きくさせる事態が起こった。

新疆ウイグル自治区の中心都市・ウルムチで起こった火災。多数の犠牲者が出た(11月24日)
新疆ウイグル自治区の中心都市・ウルムチで起こった火災。多数の犠牲者が出た(11月24日)

それは、24日に新疆(しんきょう)ウイグル自治区の中心都市・ウルムチで起こった火災だ。
多数の犠牲者が出たこの火災は、コロナ対策が影響して、消火や救助に遅れがでたのではないかという指摘がある。
これを受け、“ウルムチ”の名がついた上海市内の通りでは、追悼集会が行われた。そしてこの集会がやがて、中国政府のコロナ政策を批判するデモへと発展したのだ。

「PCR検査はいらない!自由が欲しい!」

“検査の代わりに自由を”というコールに加え、国歌を歌うことで政府への不満を訴える市民たち。

北京で白い紙を手に、デモに参加する市民ら
北京で白い紙を手に、デモに参加する市民ら

「中華民族に迫り来る最大の危機 みんなで危急の雄叫びをあげろ」

「白い紙」で表現の自由を訴え…過熱する市民 vs 警察

さらに、注目すべき行動が見られた。

粟村文彦 記者:
白い紙が空中を舞っています

北京で白い紙を手に、デモに参加する市民ら
北京で白い紙を手に、デモに参加する市民ら

デモの参加者達が掲げていたのは、白い紙。これは表現の自由を意味しているという。
そして市民の怒りはついに、習近平主席や共産党を名指しした退陣要求へと発展した。

「共産党は退陣せよ! 共産党は退陣せよ! 習近平は退陣せよ!習近平は退陣せよ!」

デモ参加者と警察が激しい衝突をする場面も
デモ参加者と警察が激しい衝突をする場面も

こうした事態の収拾をはかろうと、警察がデモ参加者を拘束しようとする様子もみられ、これがさらに市民の怒りを爆発させた。

「釈放しろ!釈放しろ!」

デモ参加者と警察が激しい衝突をする場面も
デモ参加者と警察が激しい衝突をする場面も

市民:
この恥知らずが!

警察:
黙れ!おまえの顔覚えたからな

市民:
だったら何だ?俺を逮捕するのか?

映像を見ると、警察当局は市民を拘束する際、腹を殴りつけるなどの暴行も加えている。

デモ参加者の腹を、拳で殴る警察官
デモ参加者の腹を、拳で殴る警察官

市民:
警察が市民を殴ったぞ!

警察:
撮るな!撮るな!

当局はやがて、取材を続けていた海外メディアの記者にも矛先を向けた。

逃げる海外メディアの記者を、警察が追いかけている
逃げる海外メディアの記者を、警察が追いかけている

「逃げるな!走るな!」

記者らを追いかける警察当局。この騒動で、イギリスBBCの記者も一時拘束された。

拘束される英BBCの記者(後に釈放)
拘束される英BBCの記者(後に釈放)

英 BBC記者(英語で):
すぐに領事館に連絡してくれ

記者は数時間後に釈放されたが、BBCが抗議声明を出す事態となった。
市民の怒りのうねりは、上海にとどまらない。首都・北京でも…

河村忠徳 記者:
私の後ろで今、デモが行われているんですが、多くの警察官が見張っているような状況になっています

デモ参加者やリポートするフジテレビ記者を監視するかのように取り囲む、警察当局
デモ参加者やリポートするフジテレビ記者を監視するかのように取り囲む、警察当局

「マスクいらない!自由が欲しい!」

北京のデモでは、市民がさらに激しい言葉で、政府や警察を責め立てていた。

(警察に対して)
「あなたたちは独裁者の犬だ!あなたたちは悪い人たちの手先となり、悪いことをやっている」「(拘束された)上海の人を釈放しろ! “第二次文化大革命”をやめろ!」

FNNは、北京市内のデモに参加した市民に話を聞く事ができた。

ーー北京でデモするのは怖くない?
みんなが集まれば怖くない。私はやっぱり自由が欲しいんです。普通の生活が欲しいんです。

金主席の出身校や東京・新宿でも抗議の声

デモは習主席の出身校である、「清華(せいか)大学」でも発生。
一方、日本の東京・新宿でも、100人以上の在日中国人らが集まり声を上げていた。

東京・新宿でも…(27日 ジャーナリスト・安田峰俊さん撮影)
東京・新宿でも…(27日 ジャーナリスト・安田峰俊さん撮影)

「共産党を退陣せよ!習近平 退陣せよ!」
「中国権益は中国人民のものだ!でも今は誰のものだ?共産党のものだ 習近平のものだ!」

厳しい“ゼロコロナ政策”が、市民による異例の習近平批判へとつながった、今回の事態。
この怒りに政府はどう応えるのか。緊張が高まっている。

(「イット!」2022年11月28日放送分より)

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