コロナ禍で、採用試験にウェブテストを導入する企業が増える中、“替え玉受験“を請け負ったとして男が逮捕された事件。

企業や会場まで足を運ばずに受けられるウェブテストは、学生側にも採用側にも双方にメリットもある中、不正防止対策はどのように行われているのか。

ウェブテストを企業に提供する、ヒューマネージの戸倉大輔さんに現状と対策を聞いた。

コロナ禍で会場型試験からウェブテストに

――まず、ウェブテストとはどういったもの?
就職活動で、応募者がパソコンとインターネット環境があればオンライン型で受験できるテストで、内容としては適性検査や能力試験といったものがあります。

ヒューマネージ・戸倉大輔さん
ヒューマネージ・戸倉大輔さん
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――コロナ禍で実施する企業は増えている?
コロナ以前は、「テストセンター」と呼ばれる、学生が家から近いテストセンターの会場を選んで、試験官が居る中でテストを受けるというものがありました。

学生が家から近い会場を選び、試験官がいる中でテストを受ける方法で採用試験を実施する企業様が多くいらっしゃいました。

それがコロナ禍の緊急事態宣言等で外出が難しい状況になり、採用活動のオンライン化が一気に進み、ウェブ面接やウェブ採用試験が急速に一般的なものとなりました。

我々のお客様でも、テストセンター方式で実施していた企業のうち3社に2社は、ウェブテストに変更されています。

企業の57%が「不正に懸念あり」

ウェブテストが急速に普及する中、企業側は不正行為に危機感を募らせている。

(イメージ)
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――“替え玉“による不正が増えている印象はある?
替え玉が実際にどの程度おこなわれているかを把握するのは難しいですが、我々が2021年と2022年、企業の採用担当の方々に「受験者の不正行為に懸念はあるか?」というアンケートを行ったところ、2021年は44%、2022年は57%の採用担当の方が「懸念あり」と回答されています。1年間で13ポイントの上昇ですので、企業の方々の“懸念”が増えているのは明らかです。

前述の通り、コロナ禍で企業の採用活動は、テストだけでなく説明会や面接もオンラインに切り替わっています。学生さんとのリアルな接点が少なくなり、入社後、ミスマッチによる早期離職が増えるのではと心配されている人事の方も多いです。

その点においても、公平公正な環境で、精度の高い採用試験を実施したいというニーズは高まっています。

AI監視型のテストで不正を検知

企業側の不安が増す中、受験中の様子をカメラで撮影してAIが解析。懸念するような挙動があった場合は、テスト結果と共にその映像を企業側に提供し、報告する対策がとられている。

(イメージ)
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――どういった不正対策をとってる?
AI監視型ウェブテストという新しい受験方式のテストがあります。

弊社が提供する、AI監視型ウェブテストでは、パソコンのカメラを通じて応募者の方の受験中の様子をリアルタイムでAI試験官が監視し、不正の疑いがある場合は検知して、それを企業側に報告する仕組みです。企業様はその報告を確認して、最終的な判断をおこないます。

このAI監視型ウェブテストに対する企業様のニーズはとても高く、リリースから1年経たずに100社以上に導入され、10万人の学生さんが受験されました。就職活動生は40万人~45万人ほどと言われますので、単純計算ではありますが、4人に1人が受験されていることになります。

AIには学習機能がありますので、さまざまなデータから、不正が疑われる検知の精度を高めています。

「やっている人はやってる」

しかし、就活を控えた学生に話を聞くと、「やっている人はやってる」「先輩が頭いい友達に受けてもらったことは聞いたことがある」など、身近で不正が行われている生々しい様子が伝わってくる。

この状況に対して戸倉氏は、より精度の高い不正検知の実施に尽力すると話す。

――AI監視型ウェブテストの効果はある?
実際に導入されている企業様では、不正がおこなわれていたという例はほぼありません。AI監視型ウェブテストであることで、きちんとご本人に受けていただいている。不正行為が抑止されていると考えられ、企業様にはその点を評価いただいています。

そもそも、不正をおこなっている学生さんはいますが、大多数の方は真面目に受けてくださっています。我々のAI監視型ウェブテストは、大多数の「真面目に受験している応募者が損をしない」ための仕組みであり、さらに、正しくウェブテストが実施されることが、応募者と企業とのマッチングを高めることにつながると考えています。

学生も替え玉受験の話を聞いたことがあると話す
学生も替え玉受験の話を聞いたことがあると話す

――ウェブ対策には限界があるのでは?
会場型の大学受験等で不正がおこなわれた例もあり、極言してしまえば、会場型でもウェブテストでも不正を100%完璧に防ぐことは難しいといえます。

ただ、ウェブテストには、地方や海外の学生さんの応募機会を増やすというメリットもあり、その利便性は維持して、公平公正な選考を実現したい。公平公正な選考環境を実現し続けるために、今後もサービスのバージョンアップを続けていきます。